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Carnival  作者: ハル
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三人の力とリベンジ

 メンバーを増やして、俺たちは再び西バランタイン街道のレストエリアまでやってきた。

 雑魚モンスター相手に互いに動き方を確認していたので、回復がてらに立ち位置の最終確認もあった。


「で、本当に大丈夫なのかよ?」


 タンクこと、カインが納得しきれないかのように問う。


「あぁ。ここまででも見ただろ?ボスの最初は俺がタンクを変わるから、カインは攻撃に徹してくれ」

「けど雑魚モンスターとボスじゃ違いすぎるっすよね」

「ま、いいんじゃない?タゲ持ってくれるってんならカインも全力出せるし。俺はどっちでも適当に横からペシペシ撃ってるだけだからさー」


 カインに同調して不安な様子のダイチと、あっけらかんとしたヒュー。

 そんなカインも含めた大中小のトリオは、実はすぐに中学生なのだと判明した。

 まじであり得ない。

 カインは相応だし、ヒューも成長が早かったと言えば納得できる。

 だけどダイチのような熊男が、誰が中学生だと思うんだ。コーダなんて未だに疑っているくらいだ。

 そもそもそのダイチだけが、なぜか敬語気味に話してるのを問うたら、先輩には当たり前だと返答が返ってきたからだ。そん時の沈黙といったらマジで凄い。

 そんな三人だが、リアフレでここまでずっとやって来たようで、連携に関しては問題ないし、戦力的バランスも前中後と分かれている。

 これまた意外だったのは、この中で一番攻撃力があるのがカインだってことだ。

 前衛でタンクをやりながらアタッカーとしても出来るって、万能すぎだろ。

 その理由は、カインの持つ武器にあった。

 これまで出会ってきたタンクのイサナギやグイナスさんは剣を装備していたが、カインは斧を装備しているのだ。

 斧は剣に比べて威力が高い分、重いし扱い辛い。好んで使う人はそんなに多くはないのだが、なんでも【団長】を習ってそうしたとか。

 魔法使いであるダイチは≪土魔法≫と≪回復魔法≫を習得してるらしい。ステータスは完全にINT寄りなのだが、カインのフォローのために≪回復魔法≫も持っているのだ。ヒールの回復量はそれほどでもないらしいが、ライアのヒールダンスも合わされば十分な見込み。

 それに若干消費MPの高い≪土魔法≫は息切れしやすく、特に長期戦となりがちなボス戦では活躍しにくいらしい。

 しかし何度見ても、この子猿を彷彿とされるカインの姿と熊のダイチは正反対にするべきなんじゃなかろうか。

 そんな二人をおかしく笑いながら見守るのが、やる気をあまり見せないヒューだ。

 自ら言うように、弓使いとして後方から常に撃っているだけなのだが、恐らく視野が広い。≪見識≫と≪気配察知≫を持ってるらしく、なんだかんだで周りの警戒も怠っていないのが分かる。その細い目が完全に開かれる時は果たして来るのかどうか。


