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いくつか街を通り抜け、予定されていた日程を超えることなく順調な道のりで隣国へと辿り着いた


ゆっくりと開かれた馬車


騎士らは全員敬礼しナタリアッサが馬車から降りるのを見やった



しっかりとした足取りで馬車から降りたナタリアッサは、眩しそうに空を見上げた


「・・・青く澄んだ綺麗な空・・新しきアルベニハ王国になるための日として天が祝ってくださってるかのようだわ」


何も憂いがないかのように綺麗な笑みを浮かべ呟いたナタリアッサの言葉に、アルベニハ王国からついてきた騎士らは何も言葉を返せず、ただただ己らの非力さに憤りを感じているのであった。


そんな騎士らの思いにナタリアッサは言葉を投げかけた。


「我が国は人命を優先し、無駄な殺生を許さなかった。これはとても尊い行いです。私はそんな素晴らしい国の王族に連なる貴族として生まれたことを誇りに思っています。今日これから私は早々に処されるでしょう。そしてその瞬間私の“死”はこれからのアルベニハ王国を築くための糧となり、今までの私の“生”はスベリア公爵家の者として恥じぬものとなる。だからこそどうか“私”を悲しいものとして扱わないで。これからのアルベニハ王国を作るための糧となる人間を無事にあるべき場所に届けたことを騎士として誇りなさい。これからのアルベニハ王国、そして民を頼みましたよ。」





ナタリアッサ・スベリア


この世に生を受けた瞬間から人の上に立つことが運命られた者


そしてその運命を正しく受け入れ、己を律し己の責務を果たす為努力を惜しまない者


そんな彼女から放たれた神々しいまでの空気をまとったその言葉


それがアルベニハ王国 王族に連なる血を持つナタリアッサ・スベリアとしての自国の民へとむける最後の言葉になった










―――――――――――――――――――――――――――・・・






程なくして通された大広場


両膝を地面につき頭を垂れ佇むナタリアッサの周りを囲むは隣国の騎士ばかり


そして仰々しく飾られた玉座に座りナタリアッサを見下ろすはアルベニハ王国を敗戦国とした隣国の王


「ナタリアッサ・スベリア嬢、噂通りとても美しいご令嬢だ。」


ナタリアッサの父と同じほど歳を重ねた往年の王がナタリアッサに好色な目を向ける


何も答えずただただ絶対服従の姿勢を保つナタリアッサ


「公約通り1人でこちらにやってきた貴殿に、どうだ・・・一つ恩情をやろうではないか。早々に殺してしまおうと思ったが、そうしてしまっては勿体ないほどの美だ。私の側室になればその命は助けてやろう。どうだ?これ以上ないほどの恩情であろう?」


ニタニタと笑みを浮かべナタリアッサを見やる王の言葉に初めてナタリアッサは反応を見せた。


「口を開くことをお許しいただけますでしょうか。陛下」


未だ頭を下げたままナタリアッサが初めて口を開く。


笑みを深めた王はすぐに発言を許すと答えた。


するとナタリアッサはゆっくりと頭をあげ臆することなく王を見上げた。


漆黒の瞳に宿す強き光。


敗戦国 アルベニハ王国の責を1人で負い、年若くして処される運命でありながら一欠片も失うことのない神々しいまでの美。


容姿もさることながら、彼女の美しさは内面からも溢れていた。


絶対的な上位者としてのオーラ、そして強き精神。





ナタリアッサは微笑む。




ただ微笑むんだだけであるのにその場にいた騎士たち、そして王は息を飲んだ。


ざわりと肌に感じる何か。


ナタリアッサはざわめく空気を抑え込むように、ゆっくりと立ち上がった。


今まで従順に頭をたれ膝をつき、「死」を覚悟し全てに大人しく従っていたナタリアッサが、いきなり立ち上がったことに騎士達は警戒を強める。


王は一瞬目を見はっていたがすぐに愉快そうにしたり顔で笑いナタリアッサの次の一手に意識をやった。

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