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EP.64 覚悟

妄想主題歌(右クリック→移動 または、コピペでお願いします)

https://youtu.be/OahpETEBXxc


 キーラとリツァル達は目を見開いた。


 その刹那――




「ブースト2‼」


 ボボンッ‼ キュイィイィーーーンッ‼




 ハーディーが一気に『レベル・ブースト』を第二段階まで発動し、瞬間的にレベル400に達した。高出力で衝撃魔法『パイネ・アールト』を後方に連続で放ち、さらに旋風魔法『ヴァルテージ』で螺旋気流を巻き起こして、爆発的な加速を見せた。




至高シュプリーム・鉤爪アルティリオ‼」




 ズッッザザァンッッ‼ ――ドゴォーンッ‼ 




 ハーディーは〈超高速突撃〉で、キーラ達に斬りかかる寸前だったガリオンに追いつき、斜め背後から二刀流の二連撃で斬りつけ、そのまま意識が飛んで地上に落下した。


 ドシャアァッ!


 瞬間的に意識は飛んだが、朦朧としながらも何とか立ち上がろうとした。


「……ゲフッ……‼」


 しかし、血飛沫を吐き、胴体のX字の傷から大量出血し始めていた。


「ハーディーッ! た、助かった! エレメ・ピセラシオンッ!」


 リツァルが落下したハーディーの下へ駆け寄り、上級回復魔法をかけ始めた。


 明るい蒼碧色の光に包まれ、胴体のX字の傷の出血が抑えられ、徐々に閉じていく。




 一方、ガリオンは自動防御魔法も発動せずに完全に攻撃動作に入っていたため、直撃して地面に叩きつけられていた。その様子を見て、キーラが「ガリオンッ!」と叫び、彼の下へ向かおうとしたので、零番隊の聖騎士が3人がかりで必死にキーラを止めた。


 ハーディーの二連撃がガリオンの『魔霊鎧装』をも貫通し、ガリオンの脇腹と太腿から出血が起きている。その負傷を、自動回復魔法『アトマ・ピセラ』で回復しようとしたが、治りが悪い。ハーディーの『レベル・ブースト2』による攻撃のダメージは、魔霊気そのものを破壊し、魔力のコントロールを狂わせていた。


「……グフッ! 小童が……ッ‼」


 ガリオンが再び動き出し、倒れたハーディーとリツァルに突撃して斬りかかろうとした瞬間――


「ブースト2‼」


 グライフも『レベル・ブースト2』を発動して爆発的な速力でガリオンに接近し、彼の側面を突く形で『光射突フォトン・エマネイト・スラスト』を超至近距離で放った。


 瞬間的にグライフのレベルは410を超え、呪いが発動した直後のガリオンのレベルさえも上回った。


 ガギィイィンッ! バリンッ! ドシュッ‼


 ガリオンは前方のハーディー達に意識を集中し過ぎたため、反応が遅れた。


 彼は『鳳翼双剣』と発動が速い瞬間防御魔法『エスクード』で弾き返そうとしたが、グライフの『レベル・ブースト2』による突撃力は圧倒的で、『鳳翼双剣』は弾かれ、『エスクード』と『魔霊鎧装』を貫通して胴体に直撃し、ガリオンは吹っ飛ばされた。


 グライフの一撃で、ガリオンの『魔霊鎧装』にヒビが入り、一部が崩れた。


 ズザザッ‼


 しかし、ガリオンは倒れず、構えた。


「ぐぬぅっ⁉ ……おのれ……グライフ‼」


 ブゥンッ‼ ガリオンは『魔神器:有翼のアンクレット』を全開で起動して力を解放した。彼の両膝下が螺旋を描くように光の旋風で包まれ、爆発的な加速で上空に飛翔した。


「う、うぐっ! し、仕留め切れないとは……‼」


 グライフの『レベル・ブースト2』は持続せず、「ガクンッ」と脱力し、さらに反動ダメージで、口や鼻から血を流し始めた。


 ガリオンは『鳳翼双剣』を逆手に持ち替え、翼のように使って〈フラップ〉のように角度を変えて気流をコントロールする。そして、一気に急降下に転じ、反り返ったカーブを滑るような軌道で「ギュンッ‼」とグライフに向かって超高速突撃した。


 ガリオンが『鳳翼双剣』を順手に持ち替え、「バチバチッ‼」と、電光を迸らせた。


 そして、腕を交差させるように構え、『ブリクセム・ブレイド・クロス・スラッシュ』を繰り出した。




 バキィンッ! ドッッ‼ ゴオォーーーーンッ‼




 グライフは大剣『退魔のクレイモア』に渾身の魔霊気を籠め、『ブリクセム・ブレイド・クロス・スラッシュ』を受けたが、力及ばず剣が砕け散り、直撃を受けた。


 ドシャアァアァッ‼ 地面を滑るように転がり、グライフは倒れた。


「ゴフッ‼」


 グライフの口腔から血飛沫が舞った。『聖騎士の胸当て』は完全に砕け、胸元に大きなX字の傷がつき、抉れている。


「グライフッ⁉」


 リツァルの回復魔法で〈ある程度〉回復したハーディーが、起き上がって叫んだ。


「ハーディー・スカイブレイド……しぶとい男だッ‼ これで終わりにしてやる‼」


 ブゥンッ‼ ガリオンは再び『有翼のアンクレット』を全開で起動し、両膝下が螺旋を描くように光の旋風で包まれた。そして急上昇し、ハーディーに狙いを定めた。


「ブースト2‼」


 ボンッ‼ ガリオンは『魔霊鎧装』を顕現化させ、爆発的な加速でハーディーに向かって急降下突撃した。しかし、『レベル・ブースト2』の反動で口から血を流し、赤紫色の炎に包まれて皮膚がヒビ割れ始め、ヒビ割れから光を放つように魔霊気が噴出していく。