「チャンスはほとんどないんだからな。失敗したら許さねぇぞ!」

「分かってるよ。だからよろしくな、カイン。頼りにしてるから」

「……分かってんならいいんだよ!」


 この手のタイプは俺の周りにはいなかったな。

 正直新鮮で面白かったりする。


「大丈夫?扱いやすすぎて心配なんだけど……」

「言うな、ライア……」


 恐らく誰もが思ってることだろう。

 多分だけどアレンさんもカインのそんなとこが気に入ってるのだと思っている。


「よっしゃ!じゃぁそろそろ行こうぜ。今回は負けやしないだろ」

「おい!何でお前が仕切るんだよ、金髪野郎!」

「カイン!先輩を立てるのも後輩の仕事だぞ」

「そうそう。この人見るからに乗せたら調子良さそうじゃん?あ、でもそういうとこはカインと似てるよねー」

「なんだと、おい!」


 中学生トリオに混ざるコーダ。

 まじで違和感ねぇな。しかも軽くディスってるよなこれ。


「うーん、心配ねぇ」

「ま、なるようになるだろ」


 それに負けやしないというのには同意だ。

 こんなにも心強い仲間がいるなら、オークくらいどうにでもなるだろう。

 そう、俺は信じていた。







 ボスフィールドに入り、再びオークが上空から振ってくる。


「今度こそ、お前の終わりだ!豚野郎め!」


 なんでもカインたちは三回全滅しているらしい。しかもそのうち一度ならまだしも二回も三人だけで挑んだというのだから度胸がある。


「魅力の踊り!」


 初戦同様、まずライアが魅力の踊りを踊る。その後に、俺たち三人は同時に支援を掛けた。


「守りの歌!技巧の歌!」

「戦意のパッション!」

「ステップダンス!」


 今回は精神の歌を止めて、ヒューがいるので技巧の歌にする。


「じゃあ作戦通り、俺から行くぞ」


 みんなが頷くのを見て、俺は一人駆け込み、≪体術≫のスキルをいくつも決める。

 当たり前だけどオークの攻撃はさっきと何ら変わりはない。

 一撃は重いだろうが、その軌道は読みやすく受け流すのにはなんの苦でもなかった。


「まじかよ……」

「すげーな」

「雑魚の時も思ったけど、あの人ちょっとおかしいんじゃないー?」

「それは私も思うわ」

「タクトにいいカッコばっかさせらんねぇよなぁ」


 なんか聞こえるが聞こえないフリだ。

 何度も攻撃を入れた後に、他のみんなも動き出す。


「よっしゃ、行くぜ!」


 コーダとライアはさっきと同じように、死角側から殴っていく。ヴァイパーファングは後半まで温存していく作戦だ。

 俺の攻撃を含め、やはりこの三人の攻撃は微々たるものだったんだろう。俺たちのダメージを軽く覆すように、三人がそれぞれスキルを発動させていく。


「竹割り!」

「アースボール!」

「連射!」


 思った以上に強すぎる。特にカインの≪斧術≫竹割りがやはり一番ダメージがでかい。実質的に一番高いダメージを叩き出せるのはダイチの≪土魔法≫アースニードルらしいが、これは消費MPが高くて現状では連発が出来ない。後半の追い込みまで温存しておくことになっている。

 大して苦戦することもなく、さっきのことが嘘のようにオークのHPはだんだんと削られていく。

 ただ一つ思わぬ事態があったと言えば、俺のヘイトがすぐに解かれてしまったことか。

 考えれば、当たり前だ。

 俺は≪ヘイト≫を持ってないので、ボスのヘイトを稼ぐには向いてない。

 ファーストアタックをした相手に大きなヘイトが向くが、それ以上に俺の陳腐なダメージよりも大きいダメージを叩き出す三人にボスのヘイトが揺れていくのだ。

 まあ、俺別にタンクじゃないしな。

 勿論そうなってからは、本当のタンクであるカインが挑発をして自身へとヘイトを固定させる。ただそうなると、オークの攻撃にも気を向けねばならないので自然と攻撃頻度も下がってしまうのだ。

 とはいえ、本当にそれくらいで、それ以上に戦況が変わることもない。支援を三人で何度か掛け直していたくらいだ。オークの一撃で俺のHPが半分以上減っていたものの、カインのHPは二割くらいに留まっている。それこそ、ライアのヒールダンスで事足りているのでダイチも攻撃に専念していたくらいだ。

 そしてようやくオークのHPは半分を切ろうとしていた。

 ここからが本番だ。


キャラクター紹介 カイン

性別:男

身長:153cm

レベル:10

スタイル:タンク

スキル:≪盾術≫≪盾≫≪体力増加≫≪斧術≫≪斧≫≪力増加≫≪ヘイト≫


身長がとても低いのがコンプレックスな少年。感情豊かで、喜怒哀楽が表面にすぐ出てくる。

その飾らない性格が大人たちからは受け、ギルドの面々からは大いに可愛がられているが、それを本人は不本意に思っている。自由騎士団所属。


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