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魔族の戦闘法


 冒険者ギルドに着いた。

 規模が違う。ゴルドホークはもちろん、レトルコメルスと比べてもかなり大きい。


「大っきいね……さっきモレクさん『南のギルド』って言い方したね。他にもあるんだろうな、こんなに大きな都市だもん」

「このレベルのギルドが、最低二つはあるのか。入ってみよう」


 魔族も当然のように居る。

 Sランクなど当たり前といったレベルだ。


「ここに来て鬼族を初めて見たな。知り合いになってたら、始祖四王がお伽噺じゃない事が分かってたんだろうな」

「ノースラインやゴルドホークでも見なかったね。僕もお伽噺だと思ってた」

「アタシもよく見かけはしたけど、一緒に戦ったことはないな。戦闘法も知らない」

「私と出会ってからは、ジュリアはパーティ組まなかったもんね」


 依頼を見てみよう。

 大きな掲示板数に所狭しと依頼書が貼り付けてある。これだけの都市だ、トラブルや討伐依頼は多いのだろう。


「Sランクなんて当たり前だな。低ランクの依頼の方が少ないんじゃないか?」

「それか、これだけ冒険者が多いと低ランク依頼が売れてしまうのもあるかもね。BやCランクを数こなしたほうが安全でお金にはなるから」

「なるほどなぁ。だから低ランク冒険者は地方で力を付けるんだな」


 依頼を見ながら話していると、モレクがバッチリメイクして到着した。


「待たせたわね」

「わぁ! さっきはカッコいい人だなって思ったけど、今度はキレイになったねモレクさん!」

「あら、ありがとうお嬢ちゃん。私にはキレイの方が褒め言葉よ。あなた達が二人の話にあった仙族ね。私はモレク、よろしく」

「あぁ、こちらこそよろしく頼むよ。アタシはジュリア、こっちがエミリーだ」


 二人とモレクの自己紹介が終わった。


「ついでだから、依頼を受けてから行こうかと思ってここで待ち合わせたの。場所はパラメオント山脈の麓でいいかしらね。あなた達のランクは?」

「四人ともSSです。鳥の魔物の討伐依頼が多いですね。このロック鳥ってのがAランクか」

「そう、それじゃ何でもいいわね? ロック鳥、ペガサス、後はSランクのワイバーンあたりでいいと思うわ。あら、SSも出てるわ、またグリフォンが発生したのね。一応持って行きましょ。途中で昼食にお弁当を買いましょうか」

 


 パラメオント山脈の麓まで行くには西門が近い。南のギルドから西門を目指して歩きはじめる。


「モレクさんも浮遊術ですか?」

「えぇ、魔族は風属性の魔力を浮力に使うわ。アレクサンドから仙術を教えてもらってる、こっちの方が効率がいいわね」

「なるほど、じゃあ飛んでいきますか」


 浮遊術で浮き上がり西門を抜け、山脈に向けて移動する。


「ちょっと! 何よそのスピード!」

「え? すみません、早かったですか?」

「あぁ、そうか。モレクのスピードが普通だよ。アタシらは練気が混ざってるから」

「レンキ? それで早くなるの?」

「いや、全ての術がレベルアップすると思います」


 モレクに練気術を教える為、一旦地上に降りた。今から教えてもらう身だ、モレクにもメリットがあった方がいい。

 早速錬気術を実演し、説明した。


「なるほどね……これは凄いわね。これでスピードアップするのね?」


 と言って、モレクは空高く打ち上げられた。

 やはりこうなるらしい。


「あぁ、びっくりしたわ……」

「小出しに使わないと、ぶっ飛びますよ」

「えぇ、移動しながらコツを掴むわ」


 さすがは千年以上生きている魔族だ。

 術の習得が早い、普通に付いてきている。


「こんなに早くつくとは思わなかったわ。種族間の戦闘法を組み合わせるって凄いのね」

「はい、オレ達ももっと強くなりたいです! よろしくお願いします!」


 モレクの魔族の戦闘法の指導が始まった。


  

 空に巨大な怪鳥が飛んでいる。

 あれがロック鳥だろうか。

 

「さて、早速レクチャーするわね」

「よろしくお願いします!」


 四人を前に、モレクが説明を始めた。


「魔族の戦闘法を簡単に言うと『圧縮』からの『解放』よ。聞くだけじゃ分からないわね」


 そう言ってモレクは実演を始めた


「まず、気力の空気ボールを作るの。手のひらに作るわね。その中に魔力を注入する。入れ続けると、このボールの中で魔力が圧縮されてパンパンになるの。暴発したら大変よ、気をつけてね」


 終始ボールの大きさは変わらないが、中の魔力が膨張していく様に感じる。


「まずはこんなもんでいいかしらね。このボールの自分と反対側を割り、自分をこの割ったボールで守る」


『風魔法 風殺(ウインドキル)


 鋭い風魔法が風切り音を上げて、頭上を飛ぶAランクの魔物、ペガサスを切り刻んだ。


「おぉ……魔力だけですごい威力だな」

「圧縮率と魔力の量で更に威力が増すわ。普通は時間がかかるけど、前魔王アスタロスは瞬時に放ってたわね」


 四人は方法を腹に落とし、まずはエミリーが前に出た。


「私からやってみていい? 練気のボールにしてみようかな。風遁を入れてみよう!」


 確かに、練気のボールは強度が高そうだ。

 拳より大きなボールを作り、ゆっくりと注ぎ込む。


「おぉー! すごいよこれ。 まだまだ入る! けど、怖いからこの辺で……」


『風遁 風刃!』


 途轍もない風切り音と共に、上位の風遁である嵐塵(らんじん)を超えるような基礎術が、少し先を歩くペガサスを切り刻んだ。


「ちょっと……なによ今の……とんでもないもの教えちゃったんじゃないの……?」

「これ、自然エネルギー入れたらとんでもないことになりそうだよ……」 


「モレクさん、普通に気力でボールを作るよりも、練気の方が強度が高いです。これなら一気に注入しても暴発はしなさそうですね。一応、守護術張ってやってみます」


 ユーゴは右掌を上に向け、拳大の錬気のボールを作り上げた。

 

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