始まり
この世界は不条理が満ち溢れてる。
生まれもって裕福な者、貧しい者、頭の良さ,可愛さなど挙げていけばきりがない。
しかしその中でも稀に表れる【能力】 これを持ってしまった人間はもれなく国や教会から勇者候補生に選ばれる。
さらにその中の一握りの者たちは勇者となり魔王を討伐や市民を魔物から守る義務が生まれる。
選ばれた者は国や教会、市民などから様々な支援を与えられ、実際に魔王を倒しに行かなくても適当に魔物を倒すだけで一生暮らせることもできるらしい。
正直 魔王を討伐なんて死と隣り合わせなことなんて俺はごめんだぜ。
この世界は能力を持っているかいないか、それだけでも人生が大きく違っている。
能力は人によって様々なものがあり、傷を癒したり火を操ったり予言を使えたりなど様々だ。
能力が無い者でも[魔法]が使えたり覚えたりすることはできるらしい、
生まれ持っての才能や努力が必要だし何より俺には使えないらしい。
別に俺が選ばれた者ではないから、魔法なんて使えないからとか捻くれたりは思っていない。
俺は孤児院で育ってきた。
育ててくれた神父様やシスターの人たちはみんな優しいし家族と呼べる人もたくさんいるからそれもいい。
ただ 一つ この世界が不条理まみれだと感じている一番の原因は・・
(なんで俺に魔王の能力があるんだーーーーー)
心の中でそう叫び世界の不条理さについて考えていた。
世界には魔王と呼ばれる者が7人いる その7人にはそれぞれ 魔王特有の能力がある。
そして俺が持っているのはその能力の内の一つ ”消滅”だった。
ここは西の大陸のとある田舎 [ナルカ村]。
そこの孤児院で俺は育てられてきた。
名前はアルカ 17歳のイケイケな男だぜ。
特技は双剣術と子供のお守りをする事だ。
今は一人で考え事という名のまったりタイムで誰もこないお気に入りの川の近場で寝転んでいる。
「あーるーにいーー」
なんか呼ばれてる気がした。
この声は同じ孤児院のメルだな。
「おぉーー メルじゃないか。どうしたなんか用か」
赤っぽい髪の色 、黒の目 、まだ幼さが残る顔立ちをしてる妹だ。そして犬耳と尻尾がチャームポイントの可愛い妹だ。
「なんか用か、じゃないわよ。神父様が呼んでるから探してたのよ」
お気楽な感じです返事をしたからちょっとご機嫌斜めになってしまった。
「そっか。ありがとな、探してくれて」
そう言いながら頭を撫でてあげる
こうするとこいつは喜ぶ。
にゃにゃ 、にゃにをー とか犬耳のくせに猫っぽい事言いながら尻尾をブンブン振ってくれる可愛い妹だ。
「よし、じゃあ行ってくるぜ」
俺はダッシュで神父の元へ向かう。
「子供扱いばっかりしないでって言ってるでしょー」
後ろから何か聞こえるがしらぬ。
可愛いのが悪いのではないかと考える。
さて 神父のおっさんは何の用か。
またお使いとか剣の稽古か…まぁとりあえずいくか。
この後の展開で俺の人生が大きく変わる事を知らずに俺は呑気にそんな事を考えていた