表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/140

豪華っすよ


  まったく。こいつの早業は心臓に悪い。


「そんなにお強いんですか?」


  おお!  流石はリーさん。二度目にして既に平静を保った対応だ。これには会計も面食らう。


「へぇ!  もしかして気付いていのかい?  いや、そうでなくても素晴らしいよ!  君には是非とも生徒会に入って欲しいな!」


「あの……手を離して下さい」


「バッシュロだっけ?  今すぐその手を離さないと、その腕叩き折るよ?」


  おお?  オーガスト先輩がリーさんを守った。


「その通りです。トーマス。その手を離しなさい」


  キター!  オレは心の中で絶叫する。生徒会メンバーのお出ましだった。









「あの、それで今日はどういったご用件でしょうか」


 まあ、聞かなくても想像はつくが。リーさんの勧誘の件だろう。


「そんなに硬くならないで。今日はあなたに話があってきたわけではないの」


「え、そうなんですか?」


「竜宮城乙姫さん、あなたにいくつか伝えることがあって来たのよ」


  そっちか。確かに生徒会はオレとセレンの次に、じゃろ先輩に迷惑をかけられている人達だ。


『ほう。妾に話とな。良いぞ。なんなりと申せ』


 なんで上からなんだよ。


「単刀直入に言うわ。本日只今より、我々生徒会があなたの護衛につきます。拒否権は認めません」


『良かろう。任せる』


「いやいや!  もう少しきちんと話を聞きましょうよ!  なんで即決なんですか!」


  流石はじゃろ先輩。突然の話にも一切動揺などしない。


『何故じゃ?  護ってくれると申しておるのじゃ。別に断る理由もないじゃろうに』


「それは、そうですが……。色々と気にならないんですか?」


「何?  乙姫狙われてんの?」


  このメンバーすごいな。生徒会に対して一切物怖じしないし、動じない。


「これは図書士協会からの依頼なんだ。なんでも協会宛に乙姫さんに危害を加える旨の書かれた書状が届いたらしくてね。ここでは只の学生とは言え、実際は一国の主だ。もしものことがあったらいけないからね」


  会計が詳しく説明してくれた。


「それはわかったけど、正直、乙姫に護衛なんているの?」


  そうなのだ。こう見えてじゃろ先輩の戦闘力は凄まじい。自在に動き回る星六魔書精霊として、一つの軍隊と比較されるほどだ。わざわざ、それも生徒会が護衛につくほどのこととは思えない。それに、イタズラの可能性も十分考えられる。


「その通りね。だけど、送られてきた書状には具体的な内容が書かれていなかったの」


「それこそイタズラなんじゃ……」


「たとえそうだとしても、可能性はゼロではない。それに、もしかしたら乙姫さん本人ではなく、周りの人や物に攻撃してくるかもしれない。そこを踏まえて一番臨機応変に対応できるのが、我々生徒会だと判断したの。それに」


「それに?」


「一国の主である乙姫さんに護衛一つ付けないようだと、今後の皇国図書士官学校の名誉に関わるの」


  それは、


「それは、学校内では外の身分や出自の一切を考慮しない。という規則に反しませんか?」


  リーさんもオレと同じことを考えていた。別にじゃろ先輩が特別扱いされることを妬んでいるとかではない。事実特別なのだから。だが、本来最も規則に準じていなければならないはずの生徒会が、それを破る。そのことの危険性を示唆しているのだ。


「あなたの言う通りね。でも……」


「なあ、ミナセ君」


 女性陣がかなり真面目な話しあいを始める中、会計トーマス・バッシュロがオレに話しかけてきた。彼は顔も良いが頭も良いと噂の完璧超人なので、大変苦手である。


「なんすか?」


「君は今、この部屋のメンバーを見てどう思う?」


  どうって、なんだそれは。そうだな。どちらかと言うと、皆オレに圧力をかけてくるばかりのメンバーなので、正直怖い。できればオレ一人そっと退出したいくらいだ。


「そうすね。いいんじゃないすか。校内の有名人が一堂に会してて、豪華っすよ」


  色々言いたいことを押しくるめて無難に返しておく。彼の意図がわからない。


「豪華か……!  なるほど、それもいいね。だが、その言葉ではまだ弱いな。よく見たまえ。そして感じたまえ!  この部屋の奇跡を!」


  なんだこの人。頭が少しアレな人なのかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
a href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">小説家になろう 勝手にランキング
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