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「恐れながら、陛下。私には愛する方がおります。心は何年も前からその方のもの。そして数日前にはこの身もその方に捧げました。あの方以外の殿方にこの身を触れさせる気はございません。アルベニハ王国 スベリア公爵 第1息女 ナタリアッサ・スベリアが愛し求める殿方はあの方のみ。そしてスベリア公爵家の血を持つ私が守るは己の命ではなくアルベニハ王国の民の命です。大変に誉れな申し出だとは思いますが、陛下の側室になる未来はございません。こんな無礼な娘は早々に処すことをお勧めいたします、 陛下。」



何も臆することなく笑みを浮かべたまま言い切ったナタリアッサ


恩情をきっぱりと断り、なおかつ早く自分を殺すよう言い放ったナタリアッサの豪胆な姿に王は驚き戦いた。




「・・・なんとも、まあ あらゆる意味で勿体ない娘だな」


しばらく呆然としていた王が呆れたように苦笑をもらしながら呟いた言葉に、王の背後に控えていた宰相である男も同じく笑いながら口を開いた。


「納得しましたかな?殺すには勿体ない良いお方でしょう。元々アルベニハ王国は巻き込まれる形で参戦して来ただけですし、もうよいのではないですかな。アルベニハ王国にとってもナタリアッサ嬢を差し出すことはかなりの痛手であったはず。民の評判も良く、将来的にはどこかの国の王妃として嫁がせる計画もあったようですし、とても優秀なお嬢様であるのでしょう。それを素直に共もつけず差し出し、ここまでナタリアッサ嬢を護衛してきた騎士らのあの苦悶の表情からも彼女の“質”はわかるところ」


ナタリアッサはいきなりの話の展開に困惑しつつ大人しく話の流れを見守った。表情には出さなかったが、話の内容的に処刑される未来が変わりそうな流れに緊張を感じていた。


「まあ・・・そうだな。だがここまではっきりと側室になることを断られるのはなかなか気分が悪いな」


宰相の言葉に王は不快そうにため息をついた。


好々爺を具現化したような宰相は己の顎から垂れ下がる真っ白い髭を撫でながら声を出し笑う。


「なんとなんと。逆に受け入れられたら困ったでしょうに。それに王妃様がなんと仰られるか」


「・・・それもそうだが。はぁ、もうよい。ナタリアッサ嬢。全ての種明かしをすることにしよう。だが、その前に・・・ここではゆっくり話もできん。場を移ることにしよう」


そう言うとナタリアッサの側に控えていた騎士に指示を出して玉座から立ち上がり大広場をあとにしてしまった。


ナタリアッサは呆気に取られつつ何も言葉を発することなく騎士に連れられて大広場から出るのであった。



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