横河翔太の贖罪
横川翔太には幼馴染がいる。ただ約三年間彼は幼馴染と会っていない。なぜなら彼の幼馴染、早苗川日和は小学生6年生から現在高校1年生まで不登校なのだ。それでも会おうと中学の三年間宿題などを届けに行っていているが、一度も顔をみたことがない。彼の中の早苗川日和は小学校6年生で止まっていている。3年たっていた今でも思い出せる日和の顔思い浮かべながら。彼は心のなかで呟く。なぜあの時自分は動き出せなかったのだろうと。
横河翔太の幼馴染、早苗川日和が不登校のきっかけとなったあの出来事。もちろん彼もその場にいた。最初はただのいたずらだった。そこからだんだんエスカレートしていき、いじめに変わった。親や先生に相談しようとからが言うと「大丈夫」と少しかすれた声で彼に笑いかけた。彼女が不登校になったのはそのすぐあとだった。今でも思う自分にはまだやれることがっていたのではないか、もっとうまくやれたのではないか?そう思い返しても無駄だとしても、彼女の家の前に立つといつも考えてしまう。彼は謝りたいのだ。それが自己満足だとしても、ただ謝りたいのだ。「あの時はごめん」と。
日和が高校に進学すると聞いたときは驚いたと同時にまだ謝れるチャンスはあると安心した。
翔太と彼女のとの関係は最初ただの近所のお隣さんからだった、そこからだんだんと喋るようになり、学校の登下校をする仲になった。しかし彼女が不登校になってからは下校するときに宿題などを届ける役割が唯一の早苗川日和との接点になっていた。だから中学生を卒業するとそのつながりがなくなってしまうのではないかと彼は不安だったのだ
高校に入学してからもう一ヶ月経っている。今日も翔太は日和が出てくるのを期待しながら、彼女の家のチャイムを鳴らす。