EP.63 激戦
妄想主題歌(右クリック→移動 または、コピペでお願いします)
https://youtu.be/OahpETEBXxc
ガリオンが丸腰のジゼルに牙を剥き、ハーディーは絶望的な表情を見せた。
「ジゼル――」
その時、「バシュッ‼ ザザンッ!」と、三日月型に光る斬撃が飛んで来て、ガリオンに直撃して数m吹っ飛ばした。
「ぬぅっ⁉」
グライフの『光月斬』だ。リツァル達のおかげで、グライフはある程度回復していた。
しかし、この技は距離によって威力が減衰するため、これほど離れた距離では、ガリオンに深手を負わせるほどの威力にはならなかった。
「……おのれ……しぶとい奴だ……‼」
ガリオンが「キッ!」とグライフを睨みつけた。
グライフは、魔技『光子放出』を発動して、魔技『魔力噴射』でガリオンに突撃した。光の粒子が軌跡を描く。
ガリオンの意識がグライフに向いた隙に、ジゼルは少しフラつきながらもハーディーに駆け寄って、回復薬を飲ませた。
ハーディーの喉が潤い、薄緑色の光に包まれて少しずつ傷が回復していく。
「どうだ……? 動けるか⁉」
「……ゲホッ……あ……あぁ、何とか……‼」
ハーディーは、自身に斬り刻まれた胴体の大きなX字の傷に中級回復魔法『エレメ・ピセラ』を発動した。回復魔法はそれほど得意ではないが、応急処置にはなる。
2人はお互いに支え合って、倒れたシリーの下へ向かった。
そして、ハーディーが中級回復魔法をシリーにかけた。
少しでも意識が戻れば、さらに回復薬を飲ませる事もでき、シリー自身が自分に回復魔法を発動できるようになるはずだ。
「ジゼル、後は任せた。俺もガリオンさんを止める!」
ハーディーも全快ではなかったが、多少無理してでも動くべき時だった。
ハーディーは、残った力の全てを振り絞って、ガリオンに向かって突撃した。
ガキィンッ! キィンッ‼ ギィンッ‼
ガリオンは、飛翔せずにグライフの猛攻を捌いていた。
シリーとハーディーに対して『有翼のアンクレット』を連続使用したため、チャージタイムが必要な状況だったのだ。
「グライフ‼」
グライフとガリオンが戦っている最中、ハーディーも参戦し、グライフとほぼ同時にガリオンに斬りかかった。ハーディーとグライフの〈波状攻撃〉だ。
ガガキィンッ! ギィンッ‼ ガギギィンッ‼
ガリオンは左右斜め前方から突撃してくる2人に対して、『鳳翼双剣』の二刀流で同時に受けて立った。しかし、ハーディーが二刀流なので、2人で合計3本の剣だ。二刀流では防ぎ切れないはずだった。
しかし、ガリオンは『レベル・ブースト』の反動ダメージが少しずつ回復し、『雷撃の剣』によって攻撃力が格段に向上した事で、勢いづいて集中力が増し、複数の魔法を同時に発動できる状態に戻っていた。
そして、自動防御魔法『アトマ・エスクード』が発動された。同時に複数の防御シールドが展開される。これにより、ガリオンの防御の手数の方が多い状態となった。
しかし、『雷撃の剣』は、大量に魔力を消費するため、数十秒連続で使用はできず、せいぜい5秒程度の持続時間だ。斬り合いの中で、ここぞというタイミングで使用する必要がある。
最初ほどではないが、再びガリオンの皮膚が、徐々に焼けた鉄のように赤く染まり始め、微かに光を放ち、湯気のように魔霊気が沸き立ち始めていた。全身に浮き出た植物柄の紋様の蠢きも再び活性化し始め、元のレベルに迫りつつあった。
ガキィンッ! キィンッ! ガキキンッ! ギィンッ! ガガギィンッ‼
ガリオンは『雷撃の剣』を使わずに、2人の猛攻を防ぎ切っていた。自動防御魔法『アトマ・エスクード』も効果的だ。
「フハハハハハハッ‼ 2人掛かりでその程度かッ⁉」
その時、突如、背後からジゼルが『悪鬼の戦斧』で斬りかかった。
ズガガガガンッ‼
ジゼルの一撃は相変わらず圧倒的に超高重量かつ超高速な一撃だったが、自動防御魔法『アトマ・エスクード』が多重に重なり、防がれてしまった。
「姑息な真似を……‼」
しかし、ガリオンの意識は前方の2人と後方のジゼルで3方向に分散した。
ガリオンは前方の2人と対峙しながら、操作魔法『エレンホス』で、腰に圧縮して装着していた『堕天使の杖』を操作し、圧縮解除して背後のジゼルに向けた。
バチバチバチッ‼
ガリオンが『堕天使の杖』からジゼルに向けて雷撃魔法『ブリクセム』を放とうとした瞬間、上空から一筋の〈青白い電光〉が放たれ、「パキィイィン!」とガラスが割れるような音が鳴り響き、ガリオンに直撃した。シリーが小回復して動けるようになり、空高く跳躍して電撃魔法『イクレア』を放ったのだ。
