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EP.26 魔族の始祖◆閑話◆

妄想主題歌(右クリック→移動 または、コピペでお願いします)

https://youtu.be/OahpETEBXxc


【抉られた大地 地底の王国 ~魔界帝国の始まり~】 

                 著者:ショーク・ホイジンガ


 これは、幾千年から幾万年前の数々の古文書の記録を基に記述する。


 エリシウム大陸の北東の『抉られた大地』に、光の届く場所がある。


 そこに暮らし始めた人々がいた。そして、その場所に『王国』が誕生した。


 そこは時を経て、『魔界』と呼ばれる事となる。




 抉られた大地よりさらに地底の奥深くに『灰色の世界』があった。


 白く霞がかっていて、わずかに光が届く薄暗い世界だ。


 ここは不思議と、昼も夜もなく常に一定の明るさを保っていた。


 白い枯れ木のような不気味な植物が自生するだけで、乾燥して白みがかった灰白色の土と岩の大地。大地の奥底に、悪しき魂がドロドロと溶ける『漆黒の闇の沼』があった。


 ここは悪意が溶け出した世界の病源のような場所。そこから発生するのは、魔生物。


 魔生物は一般的に魔物と混同されるが、より凶悪な殺意の塊で、有名なのは魔狼だ。他に魔鳥、魔竜、魔蜥蜴、魔蛇、魔蟲等が存在し、特に魔蟲には様々な種類が存在する。


 『漆黒の闇の沼』はあらゆる『生物の設計図』を記憶していた。そして、沼の底から人の形を模した魔生物が誕生した。それは〈漆黒〉で、ドロドロとした泥濘のような皮膚をしていた。ある時、それが人の身体を奪って知能を得た。ある種の寄生とも言える。皮膚が冷えて固まり、今度は〈真っ白〉に染まった。こうして『魔族の始祖』が生まれた。




 初めに肉体を乗っ取られた男は、『灰色の世界』の調査に来た冒険者だった。


 乗っ取られた肉体は、所々に黒い刺青のような模様が浮かび上がり、特に目の周りから額にかけて、黒く縦に太い線が入っていた。


 さらに山羊のような角を持ち、蝙蝠のような翼が生えた。即ち、伝承上の悪魔のような姿に変貌したのだ。山羊のような角には、角輪と呼ばれる横縞の凹凸があり、翼はドロドロとした泥濘のような魔生物の細胞が創り出していた。


 男は、ルシフェルと名乗った。彼は強大な魔力を手に入れて王国に戻り、圧政を敷いていた王族を鏖殺し、自ら王となった。この時点ではまだ『帝国』ではなかった。


 ルシフェルは〈悪意を好物〉として、魔生物を好んで狩り、喰らった。


 最終的に、彼は子孫を残した後に、自ら消息を絶った。これが魔族の始まりである。


 そして、地底世界は、『魔界』と呼ばれる事となった。


 魔界は、『灰色の世界』だけではない。グツグツと煮えたぎった溶岩の世界や、最深部には『コキュートス』と呼ばれる氷の世界があると伝えられている。


 ルシフェルの子孫は、彼と同じく〈悪意を好物〉とした。幾千年か幾万年か……気の遠くなるような長い年月が経った。


 そして、子孫の中から2種類の『業』(カルマ)が発生した。




・悪意を喰らい、より悪意を強めた『負のカルマ』


・悪を喰らい、悪をも滅ぼす『正のカルマ』




 後者の中に、悪を滅ぼす事によって『正しき存在』※へと昇華した者達が現れた。


 (※注釈:正しさとは、人間の身勝手な倫理観ではあるが……)


 その者達は人間と交わり、時代を経て、より人間的な存在へと変わっていった。


 こうして現代に続く『魔族』が誕生した。つまり、現代の魔族は、魔生物である初期の魔族とは全く異なる存在と成ったのだ。人間と交わった魔族は、初期の魔族の凶悪性は無くなり、日常的には、人間以上に穏やかな一族に様変わりしていった。しかし、彼らを怒らせてはいけない。人間とは比較にならない圧倒的な魔力を持つ存在だからだ。


 彼らには特徴がある。白く輝く髪。個体によっては蒼白くすらある、透き通るような白い肌。耳が横に長いエルフと比べて斜め上に尖った耳。そして、〈赤紫色〉に輝く目だ。ただし、一部の魔族は髪が蒼みがかったり、目の色が変わる場合もあるようだ。


 現在、魔族の多くは『途切れた大地』の北方に定住している。




 一方で『負のカルマ』を持った魔族はどうなっただろうか。彼らは魔界に定住したため、『魔界人』※と呼ばれるようになった。そして、独自の生態と文明を築き上げた。


 これが『魔界帝国アルヴィラーグ』の始まりである。


 (※注釈:『魔界人』は『魔人』とは異なるため、混同してはいけない)


 魔界人も、多少は人間の血が混じり、世代を重ねるごとに魔生物としての形質は失われていったが、現代の魔族よりは魔生物としての特徴を残している。


 彼らは、魔族以上に血色のない真っ白な肌を持ち、より特徴的な形質を持つ。


 特に〈雄〉は特徴的で、角の名残りで人間よりもゴツゴツとした額の形状である。角輪の形質の名残で額には幾つもの溝が有り、目元の彫りが深く、目の周りは黒ずみ、頬骨が張り出している。凶悪な髑髏に皮膚を張って鼻を付けたような顔つきをしているのだ。


 そして、多くの者が〈黄金色〉に輝く目で、爬虫類のような縦長の瞳孔である。


 そういった特徴は、〈雄〉では顕著だが、〈雌〉は一見、魔族のように見えるようだ。


 髪の色は、白、灰白色、蒼や紫など、魔族と比べてバリエーションに富む。


 魔族と魔界人の共通点としては、耳の形は大差がない。また、祖先の名残りで、両種族とも背中の肩甲骨の辺りに〈翼のような黒い痣〉があるようだ。




 一方で、学会では『魔界人も『魔族』と呼ぶべき』という意見があり、むしろ、『魔界人こそが〈真の魔族〉だ』という意見もある。


 その場合、『正のカルマ』を持つ魔族を『幻魔族』と呼び、『負のカルマ』を持つ魔界人を『真魔族』または『妖魔族』と呼ぶようだ。いずれも一様に『魔族』と呼ぶ学者もいるが、『魔族』と『魔界人』で呼び分けた方が混乱がないだろう。


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次回:2025年05月04日 21時20分

EP.27 逢魔が刻(逢魔の聖騎士編①)

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