早苗川日和は恋がしたい
早苗川日和はボカロPである。彼女は根暗Pという名義でボカロ曲などを投稿している。作る曲は様々で世の中に不平不満を吐く歌や今巷で話題のディープな物など沢山あるが唯一彼女が作っていていないテーマがあったそれは恋である。
青春チックな曲は作ったことがあるのだが恋をテーマしたすなわちラブソングは作ったことがないのだ。
その理由は言うまでもなく、彼女が恋をしたことがないからである。というのも彼女は絶賛不登校中であり、恋する機会なってないのである。彼女の不登校は中学から始まっており、そこから高校二年の今まで続いてるの。
きっかけは些細なことから始まった。彼女は小学生の普通の女の子であった。だだ、少し男子に人気があっただそれだけであった。クラスの中心人物の女を仮にAと置こう。そのAには好きな男Bがいた。しかしBは早苗川を好きになったのである。そこさえ分かればもうあとの展開は簡単に予想できるだろう。
というわけで彼女には恋という物にあまり良いイメージがなかったのである。そんな彼女がなぜラブソングについて考えてるのかと言うと、ファンからのリクエストがあったからである。彼女は、自分の動画投稿サイトのプロフィールにリクエスト箱のリンクを貼っている。普段はあまりリクエストがないが、珍しく書き込みがあった。そこには、「根暗pさんが作ったラブソング聴いてみたいです」と書かれていた。ファンのめずらしいリクエストに彼女は応えしかないのである。
彼女はまず恋を知ろうとした。辞書で恋を調べ、恋についての哲学なんかも調べた、しかし自分の中でも恋が消化できなかったのである。そこで彼女はある結論にたどりたどりつく。"恋をしよう"と。恋についての調べてラブソングを書くより、実際に恋をして、その経験をラブソングにしてしまおうと思ったのである。
ただそこには問題点がいくつかある。まず、彼女は男以前に人としゃべれない。あと彼女は不登校だ、恋をする以前にクラスで悪目立ちしてしまう。そこでこの彼女はある男子の名前を思い浮かべる。"横河翔太"いわゆる幼馴染である。しかし、彼女は中学生から不登校で接点がない、高校は同じところを通っていていて、書類などを届けてくれているのだが受け取りは彼女の母"真子"にしてもらっている。そんな絶望的に男との関わりがない日和にとっては、翔太が唯一の希望だった。「今度翔太くんに会いに行こう、、、」そう心に決めた日和であった。