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魔王な俺とダメ勇者  作者: 変態紳士
西の大陸編
2/67

2

神父様に呼ばれた俺は村の教会兼孤児院に向かう。

神父様は孤児だった俺を拾ってくれた素晴らしい人だ。

その時の記憶なんて今の俺にはないが神父様が孤児院を作って初めての孤児が俺だったらしい。


つまり一番の古株 。

神父様は孤児たちに文字の書き方や世界の決まりや常識 、剣の使い方などいろんな事を教えてくれる。

もし神父様がいなければ俺や妹や弟、みんな生きてなかったんじゃないかなとか考えている。


そんな事を考えてたら神父様のいる部屋の前についてしまった。

部屋に入って目につくのは壁一面の本棚 真ん中にでかでかとある机。

そして その机の前に佇む黒髮で頂上付近が若干淋しくなってるおっさんだ。


「よぉ おっさん。なんのようじだ?」


「きて早々なんの前置きもなくその言葉は如何なものかと思うぞ」


こんな無礼な言葉を話しても神父様は笑って許してくれる。


ただ髪のことを言うと顔が引き攣るのでそれだけは言わないのが孤児たちの暗黙の了解だ。


「まぁいい、要件というのはだな…お前の能力についてだよ」


神父様が言ってる能力とは 俺の持ってしまってる[消滅]のことである。

俺のこの能力のことはただ1人、この神父様だけが知っている。


「かつてより、この世界には7人の魔王がいる。その魔王たちにはそれぞれある能力が宿っていた。これが後々魔王の固有能力であるのは知ってるな」


これは世界の常識である。

おれは肯定の意味で頷く。


「古の勇者がこの魔王たちを討伐することに成功し世界は魔王の脅威に怯えることはなくなったかと思われた。しかし再び魔王の能力は蘇った。魔王の固有能力はただ倒すだけでは蘇るのだ。しかも血族なども全く関係ないとみえる」


どこで、どうやって、何故蘇るのかは分からないがその事はおれ自身が証明できる。

魔族でもなんでもないただの人間が魔王の固有能力を持ってしまってるからな。


「その魔王の固有能力を完全に倒すには能力を持ったままの魔王をジュダ教会に連れて行き、封印なり浄化なりするのであろう」


魔王の討伐は世界で最も力を持った教会 [ジュダ教]

世界で唯一魔王の固有能力の復活を無くすことのできる術を持っている。

現に1人の魔王が数年前勇者に生け捕りにされこの教会に連れていかれた。その能力はどちらも現在に至るまで復活していないらしい。


「魔王の固有能力とは与奪、守護、創造、再生、重力、無限、そして最後の一つは」


神父様の目が俺を見つめそしてその目を閉じた。


「お前の持ってしまった[消滅]なのだよ。」


何故 今日このことについて話すのか。

確かに もしここに魔王の能力があることがバレたら間違いなく国から衛兵や民兵、勇者の大群が押し寄せてくる

ここにいるみんなに迷惑をかけるのは辛い。

覚悟を決めるしかない。


「そうか……今から教会に出頭すればいいのか」


覚悟が決まってるかは分からないけど、ここにいる弟や妹、神父様やシスターのみんなに迷惑かけるよりは俺一人消えた方がずっとましだからな。


「クックック、お前はいい子だな。周りを想いすぎて自分の事を軽く見過ぎだよ。誰が私の可愛い子供を傷つけさせるものか」


神父様は笑いながらそういうと急に真面目な顔になり話し出す。


「だが、この事が広がり軍などに攻めてこられても勝てないのは間違いない。だがお前を見捨てる気はない。とゆうわけで、お前は旅に出なさい」


なになに急に勘当かよ なんてことは思わない。

神父様に出来ること、神父様はきっと必死に考えてきてその上での結論を話しているのだろう。


「仮にも神父なんだろ?魔王を捕まえなかったりいろいろ大丈夫なのか」


「別に私はジュダ教ではないしな。そんな事より世界は広い。この世界には魔族と人が共存してる街もある。とりあえずはこの西の大陸を出て東の大陸を目指せ。そこへ行けばお主はきっと生きていける。魔王の力なんて関係ない場所はたくさんあるのだよ」


「そうか。」

この神父はきっと優しすぎる。

なぜならこの神父様 目を真っ赤にさせて涙を堪えてるのが丸わかりな感じだからだ。


「いつ 出発しようか」


「出来れば早い方がいい……近々この地域に[見定めの勇者]が来るらしい」



魔王を倒すべく生まれた勇者。

勇者にも各自 様々な能力を持っている。


見定めの勇者とは名前から考えるに俺が魔王だという事も見定められるのではないだろうか。


「わかったぜ、なら明日の早朝より行くとする。じゃあ準備とかするから俺は行くな」


そう言って俺は部屋を出ようとする。


「すまない守ってやらなくて…私に力がなくてすまない」


小声でずっと謝っている。


「何言ってんだ神父様。俺がここまで生きてこれたのも一人で生きて行く力をくれたのも全部あんただぞ。 感謝する事はあっても恨むことなんて何一つねぇよ」


そう言って部屋を出る。

出る直前に一言だけイタズラだ。


「神父様……本当にありがとうございました」


そう言って部屋を出てやった。


部屋を出てからすぐ、うぉぉぉと泣き叫ぶ雄叫びのような声が聞こえてきた。


さて

明日から旅立ちだ

めざすは我の安住の地へ



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