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EP.62-1 新技①

妄想主題歌(右クリック→移動 または、コピペでお願いします)

https://youtu.be/OahpETEBXxc


 ハーディーは、事前にへインから『漆黒の魔縲』を預かっていた。


 クロウは『魔封の縄』で縛り上げていたので、彼から外す事ができたのだ。


 そして、シリーに〈へインがクロウにした事〉を話し、同じ事ができるか確認していた。『漆黒の魔縲』を迷彩魔法『ヴェレフェクト』で隠しながら、操作魔法『エレンホス』でガリオンの手首に装着させ、拘束魔法『コンストレイン』で外せなくするという手法だ。シリーは迷彩魔法も操作魔法も得意なわけではなく、射程距離と操作精度に自信がなかったが、さすがにへインを危険なこの場所に連れて来るという選択肢はなかった。




 ガリオンは『漆黒の魔縲』を無理矢理外そうとしたが、拘束魔法『コンストレイン』がかけられ、外せなかった。その効果でガリオンのレベルがかなり低下し、シリーのレベルを下回ってレベル250以下になっているため、彼女の拘束魔法の効果を魔力で打ち消す事ができず、拘束を外せなくなっていた。


 さらに、シリーの拘束魔法は、ガリオンが右手で持つ『鳳翼双剣』にも適用され、左手に剣を持ち替えて切断する事もできなくなっていた。


「ぬぅ⁉ は、外せん! 剣を持ち替える事もできんだと⁉ ……姑息な‼」


 ガリオンは不快感を露わにした。


「この程度なら、脅威ではない!」


 シリーは一気に駆け出してガリオンに接近した。彼女は攻撃を加えた上で、もう1つの『漆黒の魔縲』を直接自分の手で確実に装着させようとしていた。


「チッ‼」


 しかし、ガリオンは空中浮揚で上空に逃れた。さすがに空中で『漆黒の魔縲』を装着させるのは難しいが、ガリオンを討つなら、レベルが低下している今がチャンスだ。


「アエラス・クシーノ!」


 ボンッ‼


 シリーは再び空気のクッションを即座に生成し、無詠唱で放った衝撃魔法の反動で跳躍してガリオンを追撃した。まだ空中には空気のクッションが多数浮かんでおり、生成した本人=シリーの意思である程度動かせるため、シリーがガリオンを追撃する限り、移動させて使い続けられる。


 シリーが跳躍した時、ジゼルは落下した左手用の『鳳翼双剣』の回収も試みたが、その瞬間にガリオンが操作魔法を発動し、左手用の『鳳翼双剣』を手元に引き寄せた。


 ヒュンッ! ザシュッ!


「うっ⁉」


 ガリオンが引き寄せた左手用の『鳳翼双剣』は風を切る音を響かせ、ジゼルの肩をかすめるように斬って、ガリオンの手元に戻った。


 ザンッ! ガシィッ!


 ガリオンは手元に戻した左手用の『鳳翼双剣』を操作して『漆黒の魔縲』を切断し、再び二刀流の『鳳翼双剣』となった。


 当然、これによってガリオンのレベルは元に戻り、シリーの拘束魔法が解かれた。


「ククッ……下らん……このチャレンジは、無駄に終わったな‼」


 ガキィンッ!


 ガリオンは追撃してきたシリーを軽くいなし、シリーは地上に弾き飛ばされた。


「クソッ! やはりそう簡単にはいかないか……‼」


 ハーディーは苦虫を噛み潰したような表情を見せた。


 ガリオンが魔力感知魔法『マギア・ペルセベル』を使って周囲を探ると、至近距離の空気のクッションだけほのかに光って見えたが、全てを把握する事は不可能だった。


 空気のクッションがハーディー達にだけ見える理由は、味方の足跡を追う〈足跡魔法〉を使用しているためだ。足跡魔法は、敵に見つかっては意味がないため、感知を妨害する力が備わっている。


 しかし、今のガリオンは魔法巧者なので、至近距離のものは感知できた。彼は、自身の周囲のものは斬って破壊したが、さすがに全てを確認して破壊するのは骨が折れるし、魔力感知を使って至近距離でようやく見えるようでは、高速で飛翔すれば空気のクッションにぶつかる可能性があった。


