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素敵じゃないですか


「で、何しにきたんですか?」


  室内のあらかたのものをリーさんが乾かして、やっと落ち着いて話が出来るようになった。やはり、リーさんの述式転化は目を見張るものがある。今は帰ってしまったオーガスト先輩以外、全員が椅子に座っている。シンシアはオレの肩の上だ。


『いや、サクラに会いにきただけじゃが?』


 この発言にリーさんが息をのむ。


「え、会いにきただけですか?  襲撃しにきたとかではなく?  たったそれだけのためにこんなに色々めちゃくちゃにしたんですか?」


  リーさんも思わず早口だ。


『その通りじゃが、なにかおかしかったかのう?』


  本気でわからない、という表情のじゃろ先輩にリーさんは何も言えなくなる。


「あぁ、そうすか。で、どうですか。実際会ってみた感想は」


『うむ。相変わらずお主は覇気がないのう。ちゃんと飯を食うておるのか?』


「毎食食ってますよ」


  たまに朝食は抜くが、今このメンバーに伝えても仕方ない。


「そうか。まあ良い。全く、お主とセレンは、チームが変わるどころか、解散した途端に疎遠になりおって。淋しい限りじゃったぞ』


  まあ、意図的に会わないようにしてたからな。二人共これ以上面倒事に巻き込まれたくはなかったのだ。


『そろそろ竜宮城に招待しようと思っておったところじゃ。ちょうど良いわ。そこの娘、名は何と申す?』


  突然話を振られて困惑するリーさんだが、とりあえず質問には答える。


「チウシェン・リーです。今年入学しました。以後お見知りおき下さい」


『うむ。先程の述式転化、大変見事であったぞ。頭も回るようじゃ。よしよし、海底都市右大臣の席を主に用意しよう』


「……はい?」


 あまりに突拍子がなくて、リーさんも頭がついていかない。


「リーさん!  リーさん!  ことわっとけ!  とにかく、ことわっとけ!」


「え……?  あ、はい!  すみません。流石にいきなりすぎますし、お断りさせていただきます」


 本当にとりあえずって感じだな。言ってることはきちんとしてるが、表情は何だかポカンとしている。


『そうか、残念じゃのう。ならば、普通の客人として招待しよう。びっぷというやつじゃな』


 じゃろ先輩は少しだけ残念そうだが、ニコニコしている。おそらくリーさんのことも気に入ったのだろう。


『しかしサクラ、お主は絶対に来てもらうぞ。セレンは春休みのうちにきちんと訪問してくれたからのう。お主もじゃぞ』


 まじかよ、セレン思い切ったな。オレの知らない間に大冒険してたのか。


『ダメよ!  絶対にダメ!』


 しばらく黙っていたシンシアが大声をあけて割って入ってきた。


『なんじゃ、ちんちくりん!  お主の意見なと聞いておらんわ!』


「そ、それはともかく、シンシアさん。どうしてですか?  海底都市、素敵じゃないですか」


『無責任なこと言わないで!』


  シンシアの様子はあまりに必死だ。机の上で泣き出しそうな顔でリーさんを睨む。


「せ、先輩、これはどういう……」


『なんなのじゃ一体!  サクラは必ず竜宮城にきてもらうぞ!  もう妾の側室として決まっておるのじゃからな!』


『だから!  それがあり得ないって言ってるんでしょ!』


 二人の精霊が言い争うなか、リーさんはオレとじゃろ先輩を交互に見回して……


「え、えぇえ!?  側室!?」


 柄にもなく大声で叫んだ。これだよ。じゃろ先輩がいると自然と騒がしくなってしまうのだ。リーさん今日は喉に過負荷だな。

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