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その数刻後、太陽が登る前に数名の侍女が部屋を訪れた


ライオネルの腕に抱かれ幸せそうに眠るナタリアッサ


「お嬢様・・・ナタリーお嬢様起きてくださいまし」


主の幸せそうな寝顔を嬉しく思いつつ、これからの事を考えるとどうしても侍女たちは笑みを浮かべることができなかった


侍女の呼び声にナタリアッサは静かに目を開けた


そしてすぐに起きようとしたが、その瞬間自分を抱きしめるライオネルの存在に気づいた。


「そうだわ・・・私・・・」


ライオネルと微かに痛む身体が今夜起こった事が夢ではないことをナタリアッサに告げる


ナタリアッサは自分の起床を待つ侍女を見やると、そっとライオネルの腕から抜け出し寝台から降りた。


「もう時間なのね」


侍女らがナタリアッサに羽織るだけの服を着付けている間、ナタリアッサは未だ眠るライオネルをずっと見ていた


そして着付けが終わると、静かにライオネルの元へ足を運び身を屈めた


ライオネルの頬に顔を寄せ、神聖な儀式のようにそっと触れるだけの口付けを落とすナタリアッサ


侍女らは悲壮な表情をうかべナタリアッサの行動を見つめていた


「・・ライオネル、愛しているわ。どうか貴方は生きて」


最後に愛を囁き、幸せに彩られた笑みをこぼす


そして、その言葉を最後にナタリアッサは凛と背筋を伸ばしライオネルを振り返り見やることなく部屋を後にするのであった。








そして日が昇り、ライオネルの意識が覚醒する



「・・・っ、お嬢様!!」


腕に抱いていたはずの愛する人が消えていることに気づきあわてて服を身につけ部屋をでようと扉を開ける



だが、扉は開かずライオネルは目を見開く



「・・・っっ!!なぜだ!あけろ!あけてくれ!!!」


手が痛むのも厭わずライオネルは激しく扉をたたき続ける


ライオネルにはこれが誰の指示なのか頭の片隅では理解していたが、その現実に向き合うことはできなかった


何故ならば、その現実が示すのはナタリアッサがライオネルを置いていったということだからである


「お願いだ!!!お嬢様!!!!・・・っ、ナタリーお嬢様!!!・・・ナタリアッサ!!!・・・・っどうか、どうか・・・っ」



どのぐらいの時が経ったのか



扉が決して開かぬように、ライオネルが決して後を追えないようにと、ライオネルがどんなに叫ぼうが、悲願しようが、ナタリアッサの最後の言付けを守るライオネルの侍従仲間達は、ライオネルが静かになるまで、唇をかみしめ扉の前に立ちづけたのであった。

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