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もしもあの時  作者: みかん
6/10

サイフ喪失事件

ぼく達が教室に戻っているとぼくのクラスがざわざわとしていた。

「どうしたんだろう?」

ぼくは不思議に思い急いで教室に向かった。

教室に入るとおさげ髪のクラスメイト、金子 りおを囲む数名

意外は全員教室十をきょろきょろと探っているという異様な風景だった。

「あっ!ハルト・・・と桜木」

さっきまで熱心に床にはいつくばっていた、たける(ぼくの友だち)が

ぼくに駆け寄ってきた。

「お前も探してくれ!」

「何を?」

ぼくが聞くとたけるは切羽詰ったように

「金子のサイフだよ!必死に皆探すけど見つからないんだ!」

と言うと外に飛び出ていった。状況が分かったようで分からなかった

ぼくは金子に直接聞くことにした。桜木は気付くとロッカーに向かっていたので

ぼく一人で金子と女子数名のところへ行く。

「大丈夫?」

「うっうん・・・」

ずっと俯いていた金子が顔を少し上げた。もう半分泣いている顔だった。

半べそかいている金子に代わって女子たちが詳しく教えてくれた。

「私達と中間休みジュースを買ったときはあったのよ?」

「でも、その後昼休みにサイフがないって気付いて・・・」

「お金自体はそんなに入ってないけど、大切なお守りが入ってるんだって」

金子がうなずく。ぼくは状況を整理した。

(チュウカンヤスミジュースを買ったてことは自販機の周辺にあるんじゃ・・・)

ぼくは探しに行こうと扉を開けようとした。・・・が、手を止めた。


「あってぇ?どうしたの桜木さん」

つい声のするほうを振り返ってしまった。見るとそこには女子が4.5人。

中には桜木もいる。

(どうしたんだろう・・・)

遠くて何を話しているのかぼくにはまったく聞こえない。けれど、桜木が

教室を飛び出した後女子がクスクスと笑っている所から

あまり良くない雰囲気だ。

すると、女子1人がぼくに気付いて怒鳴った。

「ちょっと!こっち見てないであんたも探しなさいよ!!」

ぼくはびっくりして追い出されるような形で外へ出た。

しばらく廊下を歩きながら歩いていると、階段に座り込んだ誰かが

うずくまっていた。茶色い髪。ぼくは「もしかして」と思い近寄った。

(やっぱり・・・・)

桜木だった。彼女はぼくに気付くと顔を上げた。

「小林・・・?」

「うん」

ぼくは少し距離を置いて座った。そして恐る恐る

「どうしたの・・・?」

と聞いた。すると彼女は小さな声で

「私のカバンに入ってた・・・」

と言って何かをぼくに突きつけた。

薄いピンクの小さなサイフ。キーホルダーには

『KANEKORIO』

と書いてあった。ぼくはハッとして

「これって・・・!!」

「そう・・・。金子さんのサイフ。前使ってるの見たことある。」

「どうしてこれをもってるの?!」

驚きのあまりつい声が大きくなる。桜木は少しビクッとしたが

ぼくよりも大きな声で

「知らない!!!」

と答えた。ぼくはびっくりしてサイフを落としそうになる。桜木は続けた。

「教室に帰って、ノートをカバンにしまおうとしたら入ってた。私は知らないし

取ってない・・・!信じられないと思うケド・・・」

最後の声はとても弱々しかった。ぼくは励まそうと笑顔で

「信じるよ」

とだけ言った。ほかに言葉が思いつかない。

桜木は目を白黒させてぼくに聞いた。

「どうして信じられるの?」

ぼくはうまく返す言葉が見つからず黙ってしまう。

(確かにどうしてだろう・・・。決定的な証拠とかはないんだけど・・・)

「桜木はそんな悪い人じゃないと思うから」

「えっ・・・!?」

桜木はとても驚いた顔をしたがすぐ顔を伏せた。

昼休みのチャイムが鳴る。

ぼくはだんだん恥ずかしくなってきたのでスッと立ち上がって

教室のほうで歩き出した。

ポケットにそっと金子のサイフを忍ばせて。

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