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EP.65-2 決着②

妄想主題歌(右クリック→移動 または、コピペでお願いします)

https://youtu.be/OahpETEBXxc


 ガリオンが持つ『堕天使の杖』が、強烈な光を放つ――




 刹那――




 ドッゴォオォオォオォーーーーーーンッッッ‼




 強烈な雷撃が、背後からガリオンの胴体を貫き、その余波で腹部にめり込んだ『悪鬼の戦斧』と、構えていた『堕天使の杖』は砕け散った。




 ……ドッ……シャアァッ……‼


 ガリオンは地上に墜落し、倒れた。


 彼が〈空中拘束〉して浮かび上がらせていた『鳳翼双剣』も共に落下した。


 無理矢理繋ぎ止めていた左腕と両脚も、再び千切れそうな状態になっている。


「……な、何だ……と……?」


 それは、ゲオルクの『雷霆ケラウノス』だった。


 ゲオルクは、彼自身が落ちて出来上がったクレーターの縁に立ち、『神槍グングニル』を構えている。一見して、ほのかに赤紫色の炎で身体が包まれているように見える。


 バチッ……バチバチバチバチッ……パチパチッ……パチッ……


 ゲオルクの『神槍グングニル』は電光を迸らせていたが、徐々に弱まり、消えた。


 そして、所々黒焦げになっていたゲオルクの肉体が、「ボロボロッ」と崩れ始め、灰が舞うように皮膚が剥がれて風に流され始めた。


 ボロッ……ボロボロボロッ……ドシャッ……


 ゲオルクの肉体が崩壊し、一気に崩れ落ちた。


「だっ、団長ッ⁉ ……な、何だと……」


 グライフは、声を絞り出すように呟いた。


 ジゼル、マイルズ、零番隊の3人は目を見張り、茫然と佇むしかなかった。ハーディーは視界が霞みながらも状況を把握し、ショックで心が強く打ちひしがれていた。


    ◇    ◇    ◇


 聖地サンクホフトの第三層の『ヴァルハラ宮殿』では、聖王〈メルクリウス〉が巨大な円形の窓の前に立ち、何かを感じ取っていた。


 聖王は目を見開いて茫然とした後、しばらくして目を伏せた。


「……ゲオルク……逝ってしもうたか……」


    ◇    ◇    ◇


「い、いやっ! ガリオンッ‼ いやぁーっ‼」


 キーラが零番隊の3人を押し退け、倒れたガリオンに駆け寄った。


「エレメ・ピセラシオンッ‼」


 涙を流しながらキーラは上級回復魔法を発動し、うつ伏せだったガリオンを抱きかかえ、仰向けに寝かせて頭を膝の上に乗せた。彼の目は虚ろで、意識を失いかけている。ガリオンの肉体は、明るい蒼碧色の光に包まれていく。


「なっ⁉ キ、キーラさん……⁉ な、何してんだよっ⁉ ……ハッ!」


 ジゼルがキーラに詰め寄るも、一瞬で察した。


 ガリオンの皮膚表面の小さな傷は徐々に消えていったが、胴体に空いた風穴を塞ぐ事はできない。回復魔法は、基本的には本人の自己治癒能力の加速化だ。骨折程度までなら治せるが、失った臓器・部位は取り戻せない。つまり、ガリオンはもう助からないのだ。




 そこにマイルズに支えられ、ハーディーとグライフが、よろめきながら歩いて来た。


 ハーディーとグライフは胸元に手を当て、自分自身の中級回復魔法で出血を抑えているため、胸元が薄緑色の光に包まれている。グライフもマイルズが所持していた回復薬ポーションを使用していた。


 遅れて、シリーが足を引きずりながら歩いて来た。彼女は自分自身に上級回復魔法をかけ、全身が蒼碧色の光に包まれている。マイルズがハーディーを助ける前に彼女を小回復していたため、自身の回復魔法で立ち上がる事ができたのだ。シリーは倒れたリツァルを見つけ、「あぁっ、リツァル……!」と、足を引きずりながらも彼に駆け寄った。




 ガリオンの皮膚は赤く染まって鈍い光を放っていたが、その光が徐々に弱まって消えていく。全身に浮き出ていた植物柄の紋様も徐々に小さくなり、色を薄めて消えていった。


 ガリオンの肉体から毒気が抜けていくように、正常な肌の色を取り戻していった。


「……う、うぅ……キ、キーラ……キーラか……? 俺は一体……?」


 ガリオンの目は虚ろで視界はぼやけていたが、キーラの膝の上で寝かされている事は理解できたようだ。


 そして、これまで起きた事は忘れていなかった。ガリオンは涙を流し始めた。


「……うぅ……お、俺は……い、一体……な、何て……事を……」


「ガ……ガリオンッ⁉ あ、あなたは…………私の…………‼」


 キーラはガリオンを抱き寄せ、顔を近付けて言葉にならない何かを囁いた。


「……キーラ……すまなかった……な……あり……が……とう……」


 キーラは大粒の涙を流し、「良いの……良いのよ……」と、何度も頷いた。


「……そ、そうだ……ゆ……有翼の…………け……継承……ハ――」


 何かを言い残し、ガリオンは息絶えた。


「……うっ、ううぅっ……ガリオンッ! いやっ‼ いやぁあああああぁぁぁ……‼」


 キーラはガリオンをギュッと抱きしめ、激しく慟哭した。


「ガリオンさん……最期に……正気を取り戻してくれたのか……」


 ハーディーが涙を流しながら呟いた。


 ジゼルも涙を流しながら、「どうして……こんな事が……」と呟いた。


 その場にいた全員が涙を流し、哀しみに暮れた。


「……俺は……、ガリオンさんを呪った連中を……絶対に許さない……‼」


 グライフは眉間に皺を寄せ、歯を食い縛った。そして身を翻し、ガリオンに背を向けて歩き出した。その表情は怒りに満ちていた。


 彼には察するところがあった。あの日、ガリオンに呪いをかけた者達の事を……。

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次回:2025年05月10日 23時20分

EP.66 追憶(エピローグ①)

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