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別行動


 次の日の朝。

 目を覚ますと、ユーゴの腕の中でエマはすでに起きていた。

 

「おはよう」

「次はいつここに来るの?」

「んー分からないな……特に予定を決めて動いてる訳じゃないからな。でも数日後には寄るよ。泊まるかどうかは分からないけど」

「そっか。また会えるの楽しみにしとくね」

「うん、オレも」


 エマは着替えて帰っていった。

 朝食にしよう。


 三人は円卓について談笑していた。


「おはよう」

「ユーゴ! おはよう! 用事は終わったの?」

「あぁ、とりあえずはいい方向に進んだよ」

「三人は何してたんだ?」

「三人でカジノだよ!」

「トーマスも行ったのか」

「うん、結構楽しかったね」


 ――トーマスがカジノ……ハマらないといいけど……。


「ここからは二手に分かれるんだな」

「あ、テントサウナ同じやつもう一セット買っといたよ!」

「あぁ、ありがとう。多分今から出ると一泊は野営だもんな」

「あ、ユーゴ、醤油と味噌と吟醸酒を買っといてよ」

「あぁ、分かった。日持ちするもんな、大量に買っとく」


 ホテルをチェックアウトした。

 荷物は異空間の中だ、用意するものはない。軽装で外に出た。


「じゃ、気を付けてな!」

「うん、ユーゴとエミリーも!」


 トーマスとジュリアは南の仙神国に。

 ユーゴとエミリーは、南東のルナポートからリーベン島を目指す。


「よし、エミリー! 全速力で行くぞ!」

「了解! スレイプニルがいれば久しぶりに馬刺しだね!」

「いいねぇ。そうしよう」


 全力の浮遊術で移動する。


「スレイプニル発見!」


 練気銃でスレイプニルの頭を撃ち抜いた。


「じゃあ、処理するかな」

「ユニコーンがいればいいのにね」

「あぁ、向こうの二人はペガサスとユニコーンの馬刺しだな」


 処理した馬肉を異空間に収納し、移動を再開する。


 ――空間魔法……最高。



 日が沈む前に、いい野営地を見つけた。

 緩やかに流れる川の(ほとり)だ。


「よし、エミリーはサウナと就寝用のテントの設営を頼む」

「了解!」


 エミリーが野菜を買ってくれている。馬肉のポトフにしよう。


 ユーゴはトーマスのレシピをノートにまとめている。切り分けた具材を鍋に放り込む。

 あとは火を入れるだけだ。


「火入れあっつい! 準備できたよ!」


 エミリーはもう水着になっている。

 二人で中に入り、焼け石に水魔法をゆっくりと回し掛けた。

 

『ジョワァァァ……』


「あぁ……いいねぇ……」


 ユーゴは大きなタオルを振り回し、エミリーに全力のアウフグースをお見舞いした。


「あっつー!!!」

「熱風エンターテインメント! まだまだ行くぞー!」


『ジョワァァァ……』


「ギャァ――! 火傷するって!!」


 たっぷり汗をかいて湖にダイブする。


 ――あぁ、すばらしい……。

 

 リクライニングチェアで休憩だ。

 暫しの沈黙。ユーゴが話しかけた。


「なぁ、エミリー。お母さんとイリアナさん、良かったな」

「うん。でも、親族の半分は死んじゃった。アレクサンドは許さないよ」

「そうだな。父さんとマモンは魔力障害の可能性があるけど、アレクサンドはそうじゃない」

「うん、私達は強くなった。ぶっ飛ばすよ」


 アレクサンドが全ての元凶な気さえしてくる。全ての事に通ずるが、憶測で物事を考えてはいけない。が、アレクサンドのしてきた事は紛れもない事実だ。

 

 綺麗なシャツに袖を通し、馬肉料理を食べて食後の紅茶を飲んでいる。


「どうだろう。Cランクくらいの魔物しかいないけど、見張りはいるんだろうか?」

「要らないんじゃない? 襲われたらさすがに起きるでしょ」

「そうだな。じゃ、ゆっくり寝るか。テント一つしか立ててないけど?」

「いいんじゃない? 一緒に寝れば」


 少し戸惑ったが、一緒にテントに入った。

 エミリーに発情はしないはずだと自分に言い聞かせる。


「じゃ、おやすみ!」

「あぁ、ゆっくり休もう。おやすみ」


 

 ◇◇◇



 朝だ。

 結局魔物に襲われることもなく朝を迎えた。

 目を開けるとエミリーがユーゴに抱きついている。起こさないようにそーっと……エミリーは更にユーゴを抱き寄せる。

 逃げられない。


「ん……」

「起きたか?」

「ん……? あ! ごめん、ユーゴにも抱きついちゃったんだね……」

「にも?」

「私、何かを抱いて寝る癖があるんだよね……いつもジュリアに抱きついて寝てた」


 女の子に抱きつかれるのは悪い気はしない。大歓迎だ。

 


 レトルコメルスから持ってきたパンを食べて、移動を再開した。


 昼過ぎにはルナポートに着いた。


「最初は十日以上かかったのにな。オレ達も成長したもんだな」

「んだね、ここを出たときよりも早くなったね」


 昼食は魚料理を楽しみ、リーベン島へ向かった。

 

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