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Carnival  作者: ハル
31/68

その力と勝利を

 禍々しさを増した戦場に響く、一つの歌。

 声が歌詞として響き、歌詞はメロディーとなりて詠う。そしてそれは戦場を満たしていく。


 ≪祝福の賛歌≫


 今、俺が出来る唯一の力。


「これが、ユニークスキル……!?」


 その存在をすでに知っていたイサナギとミカンは、現実に目の当たりにしてもやはり驚きは隠せない。

 男なんかは、今日一に顔を崩して驚愕に満ちた顔で俺を凝視している。

 説明したいのもやまやまだが、今の俺は歌っていることしか出来ない。

 MPを消費し続けながら、ただ俺の口からはメロディーが流れていく。


「これは……!!ステータスが上がってるのか!?」


 ユニークスキルの存在は知っていても、効果までは二人も知らなかった。というか、俺が教えようとしたら二人は固辞したのだ。マナーに反するからと。

 俺は二人に知られるくらいなら全然良かったんだけどな。

 ≪祝福の賛歌≫の力は、徐々に三人のステータスを上げていく。


「ミカン、もうすぐ守護の盾が切れる!だが、このままいけば……!」

「えぇ……!」


 今の俺のMPでは最大でステータスを82上げられるはずだ。

 数字だけで見ればもちろんそれはとてつもなく強いが、今相手をしているのはイサナギたちにとっては約レベル20もの差があるのだ。

 歌を完走させたとて、そのレベル差のステータスを埋めるには至らない。それに持続するのもその後一分だけだ。ボスを倒すことは不可能だろう。

 けれど俺は心配はしていなかった。

 イサナギたちなら、大丈夫だと。

 まずは当面の脅威でもある六体の取り巻きを倒すことが重要なのだ。

 そのための、≪祝福の賛歌≫なのだから。


「ここまで上がれば……。クイック!マリオネット!」


 まず契機を作ったのは男だった。

 さっきはレベル差とステータスの差によりモンスターを操れなかったが、今度は成功したのだ。

 操ったのはゴブリングラディエーターとゴブリンアサシン。

 ゴブリングラディエーターがその場に留まり、斧を豪快に振り回し隊列を崩していく。そして乱れた相手をゴブリンアサシンが死角から攻撃して同士討ちを始めていった。

 取り巻き六体のうち二体が剥がれたイサナギとミカンにとっても好機であった。VITが増え続けたおかげでイサナギの防御力も上がっている。もはやミカンがヒールをし続ける必要はない。

 そして保険とばかりに、


「……スタン!」


 ミカンが≪光魔法≫を発動させる。操られていないもう一体のゴブリングラディエーターはその魔法を受けて、昏倒して気絶する。

 一番攻撃力の高いグラディエーター二体がイサナギから離れたのだ。もはや流れはこっちにある。


「ゴブリン種の弱点は脳だったよな……アサルトウィーク!!」


 ≪剣術・片手≫のスキル。

 ほとんどのモンスターには弱点部位というものが設定されている。そこを突けば攻撃はクリティカルになりやすい。それを確実に行うスキルがアサルトウィークだ。

 アタッカーというには遠いが、≪祝福の賛歌≫によってSTRも当然増大している。その攻撃は大きくゴブリンアサシンのHPを減らしていく。

 三人の凄まじい反撃に、まず一番HPの低かったゴブリンアサシンが一体、そしてもう一体と消滅する。

 そしてここで、82秒が経った。

 ≪祝福の賛歌≫が終わったのだ。

 行動が自由になった俺だが、同時に強制的に10分間の沈黙状態に掛かる。


「タクト!?……リカバー!」


 俺の状態を見て、すかさずミカンは≪回復魔法≫を唱える。さすがはトッププレイヤーのヒーラーだ。状況判断力が凄い。

 だけど、この沈黙は絶対に時間経過以外では解除できないのだ。例え≪回復魔法≫であろうと。


「嘘!何で解除できないの!?」


 もちろんミカンはそれを知らないからだ。

 沈黙はスキルを使えない。同時に文字通り喋ることもできない。

 しかしチャットは可能だ。


『問題ない、これはユニークスキルの反動だ。10分で戻る。それより今のステータス上昇は1分しか持続しないから気を付けろ!』


 すかさず俺は要点だけを連ねてチャットを送る。それを見た三人もしっかりと現状を把握したらしい。

 急ぎ、残りの取り巻きのゴブリンたちの殲滅に掛かる。


「アサルトウィーク!」

「バーストショット!」

「エクレールソード!」


 現状持てる力を最大限に使い、次々とゴブリンたちを殲滅していく。

 結局一分後にはゴブリンパラディンだけが残るも、こいつはタンクでもある。防御力は高いが攻撃力はそこまででもない。最も歌の効果が切れた今、レベル相応になったイサナギにとっては大きなダメージでもあったけれど。

 そして僅かの後、ようやく取り巻きのゴブリンたちは全て消滅した。


「馬鹿ナ!精鋭ノ兵マデ倒スト言ウノカ!」


 ボスであるゴブリンシャーマンはここに来て、初めて自分の劣勢を感じているようだった。

 しかし今、ボスを守るものは何もない。


「格上相手にここまで来れるとはな……。帰ったらライガに自慢してやろうぜ」

「ちょっと、分かってると思うけど油断はしないでよね!」

「……開かずの扉を開け、そしてユニークスキル、か……。お前らしいな……変わらない」


 三者三様。男の最後の呟きは俺には聞こえなかった。

 それでもまだまだ油断はできないだろう。

 何せ相手はレベル50のボスなのだから。

 そして最後の攻防が始まる。

 イサナギは俄然とやる気を出し、防御を優先としながらも隙を見て攻撃する。

 ミカンは回復と支援に徹し、常にイサナギのHPをMAXにキープしていく。

 男はただひたすらに攻撃をし続けるだけだった。鳴り止まぬ銃弾の嵐は見ている側からしても恐ろしいの一言に尽きる。

 そして俺も、10分の沈黙を経た後は、周りの制止を聞かずにさりげなくボスへと攻撃し始める。

 ぶっちゃけ、ハイになっていたと言ってもいい。それくらいに俺は昂揚していたんだ。


 長い、長い、時間を経て――


「馬鹿、ナ……!祭壇ノ主タル我ガ……!敗レルノカ……人間ゴトキニ!!」


 最後の言葉と共にゴブリンシャーマンは消滅していく。


「まじかよ……レベル50のボス相手に……!」

「信じられないわ……!」

「…………」




クエストバトルに勝利しました。


エクストラストーリークエスト【強欲】の進行度が更新されました。


レベルが12に上がりました。


――ドロップ

・ゴブリンシャーマンの呪杖

・ルビー

・アヴェリティアの鍵


 新たなスキルが習得可能になりました。


スキル紹介 光魔法


――≪光魔法≫ 魔法スキル

光属性の魔法を放つことが出来る。

レベル1 ライトボール

レベル5 シャイン

レベル10 プリズムレイ

レベル15 ムーンライト

レベル20 エンチャント

レベル25 スタン

レベル30 エクレールソード

レベル35 ???

適正武器 杖

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