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魔王な俺とダメ勇者  作者: 変態紳士
西の大陸編
21/67

出発

朝、ドアのノックする音で俺は目が覚めた。


「アルク、起きてる。」


この声はシャルだな。


「起きたんだぜ。」


まだ眠いけど起こされてしまったものは仕方がない。

まだ眠たいと言ってる体を無理やり起こす。


「宿屋の夫婦が朝ごはん作ってるから起きてきなさいだって。もう起きれる?」



「おう。すぐ行くぜ。」


簡単に準備をして俺は食堂に向かう。


食堂に着くとヒナとシャル、三人娘と宿屋夫婦がいた。


「お兄ちゃんがきたのー。まってたのー。」


セリナはいつも一番最初に俺に声をかけてくれる。

可愛い奴め。



「今日には旅立つんだろ。しっかり食べてってくれよな。」


朝ごはんはパンに目玉焼き、サラダにスープ。デザートにりんごが付いてた。

一般的な朝ごはんである。


ヒナは美味しい美味しいって食べてる。

そしてヒナは子供ながらによく食べるほうだと思う。

今まで食べてた物が物だけになんでも美味しく感じるんだろうな。

しっかりいいものを食べさせてあげたいぜ。



「いつ村を出るんだ?」


「飯を食べ終わったら出るぜ。世話になったな。」


「そうか。またいつでもきてくれよな。この子達もまた会えるのを楽しみにしてるからな。」



「えー、もう行っちゃうのー。」


「もう少しいてよ。」


「寂しいよ。」


三人娘達はヒナに自分たちのりんごを上げながら口々にそんなことを言った。


「この人たちは旅人なのよ。目的があって旅をしてるの。みんなで笑顔で送りましょうね。」


「「「はーい。」」」



食事が終わり村を去ろうと宿を出ると宿屋の一家と装備屋一家と助けた人たちとその家族が見送ってくれた。


「お兄ちゃんたちまたきてほしいのー。」


「次きたらまた剣教えてくれよな。」


「ヒナちゃん、絶対また遊ぼうね。」


「本当にありがとうございました。何か困ったことがあれば力に鳴らしてください。」



みんなが別れの挨拶をしてくる。

この村もいいとこだ。またいつか来れたらいいな。


「あっ、お兄ちゃんしゃがんでほしいのー。」


「おっ、どうしたんだい。」



「お礼のちゅーなのー。」


ちゅーっとほっぺが吸い込まれてるのがわかる。


「きゃー///」

「セリナずるいー。」


「あらあら子ったら。」



ヒナは疑問に思ったのか首を傾げてる。


「何してるの?」


「女の子はありがとっていう時にチューするといいんだよ。パパがママによくねだってるのー。」


「セリナーーー////」


宿屋の父が顔を赤らめて恥ずかしがってる。

そりゃあ大勢の前でそんなこと暴露されたら恥ずかしいか。


「アルクアルク。」


「なんだいヒナ。」



耳を近づけるとそのまま頬にキスされた。


「ありがと。アルク。」



俺の頬も赤くなりそうだぜ。



俺たちは村を出た。

お土産に首都までの食料の入った袋ももらい、もらってばっかの旅だと実感したぜ。


「首都まではどのくらいかかるんだ。」


「ここからだと2日くらいかな。」


「2日歩くの?」


「そうなっちゃうね。途中に村があるから今日はそこを目指して行こう。それと少しだけ寄りたいとこあるんだけどいいかな。」


「構わないぜ。どこによるんだ?」


「何もないとこなんだけど少しね。」



この辺りは平原らしい。

見晴らしも良く辺りの景色を楽しみながら歩ける。

見渡す限りの草っ原。所々に花も咲いていて綺麗だ。ヒナは時々飛んでいる蝶々を追いかけている。


たまに襲ってくる魔物を倒しながら俺たちは進んで行く。



「平原の旅は楽でいいぜ。魔物が遠くからこっちに向かってくるから構えられんぜ。」


「油断しちゃダメだよ。首都の近くだからそんなに強い魔物はいないけど、何があるかわからないのが旅だからね。」


「あの飛んでるの何。捕まえたい。」


「あれは蝶っていう虫だな。生きてるんだし捕まえるのはやめてあげようぜ。」


「生きてるんだ。わかった。」


「あっ、寄りたいとこが見えてきた。」



シャルが指差しているのは石とか木材が転がっているように見える。


その場所に着いてみてみると、瓦礫や家に使われていたであろう木材が転がっている場所だった。



「ここはなんなんだ?」


「ここは、勇者に滅ぼされた村だよ。」


「誰もいないね。」


「ここにね、お母さんのお墓があるんだ。お母さんは昔、ここに住んでたらしいんだ。村が滅んでからは違うとこに住んでたんだけど、ここに埋めてくれって言ってたみたいなの。」



なるほど。そういうことならば寄りたいのも仕方がない。


ヒナは地面にありでも見つけたのかしゃがみこんで見つめてる。



滅んだ村の真ん中にひとつの墓があった。

その中の一つの前に立ち、シャルは黙祷をはじめた。


墓にはレイラ・ローレンと名前が刻まれている。


「私ね、お母さんが生きてる時はここの近くのクエン村ってとこに住んでたの。お母さんが死んだ時に私に勇者の能力があることがわかってメザリアの勇者育成学校に行ったんだ。」



「そうか。シャルは大変だったんだな。」


「お母さんね、ずっとお父さんに会いたがってたの。旅をしてればいつかお父さんにあってここに連れてくるんだ。」



「そっか、きっとお母さんも喜ぶぜ。俺もちょっと挨拶しとくな。」


手を合わせて頭で語りかける。



あなたの娘さんはまっすぐ育ってます。

きっとこの子は幸せになります。

この子のことを見守ってあげて下さい。




「ありがと。アルク。そろそろ行こうか。もう少し歩けば村に着くから。」



そこから少し歩くと村があった。

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