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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
入学編
24/62

新たな世界

 部活動の時間がやってきた。

すぐに演習場へと向かい、シュヴァルト先輩と合流。入部届は正常に受理されたらしい。


 対人戦闘部の規模は学園内最大。現時点での部員は800人を超える。

 強さや実績によってA-B-C〜とクラス分けされ、基本的にA-Bの部員が平日にここを使えるのだという。


例外として、A-Bの部員が練習相手として指名した選手がA-Bクラスでなかった場合、ここで練習ができるらしい。

 本来ならクラスは入部テストで決めるらしいのだが、俺はシュヴァルト先輩の練習相手を兼任するという形で、Aに配属された。


全体練習でやることはマネジャーと同じ。その後の居残り練習で俺はここを使えるというわけだ。


 はじめに、A-Bの選手82人の前に立たされ、自己紹介から始まった。

「はじめまして。一年、魔導工学科のアルバート・レーザスです。魔法は爆炎系しか使えません。よろしくお願いします」

当然といえばそうだが、やはり魔法適正を聞いて笑うやつもいた。

その時、シュヴァルト先輩が口を開いた。

「言っておくが、お前らにこいつの本気は止められない。おそらく、俺でも無理だ」

その言葉で部員はざわつきはじめた。

「嘘だと思うなら試してみようか?アルバート、やってくれるか」

ここでこいつらを黙らしておくのが、今後のためだろう。

「わかりました」

「アネット、来てくれ。ジーク、マット、お前らも来い」


 俺、シュヴァルト先輩、アネット先輩、ジーク、マットの五人を残し、他の部員はコートから出た。


シュヴァルト先輩が説明を始めた。

「ジークとマットは俺とアネットの前に盾を展開。今後のためにも威力を体験しておけ」

「「はい」」

一年の二人の返事は体育会系のそれだ。


この二人は先輩にかなり期待されてるらしい。




「お前の方が早く魔法が完成するが、俺たちが展開し終わるまで打つなよ?」

「分かってますよ」

笑いながら三人と別れ、コートの端と端で対面した。


『開始!』


その合図と同時に、五人が詠唱を始めた。


「ルーディス・オーバー……」

体内から魔力が溢れ出す。早さを追求し続けた結果生まれた、高速展開。


自然魔力だけでなく、体内の魔力を起動と展開に用いることでそれが成し得る。


「ラ・デーラ・ラウディス……」

瞬間的に、魔法陣が幾重にも展開される。


 向こうの様子を伺うと、前の一年二人は展開にすら達していない。

「フラン、メイド・アド・メイド……」

魔法陣が焔を纏い、収束し一つに。


そして試しに、頭に浮かんだ言葉をつぶやいた。

「セルードコア……」

 火球はさらに収束し、白く光りを放ちはじめた。



セルードコア


それは昔、親父に教えてもらった星の名前の一つ。冬の大三角の中で最も眩い光りを放つ星だった。その時のイメージは頭に強く焼き付いている。


だから、それが詠唱となるのだろう。


 向こうはまだ、展開途中。この状態を保つのは、結構な魔力と精神力を使う。腕立て伏せの途中で止まれといわれているようなものだ。

「…………」


前衛二人の盾がようやく完成した。そして、最後の一節を唱える。 

「アプト!」

反動で自らも後方に吹き飛び、放たれた魔法は風を巻き上げながら、高速でコートを縦断。


 一枚目、マットの盾を貫通し、二枚目のジークの盾を砕く。その衝撃で二人は吹き飛んだ。それでもなお、焔の威力は衰えない。

 

 そして、三枚目。シュヴァルト先輩の盾。硝子のように透き通ったそれは、魔法障壁の完成形に近い。


そして、魔法がぶつかり合う。


強烈な光の直後、爆炎はコート全体に広がり、俺もろとも焼き払う。


驚きの声とともに、悲鳴が上がる。

「熱っ!」

適正魔法には耐性があり、なおかつ自分の魔法であるとはいえ、この威力だとさすがに熱い。


 しばらくして、白煙が晴れた。

シュヴァルト先輩の盾は消え、残っていたのはアネット先輩の盾のみ。


普通の爆炎魔法で三枚の盾に打ち勝てたのは、普段より炎を圧縮したことで、相手にたどり着くまでに威力が減衰しなかったためだろう。


ただ、多数の盾を破るためには圧縮よりも形状変化の方が有効だということはよくわかった。


 一度目の体育で用いた細く成形した魔法は、物に当たれば炎が広がる今回の魔法とは違い、爆散せずに貫通する。


これは細い針ほど抵抗なく刺さるのと同じ原理だ。


 真っ向勝負で、普通の詠唱にこの魔法を防ぐ手段はない。

それは、相手が形状や強さを決定し終えたのを見てから、こちらが後出しで威力と形状を好きに変化させることができるからだ。


「アルバート、大丈夫か?」

シュヴァルト先輩が近づいてきた。

「全然問題ないです」

「なら良かった」

四人とも外傷はない。だが、マットは、一瞬で盾を破られたことで落ち込んでいる。

今はそれをアネット先輩が慰めているという状態だ。


 再び部員がコートに集まり、シュヴァルト先輩が口を開く。

「俺は、アルバートを歓迎する。お前たちはどうだ」

その宣言に、男子部員が雄叫びで応え、女子部員は拍手で応えた。


お辞儀をして、列の最後尾、ジークの横に並ぶ。

よろしくと、遠慮がちに差し出された拳に、俺も拳を合わせた。


「早速、練習に入るが、今日はいつも通りの自主練に加え、部内大会を行に備えての試合形式練習を取り入れる。やりたい奴は、相手を見つけて第三コートに集まること。話は以上だ」


一斉に散らばり、入部してから今までで構築された人間関係をもとに、どんどんと練習のペアが完成していく。

 俺は本来なら、シュヴァルト先輩の練習相手なはずなのだが、今日は先輩は審判をするため、相手がいない。


 とりあえず、ウォーミングアップをしていない俺は、コート周りを走った。


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