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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
入学編
23/62

人との付き合い方

 今朝も昨日と同じ時刻に学校に到着した。職員室で鍵を受け取り、演習場へ。


 昨日と同じように更衣し、走った。


昨日の疲れは全く感じない。それどころか、むしろ昨日より調子がいい。

 魔力にもデトックスが存在するのだろうか。もしそうなら、医学の新たな発見だ。


などと余計なことを考える余裕を残し、30分間のアップを終えた。


 スポーツドリンクを一口のみ、汗を拭く。そして、息を整えシュヴァルト先輩の元へ。


先輩の顔を見て少し驚く。

少しつり気味の、彫りの深い目の奥に燃えるように赤く輝く眼球。そして何より特徴的なのが、右眼の上にできた傷あと。


 俺は今まで、人の顔をよく見たことがなかったのだろう。髪の色と背丈、身に纏う雰囲気、魔力の感じでその人だと判断していた。


人の顔色だや機嫌を気にして生きてきた結果、それが知らぬ間に癖になっていたのだろう


先輩はこんな顔をしていたのか。この前の感じは睨まれていたのではなく、この雰囲気と彫りの深さがあったからだろう。


「お前から話しかけてきて、なぜ驚いている」

「あっ、すみません」

「それで、何の用だ」

俺は先輩の目を見て、事情を説明した。


断られると思っていたが、

「入部してくれ。それなら好きに使わせてやる」

予想外の返答に拍子抜けした。

「入部……ですか?」

「ああ。新人戦に全員参加させてやるためにはあと一人必要なんだ。お前は生徒会やら工学部やらで忙しいだろうし、自主練でも、大会だけの参加だけでもいい」


こちらとしてはこれ以上ない条件だが、問題は他にある。

「それで他の部員は大丈夫なんですか?」

「そういうこと気にするんだな。大丈夫だ、俺が何とかする」

人は見かけによらないな。と、笑っている。

「なら、入部します」

「助かる。よろしくな」

「はい」

差し出された手を、固く握る。


 俺は、この人のことを誤解していたようだ。人は見かけによらないものだなと、改めて実感させられた。



 そうと決まればやることは一つ。

練習を早めに切り上げ、職員室へ。

部活動担当の教員に二枚の入部届けを貰い、その場で記入する。


一方は部員として、そしてもう一方はマネジャーとして。


 今までの自分なら考えられない行動であるが、なぜか気分が高揚している。

「お願いします」

紙を渡す時、自然と出た言葉に自らが驚いた。


自分の中で、何かが変わり始めているのは確かだ。



 昨日より早く教室へ向かった。奥に一人、本を読むリーエルの姿があった。彼女のオーラは独特だ。どこか、女神ティアーナの加護と似たものを感じる。


読書に集中する彼女に配慮し、声はかけずに席に着いた。

 これから、今後の予定を練る。

明日の午前は生徒会。午後からは久しぶりに工学部に顔を出し、自らの作業をする。


 問題は日曜日だ。ここをどう使うかが一番の悩みの種だ。もちろん、予定などない。

休息に使うか、自宅でのトレーニングに励むか、ここ二日の戦闘データの解析をするのか。

どちらにせよ家から出るつもりはない。



「ふぅ〜っ。えっ!?」

「おはよう」

伸びをしながら驚くリーエルに向かい、声をかけた。

「あ……来てたのですか」

少し頰を赤らめている。そんな姿を見るのは初めでで、少し新鮮だ。

「なあ、リーエル」

「はいっ」

俺は真っ直ぐに目を見つめた。初めてその目鼻立ちを認知した。髪の色と同じ赤い瞳が、そっぽを向いた。


お嬢様という感じの、噂通りの美少女。ただ、贅沢を言うようだが俺の好みではない。オーラで大体は分かっていたことなので、そこまで驚かない。


ミーナを見ているせいか、同世代の美少女というものに異性としての感情がまるで湧かない。どちらかといえば、先輩の方が好みだ。


そして、一度逸らされてた目が、再び合った。リーエルの顔は赤い。

「あの……何でしょうか?」

「急だけど、兼部することにした」

「えっ……。そうですか、わかりました」

少しがっかりした様子のリーエルに、

「告白かと思ったか?」

と問いかけた。


図星を突かれたリーエルの顔がどんどんと赤くなる。

「目を見られて、その声のトーンで名前を呼ばれたら覚悟しますよ!」

目に涙を浮かべ、顔を真っ赤にして言い訳をする姿は、確かにかわいい。可愛いのだが、俺は先輩の方が好みだ。これは譲れない。


「それより、初めて目を見てくれましたね」

「人と話すときは目を見てっていうだろ?」

「私が何度も合わせようとしていたのに、一向に合わせようとしなかった人がよく言えますよ……」


その言葉に、笑いがこみ上げた。


 そこから始まった驚きの連続はとても楽しかった。目が細い奴もいれば、でかい奴もいる。雰囲気通りのやつもいるし、雰囲気とまるで顔が違う奴もいる。


 驚きと発見で一日があっという間に過ぎていった。

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