「面倒だ……‼」


 ガリオンは回復魔法に集中していたため、極力、他の魔法を使う事を避けていただけだった。本来ならば、同時に複数の魔法を使い熟せるはずだが、『レベル・ブースト』の反動ダメージが残っているため、現状はそれができない状態でもあった。


 突然、ガリオンは飛翔高度を下げながら二刀流で『鳳翼双剣』を高速で振るい始め、刃旋風魔法『マギア・ラミーナ・ヴァルテージ』を発動した。


 ザンッ! ザザンッ! ザンザンザン! ザパパンッ! 斬斬斬斬斬ッ‼


「きゃあっ‼」「ぐぁっ!」「うっ⁉」


 ランダムに拡散される刃旋風の斬撃は、ガリオンにとって厄介だった上空の空気のクッションを一気に破壊した。


 当然、地上のハーディー達にも直撃し、3人とも防具ごと斬り刻まれて別方向に弾き飛ばされ、「ドシャアァッ‼」と、倒れ込んだ。これまでと全く異なる突然の攻撃だったため、3人とも防御シールド魔法の展開が遅れた。


 そして、シリーが持っていたもう1つの『漆黒の魔縲』も破壊されてしまった。


「ク、クソッ‼」


 最初にハーディーが起き上がった。彼の魔霊気は強靭で防御性能が高いため、傷が浅かった。その強靭な魔霊気によってハーディーの『聖騎士の装束』は、それほどボロボロになってはいない。魔霊気は身に着けた装備にも流し込んで強化する事ができるからだ。


「ほぅ……⁉ あの攻撃を耐え凌ぐとは……! やるじゃないか……‼」


 ガリオンは素直に感心した様子だ。


 戦う準備をしてきたハーディー達は、事前に防御結界魔法『アミナ・バリエラ』をシリーからかけられていたため、刃旋風魔法のダメージは軽減された。


 本来ならば、直撃したら手足が切断されるほどの威力だったが、ガリオンは『レベル・ブースト』の反動ダメージで一時的なレベルの低下が起きていたため、無事だった。


 しかし、それでも魔霊気の防御性能が低いジゼルとシリーは、斬撃を何箇所も喰らい、そこそこ重いダメージを受けていた。ハーディーと比べて『聖騎士の装束』の損傷が激しく、胸元や太腿など素肌の一部が露わになり、斬撃による傷が痛々しい状態だ。


 金属製の『聖騎士の胸当てと肩当て』もかなり削り取られている。


 修復魔法『リペラシオン』を使える大賢者ソフォスなら、金属以外の装束の損傷は修復できるが、そういった高度な魔法は彼女達には使用できない。


 特にジゼルは全身に斬撃ダメージを受けて血を流し、「うぐっ……‼」と呻いた。


 事前にシリーが自動回復魔法『アトマ・ピセラ』を発動していたため、各々ジワジワと傷が回復していくが、完全回復には時間がかかる。


「ジゼルッ⁉ ……クッ!」


 ハーディーはガリオンを挟んでジゼルと反対側にいたため、ジゼルに駆け寄ろうとしたが、ガリオンが地上に降り立ち、邪魔するように牽制した。


「ジゼルさんっ! 大丈夫ですかっ⁉」


 ジゼルの近くに弾き飛ばされたシリーが、彼女の下へ駆け寄った。


 シリーは、自分自身に上級回復魔法『エレメ・ピセラシオン』をかけて回復していたが中断し、ジゼルを優先して上級回復魔法を発動した。明るい蒼碧色の光に包まれ、高速で傷が癒えていく。


「うぅ……な、何とか……あ、ありがとうござ――シリーさん! 剣を構えて‼」


 ジゼルが力無く叫んだ。


 ガリオンは再び上空に浮揚し、シリーとジゼルに狙いを定めていた。


 シリーに支えられ、何とかジゼルも立ち上がったが、まだ完全回復したわけではない。


 ジゼルを庇うように、シリーは一歩前に出て剣を構える。


「回復術師から潰すのが鉄則だ!」


 ガリオンは上空から急降下突撃し、シリーに斬りかかった。

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次回:2025年05月10日 13時10分

EP.62-2 新技②

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