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違和感

 

 昼食をササッと済ませて、依頼場所に向かった。禍々しい魔力が辺りに充満している。


「強化術は大丈夫か? ジュリアは今から剣に練気と術を込めておいたほうがいいな」

「了解だ」

「僕が攻撃を受けてる間に足止め頼むよ」


「よし、行くぞ!」


 禍々しい魔力の方に飛んでいく。

 いた、上半身は大鷲、下半身は馬の魔物。

 ヒッポグリフだ。


『守護術 堅牢・陣』


 もうトーマスの守護術は、SSの魔物程度ならなんの問題もない。


「ダメだ! 地に降りてくる気配がない!」


 地上ではないと、足止めの効果が格段に落ちる。これでは止められない。


「風魔法来るぞ!」


 ヒッポグリフが風魔法を放った。

 

 ――ん……? なんだ?

 

 周りの動きが遅い。

 魔法がゆっくりと向かってくる。


 と思えばすぐに戻った。


 ――何だ今のは……まぁいい、考えるのは後だ。

 

「ジュリア、オレが中距離で相手する!」

「あぁ、分かった!」


 風魔法には火遁だ。


『火遁 火炎龍』


 赤黒い炎が、ヒッポグリフを何度も襲う。


「下に逃げる! 今だ!」

 

『魔法剣技 流刀乱舞(りゅうとうらんぶ)!』


 地上で待ち構えていたジュリアが、ヒッポグリフに斬り掛かった。持ち方の改善で剣の振りが変わり、剣技で流れるようにヒッポグリフを斬り刻んだ。

 

「空飛ぶ魔物は厄介だな」

「こないだのグリフォンは、たまたま地上にいてやりやすかったね」

 

 そう話すユーゴとトーマスを他所に、ジュリアがボーっと立ちすくんでいる。


「ジュリア、どうした?」

「あぁ、いや。気のせいかもしれないが、ヒッポグリフの動く方向が視えた気がしたんだ」

「一歩先が読めたってこと? ユーゴの龍眼の能力みたいだね」

「気のせいかもしれない。でも、だいぶ魔法剣技をものにできたよ!」


 ユーゴも周りが遅くなった様に感じたのは気のせいだったのだろうか。いや、魔法が減速して襲ってくる事などない。何かしらの能力を得た可能性が高い。

 


 ヒッポグリフの体皮、蹄など、依頼品を処理し火葬する。

 上質な魔晶石が四つ出てきた。


「んー、フェンリルの魔晶石には敵わないね。売ろう」

「そうか。じゃ、帰ろうか!」



 ギルドでワイバーン十体の依頼達成をカウンターのおじさんに報告する。


「またあんたらか……凄いな……1200万ブールだよ。そっちのお嬢ちゃんだけ手渡しだな?」


 もう覚えられている。ワイバーンはずっと売れ残っていた依頼だ。受付が覚えているのも当然なのかもしれない。


「はい、あとは振込で」

「はいよ、400万だ」


 貴族街にヒッポグリフの討伐報告に行く。600万ブールになった。全部で一人600万ブールの荒稼ぎ。ユーゴ達はもう一生働かなくても良い程のお金を持っている。


「大儲けだな。エミリーには内緒だな、これは」

「さて、礼服を取りに行って王の城にお世話になるか」



 ◇◇◇

 


 三人でオーベルジュの城に到着した。

 門番に話を通し中に入れてもらった。


「使用人のリナでございます。何なりとお申し付けくださいませ。お部屋にご案内致します。大浴場の場所もご案内致しますね」


 ユーゴ達にメイドが付いた。そんな身分ではない二人は、恐縮し挨拶を返した。


「わざわざありがとうございます……」


 石造りの豪華な城だ。

 二度目の訪問だが、前回とは違う塔に案内された。客のために作られたのだろうか。

 豪華な部屋を一人一室あてがわれた。かなりの高待遇だ。


 広い部屋を見渡すと、豪華な家具やベッド、高価そうな絵画が飾ってある。さすがは王城の客室だ。

 今日はかなり汗をかいた、風呂に行こう。ドアを開けるとトーマスもちょうど出てきた。


「あぁ、ちょうどよかった、行こうか」

「王城の風呂はどんなのだろう、楽しみだな」


 もう脱衣所から広い。

 二人だけかと思いきや、先客が一人。


「あぁ、お客さんが他にもか。そりゃそうか」


 入ってみると、間仕切られたシャワーが数個。奥の扉の外は露天風呂だ、素晴らしい。

 まずはシャワーでしっかり汗を流す。


「よし、露天風呂に行こうか」

「王都が一望できそうだね」


 ドアを開けると、湯けむりの奥に先客が湯に足を浸けて座っている。


「こんにちは、お邪魔しますね」


 湯船に浸かる。

 夕暮れ時の空を見上げながら大きく息を吐く。素晴らしい湯加減だ。

 

「おう! 遅かったな二人共!」


 ――へ……? この声は……。


「え……ジュリア!? 何で!?」


 ジュリアが素っ裸で脚を組んで座っている。


「え、オレら間違えた……?」

「いや、仙神国もそうだけど、王族は混浴が当たり前だぞ? 他はだいたい男女別だもんな。お前らは初めてか?」

「そうなの……? というか、胸隠せよジュリア!」

「何で隠す必要がある? 恥ずかしいもんじゃないだろ」


 ジュリアの美しい裸体が眩しい。

 ユーゴの股間はいきり立っている。湯から出ることはできない。

 トーマスは……同じ状態のようだ。


 少し喋って、ジュリアはザブンと湯に浸かった。


「サウナにハマってしまったからな。少し物足りないが、湯で温まって上がって休憩もなかなかいいな。お前ら大丈夫か? のぼせるぞ?」

「いや……オレはまだ大丈夫だ……トーマスは大丈夫か……?」

「え!? あぁ……大丈夫だ……」

「そうか、我慢強いんだな。アタシはサウナもすぐ出てしまうよ」


 ようやくユーゴの股間が落ち着いてきた。


「あっつー! やっぱりアタシは我慢が足りないな!」


 ジュリアは飛び出て、露天風呂の周りにM字開脚で座った。


「ジュリアさん……中身が……見えてますよ……」

 

 ムスコに元気を再注入させられた。

 これ以上は流石にのぼせてしまう。


「よし、アタシはそろそろ上がるよ。食事用意してくれてるみたいだ、また後でな!」


 ジュリアは、キュッと上がったヒップを振って出ていった。

 


「あっつー!!」


 ジュリアが出ていったのを見届けた後、二人で湯船から飛び出て大の字で倒れ込んだ。

 ユーゴもトーマスもビンビンだ。


「オレ達はまだ若いな……」

「あぁ、すぐに反応してしまう……少し休憩しよう……」


 すると、またドアが空いた。


「言い忘れたよ。エミリーがな……」


「「あぁー!!」」

「お前ら……何をおっ勃ててるんだ……?」

「オレ達はまだ若いんだよ……これが正常だ……」

「ジュリアは自分の美しさを分かってないよ……誰でもこうなる……」


「ウブな奴らだな! ここに連れてくればエミリーのも見れるぞ! キャハハ!」


 サウナの水着で見慣れた気でいたが、ジュリアの裸体の美しさはレベルが違った。

 しかし、いいものが見れた。

 ありがとう、王族の風呂。

 

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