表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Carnival  作者: ハル
34/68

食レポと新たなスキル

 ようやく一山を終えたって感じだな。

 大きなことを成し遂げた充実感が俺の中を巡っていく。

 事実そうだし、今日の出来事はフリスタを初めてから一番衝撃的な日だったし、多分この先も匹敵することなんてそうそう起きやしないだろう。


「……サービスだ。食いな、体力がつくぞ」


 一日を振り返って考えていると、お茶だけしか飲んでいなかった俺の前に一つの食事が置かれる。

 無愛想ながらも、心が籠った言葉。和装の姿に、厳つい顔。ただし、頭は少し寂し気だ。

 食事処<団欒>の店主、ゲンゾウさんである。

 俺がここへ通い始めてから、まだ一週間と少ししか経っていない。それでも常連となった俺に、彼はこうして気まぐれに無償で料理を出してくれたりする。話を聞けば、何と兄貴も初心者の頃によく通っていたらしく、当時の兄の話を教えてくれたりもしたのだ。

 もはやここは俺のオアシス。ホームと言っていい。まあ大げさだけど。


「ありがとうございます、ゲンゾウさん」


 ローラさんがここに駆け込んできたのだから、彼もまたある程度のいきさつは知っているはずだ。だからこそ、こうして労ってくれたんだろう。

 礼を言うも、そっぽを向いて頷くだけだった。それがまた、ゲンゾウさんらしい。

 今日は何の料理かな。そう思い、カウンターに置かれた皿を見る。

 焼き鳥、だろうか。

 串に刺さった肉っぽいものが二本。甘そうなタレがからんでおり、食欲を刺激される。

 その一本を豪快に口に含んだ。


「うまっ!」


 思わず声を大きく出してしまった。同時に、ゲンゾウさんは俺を一睨みだ。少しでも声を大きくすると彼は大抵気分を害するのだ。

 最も、今この場には俺とゲンゾウさんしかいない。にも、関わらずである。

 とてもジューシューで濃厚な口当たりだ。匂いでは甘そうだったタレも、実際は甘辛くそれがいい感じに口の中で絡み合う。

 しかし、鳥肉ではなさそうだ。どちらかというと豚肉に近い。


「これ何の肉ですか?」

「ゴブ肉だ」


 ブ八ッ!

 咽て、少しだけ吐き出してしまった。

 もちろんジロリと、射殺しそうな視線でゲンゾウさんが睨んでくる。


「す、すみません……」


 申し訳なく思うものの、驚くのは当たり前だ。

 まさか、ゴブリンの肉だなんて誰が思うのか。てか食べようという発想に思いつかないだろ。

 が、だからと言ってそこで食欲がなくなるわけではない。

 このゴブ串は確かに美味いのだから。

 あくまで咽たのは驚いてのことだ。何せさっきまで散々戦った相手なんだから。

 しかしストレイドッグのステーキと同様、受け入れるのは一瞬だった。

 あくまでもゲームの中なんだし、モンスターの肉が食事に流用されるなんて当たり前だもんな。……だよな?


「ゲンゾウさん、ごちそうさまでした」

「……おう」


 思わぬ食事にありつき、再び一息をつける。

 本当はここでくつろいでいる場合じゃないんだけどな。

 明日の昼すぎに始まるイベント。それを見るためには、王都へと辿り着かなければならないのだ。

 イサナギとミカンも準備に忙しいようで、結局街道のボスの手伝いの話はなくなった。最もあの話だけでは俺が到底受け入れられなかったけども。

 さすがに今日一日がハードすぎたので、これからというのは無理だ。

 つまり、明日の昼までにはボスを倒す必要が出てくる。

 果たして、いけるのだろうか。

 ゴブリンシャーマンと戦ったことにより、割と自信は付いてきたような気もするんだけどな。

 あ、そういや思い出した。

 レベルも上がってたし、それに新しいスキルのメッセージもあったよな。折角だし確認してみるか。


レベル:12


HP 210/210

MP 460/460

STR 12

INT 12

DEX 12

VIT 12

MND 12

AGI 42

LUK 12

CHM 77+10


BP:0


≪歌Lv20≫≪声量Lv22≫≪魅力増加Lv10≫≪体術Lv11≫≪音楽Lv20≫≪瞑想Lv6≫≪祝福の賛歌≫≪空き≫≪空き≫≪空き≫


SP:10


 まずレベルが上がったBPはCHMとMPに振った。これは今日の戦いの≪歌≫の出番のなさが悔しかった思いからだ。

 やっぱり歌使いとしては効果の高い≪歌≫を幾らでも歌うべきにしないとな。

 後はスキル。新しく覚えらえるスキルがNew欄に二つ出ていた。


――≪柔術≫ 技能スキル ≪体術≫からの派生スキル

素手で敵を躱すことを得意とする武術。

レベル1 受け流し

適正武器 すで


――受け流し ≪柔術≫スキル 

対象の攻撃を受け流す。ダメージはない。消費MP1




――≪下剋上≫ パッシブスキル 

レベルが5以上高い相手に限り、与ダメと被ダメにボーナスを得る。


 ≪柔術≫と≪下剋上≫の二つ。

 まず間違いなく、≪柔術≫は取りだ。俺のスタイルじゃ≪体術≫よりも絶対いい。迷わずこれは取った。

 ≪下剋上≫は微妙だな。多分ゴブリンシャーマンや上位種のゴブリンたちと戦った影響なんだろうが、今後そんなレベルが高いモンスターを相手にする予定はない。それこそ今日みたいな状況にならない限り。

 レベルが5以上ってことは赤ネームか。ボス相手ならあるいは出番があるが……、他にめぼしいものもやっぱりないし、取ってみるか。SPも余り気味だしな。

 結局新しい二つのスキルは取った。これで今のスキルはこうだな。


≪歌Lv20≫≪声量Lv22≫≪魅力増加Lv10≫≪体術Lv11≫≪音楽Lv20≫≪瞑想Lv6≫≪祝福の賛歌≫≪柔術Lv1≫≪下剋上Lv1≫≪空き≫


SP:4


スキル紹介 下剋上


――≪下剋上≫ パッシブスキル 

レベルが5以上高い相手に限り、与ダメと被ダメにボーナスを得る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