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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
入学編
12/62

爆炎の宴


 俺は昨日、戦闘のいろはを学んだ。


 今の俺たちのように、前衛・後衛の布陣をとる相手に対して繰り出すのは、速攻の雷撃魔法。前衛を一定時間行動不能にし、二対一で後衛を叩く。

 それに対するこちらの定石は、前衛が障壁魔法を展開することだ。



 開始と同時、敵二人は定石通り一小節で魔法を展開。

「ルーディス」

「雷鳴よ!」

「雷よ!」

「精霊よ……」

それに対し、俺たちは詠唱を開始。敵が魔法を完成させるなか、こちらは起動するのみ。

「我が名の下に命ずる……」

敵の電撃が迫る。


「もらった!」

「アプト!っ!」

電撃の一つが直撃、意識を失う。

「なっ!」

直後、起動後から俺の体を覆い始めていた魔力が炸裂し、もう一方の電撃と相殺される。


 自らの魔法による自爆で意識を取り戻し、そのまま地面に倒れ込んだ。

「痛ってぇ……頼むぞリーエル!」

リーエルは頷いた。

「主よ、其の力を以って、我らを守る盾を……」

「雷鳴よ!」

「展開せよ!」

慌てたカルロスはもう一度雷撃を撃ち込むが、俺の前で魔法の盾に阻まれる。


「我が電撃を以って、かの盾を打ち砕け!」

先ほどよりも強力な電撃が迫るが、俺には届かない。

リーエルの盾は、その程度では壊せない。


体の砂を払い、もう一度手を突き出した。

「よくやった。この勝負、もらったな」

俺の言葉に、リーエルは少しはにかみ、頷いた。言葉はないが、やってやれという目をしている。


「ルーディス・ロール…」

俺の周りの空気が光を帯び、俺にまとわり始める。

「ラ・デーラ・ラウディス……」

その光は腕に集まり、幾重にも魔法陣を展開していく。

「フラン……」

それは熱を帯び、ほのかに紅く色づき、渦を巻く。


―波動は大気を揺らす。


「メイド・アド・メイド……」

幾重にも束なる魔法陣は赤く染まり、渦は炎を纏い燃え盛る。


―その衝撃は地を鳴らす


「…………レイド…………」

渦は束なり矛となる。




――波は伝播し、教室の窓を揺らしていた。

「アルバート君、やり過ぎ……」

強烈な頭痛とめまいがレーナを襲う。前よりも不規則で、強力な魔力反応に、彼の成長を実感する。

「先生……保健室に行ってきてもいいですか……?」

彼女は限界を迎えた。

廊下から見える第一グラウンド。そこにいる一人の男子生徒は、とても楽しそうだった。




「待っ……てくれ……」

カルロスの表情は絶望に満ちていた。彼は目の前で展開されていく魔法にただ恐怖していた。


 シャルは泣いていた。俺は撃たないと伝えている。だが、それがわかっていても、自らに向けられた矛先に死を覚え、体の震えは止まらないのだろう。

 


 異変を感じたオルドはその状況に目を疑った。

「アルバート、辞めろ!」

しかしその声は、ミルナが展開する魔法障壁によって阻まれる。

「ミルナ、しっかりしろ」

あのミルナが、呆然と立ち尽くしている。

「彼を、甘く見過ぎていた」

障壁が消え、オルドが手を掲げた。これは、続行不能の判断だ。

「二人を引っ張り出せ」

生徒数人で我を忘れている二人をそこから引っ張り出した。


俺は突き出した右手を、空に掲げた。そもそも当てる気はない。

「……アプト!」

解き放たれた矛は、天へと駆け昇る。

 数十秒後。遥か上空で炸裂。その衝撃は雲を裂いた。


あの高度なら、地上には影響しない。


 一息つき、振り返る。リーエルがすぐ後ろにいた。

「アルバート君、やり過ぎですよ」

「悪い」

「私より、彼女に言ってあげてください」

リーエルが向く先、シャルが数人の女子生徒に慰められていた。

俺が近づくと、そいつらはすぐに離れていった。

「シャル、悪かった」

「アルバート君は、悪くないよ……」

「いや、俺のせいだ。許してくれ」

「もちろんです……」

これは、いろいろとやらかしたな。


 俺は勝ったが、その代償は大きい。クラスの奴らからの印象は最悪だ。右手を動かすたびに警戒される。

そして周りを見渡せば、グラウンドのもう半分を使っていた生徒も集まっていた。


俺は、試合に勝って勝負に負けた。


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