さほどダメージは与えられなかったが、ガリオンに一瞬の隙が生まれた。
瞬時にジゼルは『堕天使の杖』を打ち落とし、その際に魔力を流し込んで操作魔法を無効化した。
「「ブースト1‼」‼」
このチャンスに、ハーディーとグライフは、ほぼ同時に『レベル・ブースト』を発動し、グライフは剣を引くように構え、ハーディーは剣を並行に構えて振りかぶった。
「喰らえッ‼」「猛禽の鉤爪‼」
グライフは『光射突』を、ハーディーは『猛禽の鉤爪』を、超至近距離で同時に繰り出した。
バキィンッ! グサッ! ザザンッ‼
自動防御魔法『アトマ・エスクード』を貫通し、グライフの剣がガリオンの胴体に突き刺さり、ハーディーの剣がガリオンの首と胴体を斬り裂いた――
――かに見えたが、何故か浅い。
自動防御魔法『アトマ・エスクード』で威力が削られただけでなく、勢いづいたガリオンは、『魔霊鎧装』を再顕現化し、防御力が格段に向上していた。
ガリオンの魔力が昂り、一瞬、バチバチッと電光が迸って、人型の肉体を持つ〈黄金の獅子の獣人〉のような『魔霊鎧装』が姿を現した。
加えて、特に首は強化魔法『フォルサ・ソーマ』で強化され、薄皮一枚程度しか食い込んでいない。ガリオンは、幾重にも重なった多重の防御効果を発揮していた。
「な……⁉ 何だ……と⁉」
ハーディーとグライフは驚愕のあまり、唖然とした。
ガリオンは「ニタリ」と歯を見せて嗤った。
バチバチバチッ! ドゴォッ‼ ガギキィンッ‼ ドゴォンッ‼
ガリオンはグライフを蹴り飛ばし、ハーディーを『雷撃の剣』で斬りつけて弾き飛ばした。
「ゴフッ!」「うぐぅっ⁉」
ハーディーは何とか斬撃を二刀流の剣で防いだが、剣によるガードを飛び越える雷撃を受け、胴体のX字の傷が開いて倒れた。
開いた傷から「ボトボトボトッ」と血が滴り、「ぐうぅうぅ……」と呻いた。
グライフは腹部に強烈な蹴りを喰らって「うぐぅうぅ……」と悶絶し、同じように先刻ガリオンに斬られた傷が開き、再び「ブシュッ」と、出血し始めた。
この時、既に『有翼のアンクレット』のチャージが完了していた。
ガリオンは「ビュンッ!」と風を切って上空に飛び上がり、空高く跳躍していたシリーに突撃した。シリーはあくまで跳躍、ガリオンは飛翔だ。シリーは空中に別の足場となる空気のクッションを生成する間もなく、ガリオンに攻撃された。
ガキキィンッ‼ ドガァンッ!
シリーはガリオンの斬撃を『聖白の剣』と防御シールド魔法『アミナ・エスクード』で防いだが、圧倒的な攻撃力でガリオンはシリーを上空から打ち落とした。
シリーは地面に激突した衝撃で全身の骨を折り、意識を失った。
さらに、ガリオンはそのままの勢いで急降下し、ジゼルに斬りかかった。
バチバチバチッ‼ ガギギィンッ! ドッゴォーンッ‼
「うぐっ‼」
ジゼルは『悪鬼の戦斧』で受けるも、ハーディーと同じように『雷撃の剣』を発動され、雷撃を受けて10mほど弾き飛ばされて倒れた。
ジゼルは再び傷が開いて出血し、意識が朦朧として、しばらく立ち上がれそうにない。
ガリオンは着地して4人を見渡した。そもそも十分に回復し切れていない状態で戦っていたため、全員、かなりの重傷だ。
その時、キーラが現れた。グライフを追って来たのだ。
「危険だ! キーラ‼」
しかし、リツァルと零番隊の3人が、力ずくで彼女を連れ戻そうとしていた。
「厄介な回復術師どもめ……」
ガリオンの眼光が光り、グライフを回復させたリツァルと、キーラに狙いを定めた。
「う、うぐっ……さ、させるかっ‼」
4人の中では比較的軽傷だったグライフが、ガリオンの前に立ちはだかった。
しかし、既にガリオンは『有翼のアンクレット』の力で低空飛行していた。
ギュンッ‼ ガリオンは一気に急上昇し、グライフを躱していく。
片刃の『鳳翼双剣』は、刃の断面が流線形の〈翼型〉で、刃の反対側の棟=峰には丸みがある。ガリオンは『鳳翼双剣』を逆手に持ち替え、翼のように使って〈飛行魔導機のフラップ〉のように角度を変えて気流をコントロールする。
「なっ⁉ クソッ‼」
グライフは身を翻し、素早く魔技『光子放出』を発動して、魔技『魔力噴射』でガリオンを追いかけた。光の粒子が軌跡を描く。
しかし、ダメージがある状態では出力が上がらず、全くガリオンに追いつけない。
「クソッ……‼ 間に合わ――」
ガリオンは上空で急加速して、再び『鳳翼双剣』を順手に持ち替え、一気にキーラ達に向かって急降下突撃した。
「死ねっ‼」
キーラとリツァル達は目を見開いた。
【いいね】【ブックマーク追加】【お気に入り登録】をお願いします☆
次回:2025年05月10日 20時20分
EP.64 覚悟




