ファンタジーもの。
剣と魔法の世界にも、一般人はいる。
俺の名前は「*」。そう、その辺にいる一般人だ。
俺が持って生まれた役割は、「ここは○○○の町です」と言うこと。それだけ。
でも、それだけでどこからか一生暮らす分のお金が支給されるし、特に他の仕事をする必要も無いので嬉しい。
俺のご先祖様も同じ職業についていたらしく、あの伝説の勇者と会話したこともあるらしい。
だが、時々思う。これでよかったのかと。
本当は、俺も勇者と一緒に冒険したり、魔王を倒したりしたかったんじゃないのか?
勇者なんて、最初は街の入り口をぐるぐる回って、青色の軟体動物やコウモリもどきと戦って経験値を稼いでいたようなガキじゃないか。俺の町の周りなんて、あいつが5レベルくらいになってようやく倒せるようなやつらしかいない。つまりスタートは俺のほうが強いのだ。ちゃんと修行すれば俺だって勇者になれたのかもしれない。
・・・なのに、どうして俺はこんな場所にいるのだろう・・・。
何を間違えて、こんなことになったのだろうか・・・。
おっと、そんなことを考えているうちに、人がやってきたぞ。さあ、仕事だ。
「* ここは○○○の町です」