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もしもあの時  作者: みかん
4/10

君の歌

「ハァ・・・」

今日で何度目のため息だろう。昼休みでのあの出来事を思い出しながら

ぼくは夕飯のカレーを作っていた。

小林家は両親ともども1日中仕事なので、基本家事は当番性。

朝食はぼくが朝起きるのが遅いぼくの代わりに秋奈が。

夕飯は部活で帰りが遅い秋奈の代わりにぼくが。

これが小林家兄弟のルール。

(何か今日は疲れたなぁ・・・。)

ニンジンやジャガイモ、玉ねぎを一口サイズに切ってボウルに入れながら

また小さくため息をついた。

(にしても、まさか桜木があんなに歌が上手だったとは・・・)

彼女の歌声を思いだしながら野菜を炒める。

(ていうかあの質問責めは正直怖かったなぁ・・・。

普段あまりしゃべらない人がしゃべるとこうも怖いのか?)

と彼女にされた質問責めを思い出しながら肉も炒めた。十分に火が

通ったらなべに水を入れる。

(でもやっぱり一番こたえたのは・・・。)

『ごめん・・・』

つい強く腕を振り払った僕に呟いた言葉。

少し悲しそうな表情を思い出すと心に何かモヤモヤとした黒いかたまりが

でてくる。

(女子の・・・しかも、いつも無表情の人の悲しそうな顔って

なんかダメージくるんだよなぁ・・・)

とカレーのルーをなべに入れながら考える。

なべにふたをしてからぼくは心の中の黒いモヤモヤを吐き出そうと

大きくため息をついた。

「ちょっと!そんな辛気臭いため息つきながらご飯作るのやめてよ!」

「!」

声のするほうを見るとまだ制服姿の秋奈が立っていた。

「あっ秋奈?いつ帰ったんだよ!?」

「さっき。もうおなかペッコペコ・・・」

秋奈はそういうとソファーにどさっと寝転ぶとテレビをつけた。

毎週この時間帯にやっている音楽番組だ。

「テニスの練習そんなにハードなのか?」

「うん。もうすぐ試合が近いから・・・」

秋奈がテレビを見ながら答える。

「そっか・・・」

ぼくは短く答えるとなべをかき混ぜた。

『では、次は最近話題の高城リタさん!歌ってくれる曲はドラマの主題歌

になった「目の前の景色」よ新曲、「秋空」です』

ぼくは聞いた事のない人物の名前に首をひねった。

「誰?」

「知らないの?最近売れてる歌手だよ。この人の歌、歌詞がいいんだよねぇ。

例えば今から歌う『目の前の景色』とか!」

と秋奈が教えてくれたそのすぐ後に曲が始まった。

ぼくはサラにカレーを注ぎながら聞いていた。けれど歌手が歌った

瞬間、ぼくは驚いてカレーを零しそうになった。

「あぁ、目の前に映る____」

「この歌・・・!」

「?」

秋奈が少し振り返るが僕が何も言わないのを見てまた視線をテレビに向けた。

ぼくは今日昼休み屋上で聞いた歌を思い出して比べる。

歌詞もテンポも同じ。やっぱり__

(桜木が今日歌ってうた曲だっ・・?!桜木もしかしてこの歌手が好きなのかな?)

ぼくはカレーをテーブルに運びながら「よし」と小さく呟いた。

(明日、「昨日はキツくあたってごめん」って言うついでに聞いてみよう)

と決意して。

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