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 次の日の朝。


 ここの朝食もビュッフェ形式だ。ほとんどのホテルはそうなのだろうが、問題は質だ。昨日のソーセージもある、素晴らしい。


 魔力で気付いてはいたが、トーマスと向かい合って座った。


「おはよう、ここのホテルもいいなぁ」

「あぁ、おはよう。ソーセージは朝食にもいいね」


 トーマスの皿には、まだソーセージが五本残っている。ハマっているらしい。


 基本的に大陸はパン食だ。

 ユーゴも生まれた頃からそうだが、一年間の島生活ですっかり米好きになった。卵かけご飯が恋しいが、スクランブルエッグとパンで我慢だ。


 少し食べ進めると、エミリーとジュリアが起きてきた。


「おはよー! 昨日は楽しかった?」

「二人共おはよう。昨日は進展があった。とりあえず食べながら話そうか」


 二人は食事を皿に盛ってきて、隣のテーブルに向かい合って座った。

 エミリーは割りとキレイに盛り付けるが、ジュリアは……この辺は性格だ。


「ソーセージもあったぞ。これハマってるんだよ。パンにも合うんだな」

「うん、私もいっぱい取ってきた!」


 ここの朝食も、皆が大満足だ。


「昨日の話だけど、あの魔人が働いていた店を見つけたんだ」

「え!? 行ってきたの?」

「あぁ、マモンと一緒に魔都から出てきた人から話を聞けた」


  

 二人にモレクの話をかいつまんで話した。


「なるほど。魔力障害の事なら、奥様からもらった医学書に書いてあったね。シュエンさんがそうなってる可能性があるのか……ちょっと良く調べてみるよ」

「トーマスに言われてるだろうけど、ユーゴ、憶測で物を考えるなよ? 少なくとも、ミックス・ブラッドとして生まれる事をお前が選んだ訳じゃない」

「あぁ、分かってる。そのために昨日は気分転換に付き合ってもらった」

「そうか、ならいい」


 ジュリアはそう言ってユーゴに釘を刺すと、目の前のソーセージにフォークを刺して頬張った。 


「マモンとアレクサンドが王都に戻ってきてる可能性は低いよね……」

「モレクさんの話を聞く限りそうかもな。一応噂は聞き回ろう」


 マモンは恩人のモレクに会いにくいはずだ。王都は広いとはいえ、帰ってくる可能性は低そうだ。

 

「それでだ、モレクさんがオレ達に魔族の戦闘法を教えてくれる」

「え? じゃあの三人に対抗できる力が手に入るかもしれないんだね!」

「ほー、アタシらはまだ強くなれるんだな」

「とりあえずは王に会うのが先だ。数日後に伺いますと言って別れた。住所も聞いている」

「いや、今から王のところに行って、すぐに会える訳じゃないぞ?」


 ――あ……そうだよな。


「今から二人の城に手紙を持って行って、明日以降の日程で返事をもらう予定だ。今日は何するか相談しようとしてたところだ」


 当然だ。

 相手は王だ、すぐに会える訳が無い。


「ごめん、そうだよな。すごい人に会いすぎて麻痺してた……」

「じゃ、アタシがひとっ飛びして二つの城に手紙渡してくるよ」

「ジュリア、これも一緒に渡して。このホテルの名前と部屋番号だ」

「あぁ、これで連絡をこのホテルに貰えばいいのか、考えてなかった。じゃ、明日以降で取り次いでもらうよ」


 

 食事を終え、ジュリアは文字通り飛んでいった。


「じゃあ、ジュリアが帰り次第モレクさんとこに行ってみるか。いつでも良いとは言ってたけど、大丈夫かな……?」

「無理なら後日にお願いしよう」

 


 少しすると、ジュリアが帰ってきた。


「ただいま! 門番がどっちも顔見知りで良かったよ。話がスムーズだった」

「おかえり! 今からモレクさんのとこに行くんだって!」


 ホテルを出て、住所を書いた紙の通りに進む。着いた場所は立派な集合住宅の一室。ショーパブ・リバティの近くだった。

 夜には賑わう繁華街も、朝は静かなものだ。朝まで飲んでいたであろう人たちがチラホラいる程度だ。


「ここだな」


 呼び鈴を鳴らす。

 少しすると、渋い男前の魔族が出てきた。


「あれ……まちがえました……?」

「おはようユーゴ君。いいえ、間違えてないわよ。スッピンでごめんね」


 スッピンの方が良いような気がするが……いや、それはユーゴの価値観だ。


「数日後に伺いますと言いながら、すみません朝から」

「いいえ、いいわよ。朝ごはん済ませて何しようか思案してたとこだから」

「もし、ご用事が無ければ、魔族の戦闘法を指南していただきたいなと思いまして」

「ええ、いいわよ。準備するから、そうね……南のギルドで待っててくれる?」

「分かりました! ギルドはすぐ分かりますか?」

「あぁ、さっき城行くときに見たよ。アタシが連れて行く」

「じゃ、準備するわね」


 裏路地を抜け、城の方へ向けてメインストリートを進む。


「モレクさんは、マモンみたいな喋り方なんだね」

「あぁ、冒険野郎で聞いてあの人の店に行ったんだ。マモンみたいな人がいっぱいいる店だったよ。トーマスは苦手みたいだけど、エミリーやジュリアは楽しめるんじゃないか?」


 カイトシールドを枠に、クロスした剣に獅子。どこのギルドよりも巨大なシンボルマークが目に入った。

 

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