#6 In病院2
ピローン!
▽「マオはHPを回復した。」
えっ!?何これ!!
▽「マオは目が覚めたようだ。」
もういいわ!!
「くっそー。変なモンに起こされちまった。」
頭を掻きながら横を見る。すると、ちょうどスバルが目を覚ました。
ピローン!
▽「スバルが目を」
「もういいわっ!!」
「マオ…。うるさい。」
「大変申し訳ございませんでした。」
やべーよ。昨日の看護婦より恐えーよ。これが俗に言う低血圧というものなのか?
おっと、そーいえば。
「あのさ、スバルってカルト教団にとって何なの?」
「……。」
「いや、そのなっ…。えっとー、」
唐突過ぎたし、変に思われただろうと思って何か言おうとするが、焦りすぎて上手く言葉が見つからない。
「えーっと、」
「僕は奴らの最初の実験体だよ。」
「えっ…。」
その一言に辺りの空気が一瞬にして凍りついたような錯覚を覚えた。
しまったと思ったがもう遅い。口に出した言葉は二度と取り消すことが出来ないのだ。
「…っと、あー…。」
「別に一緒に行動するならどうせバレることだし。いつかは言わなきゃと思ってたから。」
気を使わせちまったな。
「でも、最初の実験体ってだけであんなに執着するもんなのか?『最初の』ってことは2回も3回も実験してんだろ?だったら別に…。」
「確かにマオの言うとおり、最初の実験体ってだけでこんなに執着するはずが無い。でも、それだけじゃないとしたら?」
これだけじゃない…?
「僕の魔法を思い出してみなよ。」
「あっ!多重魔法!!」
「そういうこと。まぁ、僕の場合は二重魔法っていうんだけどね。」
「すげーじゃん!でも何でカイとか言う奴は知らなかったんだ?」
「奴らの組織はマスター・ミストレス・マスターとミストレスの直属護衛隊でもあるリッター・戦闘員のケンプファー・雑用のバオアーという階級に分けられているんだ。」
「何だそれ。」
「解りやすく言えば、キング・クイーン・ルーク・ナイト・ビショップ・ポーンという感じだよ。そして、カイは確かケンプファー。実験や大切な情報を握っているのが、マスター・ミストレス・リッター、そして僕ら実験体の一部。」
「なんか話が大きすぎて分からねぇー!」
「その内分かるよ。」
「そーだな!!さーて、これからどうする?」
俺はスバルの言葉に頷き、尋ねた。
「仕方ないからこれから一緒に行動してあげるよ。僕が居ないと途中で倒れそうだし。」
「スバルに言われたかねーよ。素直に『僕も一緒に行きたい』って言えばいーじゃねぇか。」
そう言った途端、スバルの顔がみるみる真っ赤になっていく。
「そっ、そんな事この僕が言う訳ないでしょ。」
お前はツンデレかっ!
「じゃあ、改めてよろしくなスバル。」
「あぁ、よろしくスバル。」
あり?デジャヴ?
「スバル。ちょっと寄りたいとこあるんだけどいいか?」
ふと一緒に連れてきた彼女のことを思い出し、身支度をしているスバルに問いかけた。
「好きにすれば。」
「おしっ!!じゃあ行こうぜ。」
確か202号室だったよな、と思い出しながらエレベーターに乗り、2Fのボタンを押す。
ウィィィンという機械独特の音が聞こえ始めたかと思うとあっという間に着いた。
「あのさ、マオ。一つ言っていい?」
「何?」
エレベーターを降りながら聞いてきた。
「これ、エレベーターの無駄使い。」
ごもっともです、スバルさん。
確かにたった一階降りるだけで…と考えながら目的の部屋の扉を開く。
「ようっ!大丈夫か?」
「あっ!マオさん、お陰様で。」
後ろで頭にハテナマークを浮かべるスバルにそれまで起きたことを全て伝えた。
「そんなことがあったのか…。迷惑かけてごめん。」
「謝るときは素直なんだな。」
「うっ、うるさいっ。あの時魔法を発動していたら僕は捕まってなかった!!」
「意外とスバルって喋るんだな!……ツンデレ?」
「ツンデレじゃない!」
スバルが認めないため言い返してやろうとすると、今まで蚊帳の外にいた彼女が喋り掛けてきた。
「もう行ってしまわれるのですか?」
「あぁ。」
「ご無事で。」
祈るように見つめてくる彼女に手を振りそのまま病室を出て、病院を後にした。
この話をUPするまでにかなりの時が経ってしまいました。
待っていてくれた方がいるかはわかりませんが、この場を借りて謝ります。
すいません!!
これからはなるべく1週間に1回はUP出来るように頑張ります!