表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fairy song  作者: 時雨青葉
第6歩目 石の行方
46/257

シュルクの決断


「―――っ!?」



 シュルクが言い放った、物騒な言葉。

 それを聞いた瞬間、フィオリアが息を飲んで固まった。



「お前が言ったんだろ。何を誤解してるのか知らないけど。」



 対するシュルクは呆れ顔。



「セイラがルルーシェにかけた呪いの内容を、よく思い出せ。〝お前はこれから、永遠に一人きり。お前の運命の相手も、お前が少しでも愛した相手も、みんなみんな死んでしまえ。お前に寄り添おうとする奴らはみんな、お前を残して死んでいく。〟それが呪いの効果なら、呪いの犠牲になるのはお前じゃない。お前に近い存在になった奴らだ。特に、俺はお前の(つい)の相手である以上、この呪いから逃げるのはほぼ不可能だと思う。俺がお前のことを、どう思おうとな。」



 フィオリアたちがこれまで歩いてきた過去だけを聞くなら、呪いは彼女たちだけを取り巻いていると思えるだろう。



 だが、セイラがルルーシェの運命石に込めた怨念が呪いとなって、その思いに忠実に呪いが存在しているのだとしたら。



 呪いが本来(ほふ)るべき対象は違うはずなのだ。



 呪いをかけたセイラの根底にあった感情は、運命の相手を奪われた悲しみと恨み。



 お前も同じ苦しみを味わえと呪うなら、彼女が標的にしたのは、ルルーシェの運命の相手だったと推測できる。



 フィオリアたちが前世の記憶に(とら)われているのは、おそらくは強すぎる呪いの余波だ。



 ―――いいや、これは推測なんかじゃない。



 自分の中には、そんな確信があった。



『あの子も馬鹿ね。あなたを私から逃がしたとしても、どうせあなたは呪いから逃げられないのに。』



 呪いが自分に関係ないのなら、リリアはあんなことを言わなかっただろう。



「そんな……」



「そんなも何も、ちょっと情報を整理して考えりゃ、すぐに分かることだろ。先生たちはそれに気付いてないみたいだから言わなかったけど、チャパルシアに行ったところでどうせ……ってのが本音。」



 チャパルシアに行くことで、目先の危険からは(のが)れられるだろう。

 だが、逃げた先で生き延びられる確率は絶望的に低い。



 フィオリアと出会ったあの瞬間から―――呪いはきっと、自分を捕らえているはずだ。



「俺が助かるには、どうにか呪いを解くしかないだろうな。」

「そんな方法……」



「ない、と思うか?」

「え?」



 青白い顔でうつむいていたフィオリアは、思わず顔を上げた。



 薄暗い部屋の中。

 淡い照明に照らされているシュルクは、不敵な笑みを浮かべていた。



「本当に、どうしようもないと思うのか? こんなにいい手がかりを、手に入れることができたのに?」



 胸元の小瓶を叩くシュルクの瞳に、絶望はない。



「こうして呪いの核になってる運命石があるなら、これをどうにかすることで呪いが解ける可能性は十分にありえるだろ?」



「どうにかって……もしかして―――」



 フィオリアの表情が、みるみるうちに変わっていく。





「この運命石の欠片(かけら)を、集めるつもりなの!?」

「そう。」





 シュルクは、なんでもないことのように頷いた。



「で、でも…っ。そんなの、いくつ集めればいいのかも分からないのに……」



 フィオリアが(うめ)く。



 無謀だ。

 その目が明らかに、そう語っていた。



「それなんだけどさ。」



 シュルクはフィオリアの動揺を空気のように無視して、話を次に進めた。



「お前、これがあった湖のことを、自分が好きな(うた)の一節みたいだって言ってなかったか?」



「え…? ああ、うん、言ったけど……」

「それ、全部聞かせてくれないか?」



「な、なんで……」

「いいから。別に、朗読の上手さは期待してない。」



 顔を赤らめて狼狽(うろた)えるフィオリアに、ぴしゃりと一言。



 フィオリアは一瞬虚を突かれたかのように固まったが、シュルクが真顔で詩の続きを待っていると知ると一度息を飲み、おずおずと口を開いた。



「……分かった。」



 すう、とフィオリアが息を吸う―――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