 彼の皮膚は焼け焦げ、「ボロボロッ」と崩れ始めていた。


「臨むところ……これが最後だッ‼ ブースト2‼」


 ハーディーは既に限界を超えていたが、これが最後のつもりで気力を振り絞る。


 ドンッ‼ ボボボボボンッ‼


 ハーディーも再び『レベル・ブースト2』を発動して爆発的な跳躍で飛び上がり、さらに連射衝撃魔法『パイネ・アールト・スネル』で、一気に急加速・急上昇していく。


 しかし上昇する側は重力で勢いが削がれるため、上空から急降下してくるガリオンが圧倒的に有利だ。


 ハーディーは魔霊気を極限まで昂らせ、二刀流の長剣『鶻影こつえい』と『鷹鸇ようせん』は、魔霊気に包まれて光を放ち始めた。研ぎ澄まされた魔霊気が、剣に纏わりつく風をプラズマ化して、自身が得意な風属性に火属性と光属性が混じったような状態を生み出していた。


 ガリオンの『ブリクセム・ブレイド』に対し、ハーディーの剣は、謂わば『オーラ・ブレイド』へと変化した。


 そしてハーディーは、いつもの二連撃のように剣を並行に構えず、交差するように構えた。まるでガリオンの『クロス・スラッシュ』のような構えだ。


 ハーディーは〈覚悟〉を決め、師であるガリオンと同じ技で真正面からぶつかる事にした。そしてさらに命懸けの無茶を決行した。


「ブースト3ィィッ‼」


 ドッギャアァアァアァーーーーーーンッ‼


 まるで打ち上げロケットのように、超高速でハーディーは急上昇して行った。


 皮膚が赤く染まり、焼け焦げてボロボロと剥がれて燃え尽きていく。


 ハーディーは一時的にレベル450を突破した。


 ガリオンが、『ブリクセム・ブレイド・クロス・スラッシュ』を繰り出す!


 対するハーディーが繰り出す技は、言うなれば『オーラ・クロス・スラッシュ』だ!




 ドッッッ‼ ゴォオォーーーーンッッッ‼




「グハァッッ‼」


 ハーディーの『オーラ・クロス・スラッシュ』が押し勝ち、ガリオンは上空で弾き飛ばされた。しかし、強力な技同士のぶつかり合いで威力が相殺され、まだ致命傷ではなかった。ハーディーは、そのままの勢いで一気に加速し、追撃した。


 彼の目には、涙が溢れ始めていた。




 ――その時、ハーディーの脳裏に、かつてのガリオンの言葉が思い起こされた。


    *    *    *


「……ガ、ガリオンさん……‼ ほ、本当に……こ、こんな俺が、聖騎士なんて目指して良かったのかな……?」


「良いか? ハーディー。〈未熟な過去の過ち〉の〈反省〉から、〈人間は成長する〉んだ……。誰よりも後悔し続けているお前だからこそ、〈真の聖騎士〉になれるはずだ。俺は……お前を応援し続ける! 期待してるぜ……ハーディー・スカイブレイド……‼」


    *    *    *




 空中に弾き飛ばされたガリオンは、体勢を整え直す間もなかった。


 ハーディーは『レベル・ブースト3』状態のまま連射衝撃魔法『パイネ・アールト・スネル』で、一気に急加速してガリオンに迫り、哀しみと怒りが入り混じった表情で、二刀流の長剣『鶻影こつえい』と『鷹鸇ようせん』を並行に構えて振りかぶった。


「ガリオンさん……これで最後だ‼」


 ハーディーは空中に弾き飛ばしたガリオンに対して、最大出力の『オーラ・ブレイド』状態で、自身の必殺技『至高シュプリーム・鉤爪アルティリオ』を繰り出した。




 ズッッ‼ ザザァーンッッ‼




 ハーディーの『オーラ・ブレイド・アルティリオ』は、ガリオンの『魔霊鎧装』を貫通し、彼の〈左腕と両脚を両断〉して、左脇腹を斬り裂いた。


 ハーディーは『レベル・ブースト3』の反動で、上空で意識を失い、力無く落下していく。ほのかに赤紫色の炎で焼かれているように見えたが、その火はすぐに消えた。


「ハーディーッ‼」


 その時、マイルズの声が響き渡った。親友のハーディーを心配して戻って来たのだ。


 ドゥッ! マイルズの義足『ソア・フリー』の脹脛ふくらはぎのスリットと足の裏のスラスターから光が放たれ、衝撃魔法『パイネ・アールト』のような衝撃波をジェット噴射し、空中でハーディーをガッチリとキャッチして救った。

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次回:2025年05月10日 21時20分

EP.65-1 決着①

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