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もしもあの時  作者: みかん
10/10

意外な欠点

(ふぅ・・・)

『衣装系』が集まる会議室のドアを静かにしめ、ため息をつく。

「さてと・・・次は『メニュー係』かな」

『衣装係』に伝令の内容を伝えるたびに

「和風って具体的にどんなの?」

「秋がイメージ?じゃぁ衣装はもみじがテーマでいいの?」

と、こんな風に質問されて内容をすべて伝えるのに時間がかかった。

(はやく『メニュー係』にも伝えないと怒られるなしなぁ・・・)

本当はやってはいけないのだが、ぼくは廊下を走り出した。


ガッシャーン!


「?!」

思わずいすくむような大きな物音がしたのはぼくが

家庭科室についたのとほぼ同時だった。

「とりあえず窓を開けよう!」

慌てた声とともに家庭科室内の窓が開けられてゆく。

「・・・あっ」

「あっ・・・」

たまたま廊下側の窓を開けていたのだろう桜木のとぼくは目が合う。

彼女の澄んだ目を見た瞬間、この前の出来事を思い出す。


『あなたってお人よしね・・・でも、ありがとう』

金子のサイフ喪失事件の解決後、彼女がぼくに見せた

初めての純粋な笑顔。まだハッキリと頭に残っている。

思い出すとまた頬の熱さがぶり返してきそうだ。

「・・・小林?」

「えっあっ・・・何かな」

急に桜木に声を掛けられて我に返る。

(女子の笑顔思い出すなんて・・・!ぼくって気味悪いなぁ・・・)

「小林はどうしたの?家庭科室に来て」

ここでやっと本来の目的を思い出す。

「ぼくは、その、『衣装係』の伝令に来たんだ。」

「伝令?だったら少し待ってて。片付けをするから」

「片付け?」

「うん・・・」

彼女はそう言うと中に入っていった。

「ぼくも伝うよ」

ぼくも家庭科室の中に入っていった。

片付けが終わってから伝令を伝えるなら、ぼくも手伝って早く終わらせたほうがいい。

(・・・何があったんだろう)

何か焦げ臭いにおい_黒いクッキーは散らばる床。

割れた皿が数枚。

「この黒いクッキーどうしたの?」

「・・・私が作った」

「え?・・・」

「私が作ったの」

ぼくは黒いクッキーと桜木の顔を数回見比べた。

桜木は顔をふせたままもくもくとクッキーと皿を片づける。

ぼくは聞いてはいけない。と思ったが_

「桜木って料理・・・」

「下手・・・なんだ」

チラリと顔を上げて僕の言葉に続く。

少し照れた桜木の顔を見てぼくは口元がゆるむのを感じた。

全部の片付けが終わるのは全員でやった事もあってそう時間がかからなかった。

その後すぐに伝令の内容を伝え、図工室にもどった。

桜木の意外な一面を知れて少しうれしいと感じている自分がいる。

(ぼくって本当にキモイやつだなぁ・・・)

ぼくは深い深いため息をついた。

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