エッセイ・短編 命・言葉・愛・感謝・希望等をテーマにした作品です
えにし
縁も所縁も、
袖触れ合うも他生の縁。
という言葉があるように、どこでどう転がっているのかも分からない——
それが“縁”。
「偶然」という便利な言葉もあるけれど、
それって、本当に偶然なんだろうか?
この世のすべては、振動している。
ある人から聞いた話。
原子ってこと。
それは、私たちの身の回りにあるすべてを構成している最小の物質。
目には見えないその粒たちは、常に揺れていて。
つまり、わたしたちは“震えるもの”でできているらしい。
よく「馬が合う」っていうのも、
原子レベルでの波長、
つまり、感覚の深いところで響き合う「周波数」が、きっと似ていたんだ。
共振、共鳴、共感。
それは、人と人のあいだだけじゃない。
それが物でも、「一目惚れ」して買うことがある。
物と自分が共鳴したってことらしい。
縁も、つまりは必然なのではないだろうか?
まさに、あの日、あの時、あの場所で——
という、どこかで聞いたことのあるような言葉のように。
私が行動していなければ、
相手も行動していなければ、
その縁は、生まれなかったはずで。
あの場所に至る過程は違っても、
あの場所で会うということだけは、
もう、決まっていたのかもしれない。
もしかしたら、
その場所へ向かおうとする「きっかけ」の中にさえ、
もうすでに、縁の芽はふくらんでいたのかもしれない。
それが、長く続く縁でも、
すれ違う縁でも、
深まる縁でも、
あるいは、離れていく縁だったとしても。
どんな縁でも、
それはきっと、
縁起がいい。
……そう思うのです。
拙文、お読み下さり、ありがとうございます。