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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
入学編
19/62

茨の道

 翌朝、俺はリビングで目覚めた。身体中が痛む……トレーニングの途中で眠ってしまっていたらしい。


 時刻は午前6時。家を出た。


薄暗い道を駆け抜け、学校へと向かった。

 まだ開いていない門の右、守衛室にいる警備員に学生証を提示し、校内へ。


 職員室には数人の教職員の姿があり、そのうちの一人に声をかけた。室内演習場(アリーナ)使用の旨を伝えると、解錠を任された。ということは、俺が一番ということか。


 教室から本校舎をまたいだ先にある、室内演習場。その大きさは観客席を含めれば第一グラウンドに匹敵する。

 強固な結界で守られているこの演習場は、並の攻撃では壊れない。故に使用するのは、魔導兵科の生徒と、魔法の威力が上がる二、三年だ。


中に入ると芝のコートが俺を出迎える。その広さと、そこを覆う強固な結界に圧倒される。多分、今の俺の力では壊せない。


しかし、一人で使うには、少し広過ぎる。


この施設最大の特徴は、さまざまな環境下で幻影魔法による相手と戦えることだ。


例えば、心理操作系の魔法に干渉されながらであったり、ランダムでさまざまな魔法が放たれながらなどだ。


更衣を済ませ、まずは走る。


初めてだが、思ったよりマット質の芝は走りにくい。




 いつもの時間に演習場(アリーナ)に到着した。

「シュヴァルトさん、誰かいますよ」

まだ6時過ぎだというのに、気合いが入っている奴もいるもんだ。

「どうします?」

「少し場所を譲ってもらえるように交渉するしかないか」

一年だろうし、わかってくれるだろう。


中にいたのは、アルバートだった。

「一人っすよ」

「ああ。半分使わせてもらっても大丈夫だろう」

こちらに気がついてはいるだろうが、黙々と走り続けている。


 俺たちはまず、アップを始めた。軽い走り込みの後、ストレッチ。そして軽いトレーニングで体を興す。

「あの子、まだ走ってますよ」

俺たちがここに来たときから、すでに15分は経っている。ずっと同じペース。それも、一切の魔法を使わずに、だ。

「あんなに体力あっても意味ないのに、何してるんだろ。先輩は知ってますか?」

「あとで知り合いに聞いてみる」

俺にも理解できない。だが、何かあるはずだ。


ようやく走り終わったようだ。

「俺、交渉してくるっす」



 時計の長針はゆっくりと進み、ようやく半周した。人の気配は感じていたが、あの中の一人は見たことがある。あの目つきは間違いない。


 金髪の一人が近づいてきた。退けとでも言いに来たのかと思っていたが、半分だけ使わせろとのことだ。


快く受け入れた。占有するほど俺も傲慢ではないし、多分昨日までは向こうが使っていたのだから当然だ。


 一度水分を補給し、制御室に向かい環境の調整を行う。


対象を第一コートのみに切り替える。


隔壁の強さ[最大] セット[10]


時間(分)[3]間隔(分)[2]


敵数[1] 仕様[全魔法・Ⅱ]


心理干渉[70%] 衝撃[有]


このぐらいだろう。


 コートに戻ってみてわかるが、心理干渉70はやはり

影響を感じる。頭を締め付けられ、思考が阻害されている感覚だ。


目の前に文字と、人影が出現した。


《3》…《2》…《1》…《開始》


「フラン!」

前方に速攻魔法。敵に攻撃を与えつつ、反動を生かして敵の初撃を躱す。


体勢が悪い。着地でバランスを崩す。


すかさず敵は第二、三撃を放つ。右か、左か……頭が働かない。


「っっ!」

反応が遅れ、一方が足元に着弾。体勢を崩された。

「っフラン!」

空中で放ち、強引に第三撃を避け、地面に転がる。


すぐに立ち上がり、反撃……。

「フラ…ぐぁっ!」

敵の追撃の爆炎魔法が直撃。熱くはなかったが、衝撃で動けない。


《残2:45 敗北》

「あぁー!」

わずか15秒で負けた。





 ここの使い方を調べたのか、自分のコートの準備を慣れた手つきで終わらせた。

「始まりましたね」

「こちらも始めるか」

「俺、セットしてきます」

「ついでに見てきてくれ」


いよいよ、始まった。

攻撃しつつ回避、判断はいいが体勢が悪い。

「それでは遅い」

……敵の追撃が直撃。15秒足らずでやられたが、今のは仕方がないだろう、体勢を崩しながら、あの身のこなしができるのはなかなかだ。


「どうだ?」

「全魔法・Ⅱ、70でした。あ、やっぱり負けてる」

「なんなんだあいつ」

俺でも魔法を絞って80が限界なのに、全魔法でそれは無謀すぎるだろう。

「めちゃくちゃ悔しがってますよ」

「笑っているが、お前より強いぞ」

「マジすか……なら俺も頑張ります」

負けて当然なのに悔しがっている。あれに本気で勝とうとしている。録画までして、間違いなくバカだ。


2戦目は動きは完璧だったが、単純に手数で負けた。

「痛くないんすかね」

「衝撃設定有りか?」

「はい」

あの攻撃が痛くない?そんなわけがない。


あいつはその後も負けては悔しがり、立ち上がった。


 普通なら設定を落とせと言いに行くところだが、俺はなぜかできなかった。


それがその日から毎日続くことになるとは、その時は思っていなかった。


なかなか面白い奴だ。










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