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八話 お約束は結構大事

前回はちょっと微妙なところで終わってしまっていた気がしたので、ストックから急いで投稿しました。

かなり短いです





「珍しくないんじゃなかったの……?」


 私の感動を返せと言いたかった真冬だが、そこはこらえた。

ジト目の真冬にすこし身を引いた鷹人は、


「いや、異族と仲良くなるたびにお願いしてんだけど、皆断られてさ……。前会った猫耳のやつに関しては『この変態が!』って罵倒までされて――」 


 心底残念だと言いたげな彼の言葉は、真冬の耳には届いてなかった。


……ど、どうしよう


悩む。実を言うと、今まで千秋による不意打ち以外は誰にも触られたことも、触れせたこともない。

何故か。

……敏感なのよね……

 これも特性なのだろうか。感度は上がり、そのおかげで風や音などは人の何倍も感じることができる。

もちろん、それは触れられるという事も含まれる。


最初自分で触ったときは、それはそれは痛かった。

しばらく床をのたうち回ったほどだ。

 それからしばらくたって、ニット帽をかぶるぐらいなら、なんとも感じなくなってきた。

頭を洗う時も、優しく触れれば痛くはない。

が、他人に触れられるとどうか。


千秋の時は、痛かった。

 自分で触れた時よりも数段に。おかげでしばらく意識が飛んだ。

おきた時には千秋が泣きながら謝ってきたのはいい思い出である。


「わかったわ。――けど優しくよ、優しく! ほんっとに痛いから!」


「お、おう分かった……」


 久しぶりに再会した幼馴染だ。多少の我儘は聞いてあげよう。


「じゃ、じゃあ……」


 鷹人は、身を真冬に寄せ、彼女の頭に手を伸ばす。

 

「ほ、ほんとに優しくしてよ」


「わかった」


 その手が彼女の耳に触れた瞬間。


「――っ!?」


 ビクリッと体が跳ね上がり、背筋に電流が走ったような感じがした。

……な、なにこれ!?

痛いわけではない。どちらかというと、くすぐったい感覚。

あえて言うなら、『すっごい変な感じ』だ。

 蚊が耳元を飛んでいる時に似ているかもしれない。


「へえ、犬のヤツと変わんねえんだな……」


 ふにふにと、耳を触る鷹人はそのことに気が付いていない。

言いつけ通り、優しく触っている。

その間も、ぴくりぴくりと体は動いているが。


「ちょ、ちょっとストップ……」


 流石に耐え切れなくなったので、静止の声を掛けた。


「ああ。……って、どうしたんだ!?」


 見ると、真冬は顔を赤く染め、息をわずかに乱している。

事情を知らぬ人が見たら危ない。


「わ、悪い! 痛かったか?」


 慌てて謝る鷹人に、違うの、とだけ返す。


「痛くはなかったけど、なんというか……」


 そこで言葉を区切り、


「と、とにかく、もう終わり! お茶のおかわり持ってくるからちょっと待ってて!」


 一気にそれだけいうと、真冬は立ち上がった。が


「あ」


 足に力が入らない。耳に触られたことが原因なのだろうか。

バランスを崩し、地面に倒れそうになる。


「おっと……」


 それを鷹人が受け止めた。

そのまま地面に座り、


「大丈夫か?」


 鷹人は真冬の握る湯呑を取り上げ、テーブルに戻した。


「あ、ありがとう……。大丈夫だから離して」


「ああ」


 少し名残惜しそうに真冬を離した鷹人。

同時に、玄関からがちゃり、と音がした。


「姫ー、アンタ買い物袋置きっぱなしだったよ。……ってあれま」


 入ってきたのは女店主。

 彼女は言葉を区切り一拍ほど言葉を溜めてから、


「なるほど、真冬が欲情して、そのまま鷹人にガバーッって感じかい? すまんねえ、お取込み中に……。それじゃあ失礼」


 一気にそこまで言うと、袋を置いて扉をしめた。

二人は顔を見合わせた。

今、鷹人は座りこみ、それに覆いかぶさる形で真冬がある。

それは事情を知らない人が見れば、そう見える訳で――


「あ!?」

 

二人は急いで玄関に向かい、女店主を連れ戻すべく動き出す。

今頃いいネタが手に入ったと年甲斐もなく小躍りしているだろう彼女に口止めしなければ、街中に言いふらされることになる。

それだけは死守しなければ。


「ま、待ってください! 違うんですってこれは!」


 二人は玄関を出て、廊下にいた女店主を引きずりもどすべく走っていく。


騒がしい日常というのは、彼らのためにあった。

 


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