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3話 婚約者はどなた?

 「コリン? ちょっと待って。私ね、この道間違ってると思うの」


 馬車の中から外を覗いていたルミアは景色が一変していくのを見て、だんだん青ざめていった。


 「いえ、残念ながら間違っていません」


 ルミアの付添い人としてコリンがついてきたものの、少し申し訳なさそうな顔をしている。


 「いいえ、間違ってる。あの目の前に見える門、私見たことあるわよ。もちろん写真でだけど」

 「そうですか。それならそれは間違っていません」

 「……なに言ってるのよ……あの門……アデュシーラ王宮の正門じゃない!」




 ここプレヴェン国の中心にあるアデュシーラ王宮はてっぺんに王冠のモニュメントが輝く背の高いこの正門が特徴的で、一度見たら忘れられない代物だ。

 馬車が止まり御者がギルレアン公爵からの手紙を門番渡し、それを読んで門を開いた。

 王宮内に入っていく馬車の中でルミアは口をあんぐりと開けたまま、窓の外を見つめていた。



 「お待ちしておりました、ラシェ・ギルレアン様。この度は、おめでとうございます」


 馬車が止まったのは離宮の一つであるペルル宮の前だった。入口で二人の侍女が“婚約者”が来るのを待っていた。

 コリンが先に降り、ルミアをそっと降ろすと侍女たちに挨拶をした。


 「お迎え頂きありがとうございます。私はラシェ様の付き人として同行させて頂いております、コリンと申します。お嬢様を何卒よろしくお願いします」


 ルミアはへまをしないようにただ黙って侍女に頭を下げる。


 「ラシェ様、お初にお目にかかります、ミーナと申します。こちらはマリン。これからお世話をさせて頂きますので、お困りの際はなんなりとお申し付けください。お疲れになったでしょう。コリン様もこちらへどうぞ。お茶をご用意致します」


 ミーナと名乗った侍女は髪を真っ直ぐに顎のあたりで切りそろえ、活発な印象を与える顔つきだ。マリンと紹介された侍女は髪を二つに結んでおり、顔にはまだ幼さが残る少女だった。

 ペルル宮は主に来客用として使われており、ラシェのための部屋は一階の一番奥に用意されていた。


 「ラシェ様、しばらくしたらまたお迎えにあがります。それまで、ゆっくりなさってください」


 二人の侍女はルミアの荷物を整理し、二人分のお茶を入れると部屋を出た。


 「……ルミア?」


 コリンはさっきから黙りこくっているルミアの様子を恐る恐る伺う。


 「ねえ、コリン。そういえば私、誰と婚約するとか聞いてなかったわよね? ギルレアンが公爵家っていうのは知ってる。でも、ここってどうみてもアデュシーラ王宮よね? てことは、まさかと思うけど、ラシェ様は王家の人間と婚約するのね?」


 静かに状況を淡々と話すルミアを変に思うも、真実を告げなければならない。


 「はい、その……王家と言いますか……いえ、王家の方です」

 「……フランツはそんなこと言ってなかったわよね?」

 「……はい」


 ルミアは紅茶を手に取りくいっと飲み干すと、ガチャンと音を立ててカップを置いた。


 「ありえない! そんな大事な相手との婚約を代行屋に頼むなんて! ばれたら大変なことになるじゃない! うちの代行屋なんて一瞬で抹殺されるわよ! レオ兄はどこかの執事になるとかでなんとかなりそうだけど、私はどうしたら……」


 怒ったり落ち込んだり表情がくるくると回るルミアを見て笑いをこらえているコリンを睨みつける。


「コリン、知ってたならどうして教えてくれなかったの!? こんな庶民がいくら代行だからって王家に嫁ぐ真似なんてできるわけないじゃない!」

 「ルミア、落ち着いて。大きな声出したら聞かれちゃいますよ。とにかく諦めてここは大人しくここにいてください。ラシェ様は今総出で探してますから」


 興奮するルミアを嗜め自分も紅茶を手に取ると、背後で音を立てて扉が開いた。


中途半端なところで終わってしまいました。

一話一話を均等にしたいのですが、なかなか難しいですね。

侍女たちは今後も活躍してくれるのでしょうか……。

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