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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
入学編
26/62

大きな差

 生徒会室の一角には、歴代の感謝状や記念品が飾られている棚がある。そこに、新たに一つの女神像が加わった。


白銀の女神像。その台座に刻まれた名は、アルバート・レーザス。俺の名前だ。それが、同じくエレナ・セレスティアと刻まれた、水晶質の女神像の隣に並ぶ。


「なんか、会長の隣に置くのは恥ずかしいですね」

会長は凄いとは思っていたが、ギフテッドだとは思っていなかった。

 全系統を使い分け、神からも愛され、そしてなにより、美人である。その全てがら歴代最高と囁かれる理由だろう。


「気にするな。会長が特別なんだ」

シュヴァルト先輩が笑いながら俺を慰める。

「数でレーナに勝てばいいんだよ?」

その無茶振りは、レーナ先輩からだ。

「期待しています」

ニコリと、会長も微笑む。そのほか、数名からの期待の目が向けられる。

「頑張ります……」

少しばかり緊張を覚えながら、席に着いた。


 毎週土曜日の朝は、生徒会執行部の会議がある。議題は専ら、芸術祭の運営について。


例年、三年は会場のホールの巡回や案内、二年はエントラスの警備、一年は生徒の誘導と、警備を任されている。


それは、今年も殆ど変わることなく、すぐに決定された。


これから入念に話し合われるのは、当日に予想される危険と、それら侵入者に対する措置についてだ。

 過去に一度、反社会勢力による襲撃を受けたこともある。


今年は、アリシア史上初、校外での実施となる。そのため、それらの勢力には特に注意しなければならない。


先週からの一週間で、それぞれが各方面に交渉にあたっている。二回目の今日は、その成果の発表だ。


「親父からの協力は得られる。ジーク、軍の手配は頼めるか?」

シュヴァルト先輩がジークを見た。ジークは頷く。

「はい。陸軍省は全面協力すると」


ジークの父は陸軍省の幹部で、シュヴァルト先輩の父は警察署の館長だ。


そのほか、ミーナは、父の親友の協力による道路の封鎖。貴族である会長とレーナ先輩の二人からは、億単位の資金援助。皆のスケールの大きさに、ついていくことができない。


俺なんて、魔導器の手配ぐらいしか確約できていない。殆ど役に立ちそうにないので、言うのが恥ずかしいぐらいだ。

「次、アルバート君」

しかし、順番は回ってくる。

「マゼラティクス社との優先取引の権利と、そこにいる父の研究チームとの協力が得られました」

意外にも全員が興味を示した。

「それは、あのマゼラティクス?」

あの、と言われても、マゼラティクスは一つしかない。

「はい」

「詳細をお願いします」

会長をはじめ、皆の目の色が変わった。


「必要なものがあればすぐに手配できますし、既存の製品に当てはまるものが無ければ、一から開発してくれると。その場合、開発の人員として生徒の力を借りたい、と」

「それってつまり……」

俺も、父からそれを聞いたときは驚いた。それはつまり、

「はい、共同研究です」

「凄い……」

会長が喜びを噛み締めている。

「アルバート、よくやった」

シュヴァルト先輩も、ガッツポーズをしている。

優先取引よりも共同研究の方が嬉しそうなのは、なぜなのだろう。


「一通り出揃いましたね」

全員の成果が出揃った。資金面や警備は十分すぎるほどで、あとは細かな人員配備を軍や警察と話し合うだけだ。

「今日は解散しましょう」

「「お疲れ様でした」」


すると、レーナ先輩が皆に声をかけた。

「今夜、アルバート君の祝賀会しない?」

「いいですね」

逃げようとしたところ、会長、シュヴァルト先輩、ミーナに囲まれた。

「場所はどこですか?」

二年生の一人が問う。

「普通のお店の予約取れなかったから、私の家なんだけど……」

「「行きます」」

レーナ先輩の家と聞いて、全員が声を揃えて参加を表明。

「アルバートはどうせ何もないでしょ?」

「アルバート、参加しないわけないよな?」

渋る俺に対し、ミーナは辛辣な一言を、シュヴァルト先輩からは圧をかけられる。

「……俺も参加で」

「よし!なら、五時に正門に集合ね」

工学部で八時まで作業をしようと思っていたが、なんとかして五時までに終わらせるしかないようだ。


「レーナ、あの場所でこの人数は寂しい気が……」

「確かに。生徒会の人たちも呼びたいな……アルバート君、いいかな?」

「どんな人たちです?」

「魔術部のメルトバーグとかだな。アルバートも知ってるし、大丈夫だろ?」

「はい。任せます」

シュヴァルト先輩に聞かれれば、反射的に返事は、「はい」になってしまう。これが体育会か……



 すぐに魔導工学棟に向かい、昼食後すぐさま作業を開始した。


最初に、設計図通りに板に線を引いていく。そして、それらを、熱を用いた特殊な刃物で切り抜いていく。

 形はどんなのでもよかったが、小さい頃にスケッチしていたものを題材にしたため、この年齢ではかなりイタい形状となっている。


そこから、溶けて凹凸ができたエッジ部をヤスリでひたすら研磨していく。正直、この作業が最も時間を要する。他の魔法適正なら綺麗に切れるのだが、それは仕方がない。


 削り、溶接し、また削る。それらを繰り返すこと四時間、ようやくフレームは完成。


時間がないので、塗装前の処理だけを行い、部活動は終わった。


今日は地道な作業だったが、本当に大変なのはここからだ。ややこしい配線に加え、魔力の安定供給機関を作らなければならない。

そして、何より重要なのが、運動制御のための仕組みを考えることだ。


 父から関連した古書を送ってもらえるが、それらは全てルフト語で書かれているので読みづらいし、二回の翻訳が必要なので、時間もかかる。


 部活ノートの個人の予定欄に、進捗と予定を書き残し、研究室を後にした。


 正門前では生徒会と部活連の人たちが俺とリーエルを待っていた。その人影の後ろに見えるのは、一台のリムジンと、数台の高級車。


俺は、先頭のリムジンに乗せられた。

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