親父の背中
部活では設計図を完成させ、魔鉱石の性質実験を行った。
自分でできる実験は一通り終わった。
「リーエル、魔法の盾作ってくれ」
「わかりました……はい」
下敷きサイズの盾が現れ、俺はそこに魔結晶の欠片を投げた。
「これは跳ね返るのな」
火を当て続けたたら割れ、魔法障壁に当たれば跳ね返る。その他の魔法による干渉の結果も、物理的な現象としてしか現れなかった。
・普通の石と同じ物理現象を辿る
それをレポートと、設計図の端に書き加える。
次は、力を加えたらどうなるのかだ。
金属板の上に結晶を置き――金槌で叩いた。
「っっ!……?」
一瞬、爆発のような現象が起こったが、炎は見られなかった。俺が昨日の体育で使ったあの技のような感じだ。
・叩けば魔力が放出される
加えて書き綴る。
※魔法障壁との衝突に対しても有効かを確かめる
ほどなくして、下校時間となった。周りも作業は進んでいるようで、設計図は皆が完成させている。
リーエルは通信端末のスピーカーを自作するらしい。本人は課題が多いと言っていたが、明確な答えがあるだけマシだ。
俺はそれ以外の課題だから答えなどない。一度、親父に聞いてみよう。
「親父、急に悪い」
『どうした?珍しいな』
「魔法を弱くする詠唱って、ルフト語にあったか?」
『当然だろ、教えてないけど、ルフト語そのままの意味だ』
なんだ、あれ、そのまま使えたのか。
「なんだったっけ?」
『ティン、ティンド、ピアーだ』
「ああ、思い出した」
『ラ・ホマ・スルィ・オルィズ・エル』
「話すたびに言わなくてもいいだろそれ。そういや、親父は今なんの仕事してるんだ?」
『魔導器を開発してるぞ』
「どこでだ?」
『マゼラティクス』
やっぱやばいわ、俺の親父。
「凄え……ちなみに、どの部門?」
『F-Bの開発主任。お前が乗りたがってたから、俺が作ってやろうと思って』
結局、いつも俺の為に動いてる。
「マジか……俺もそんな感じの作ろうとしてんだけど……」
『本当か?どういう構造にするつもりだ?』
「昔のロケット推進力的なやつで」
『なるほどな、お前なら作れるだろう。完成したら俺が乗りに行く。出来によったら、マゼラティクスとの共同研究もあるぞ』
しばらく考えてだが。
「いや、そのレベルの出来たら個人企業するわ」
『そん時は俺も雇ってくれよ』
「わかったよ。親父、ありがとな。エリによろしく」
そう言って、端末を置いた。
やっぱ親父は親父だった。なんでも知っていて、なんでもできる、スーパーエリート。俺の憧れで、超えられない壁。
それにしても、F-B90があそこまで高性能なのは、親父が魔法陣の言葉を手がけたからに違いない。
これは、大きなヒントだ。市販のものを買うよりも、自分で書いた方がいいらしい。
[ 明日、材料を買いに行くけど、どうする?]
と、同じクラスの四人に、メッセージを送った。




