表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/241

ジュリア・スペンサー


「アタシちょっと家に帰って準備してくるよ。ママにも言わないと。ジュリア・スペンサーに戻る準備だ!」

「あぁ、分かった。中心街で買物しとくよ」

「後で合流する!」


 ジュリアは小走りで自宅に戻って行った。


「さて、この国の武具を見に行かないか?」

「あぁ、いいね。そうしよう」

「かわいい服ないかなぁ? あとサウナ用の水着も買い替えないと、キツくなってきたよ」


 そうだ、ジュリアの水着姿も拝める、とユーゴは頬を綻ばせた。

 


 湖上の島から橋を渡り、中心街に移動した。

 洗練されたオシャレな街並みだ。優雅に紅茶を楽しむ人達が多い。時間が緩やかに流れている感じがして落ち着く。


「武器屋と防具屋が隣接してるな」


 防具屋にはプレートアーマーが多い。

 篭手なども金属製だ、ガントレットと書いてある。


「私達は革の防具だけど、金属重くないのかな?」


 胸から腰にかけての胸甲という金属鎧を持ってみた。


「お、意外と軽いぞ?」

「でも、僕は革の防具の方が好きだな」

「私もそうだなぁ」

「でも、軽い金属はいいな。修理用に買っておこう」


 防具には心惹かれるものがなかった。

 次は武器屋だ。


「両手剣が多いな。やっぱりオレは刀だな、あれは芸術だ」

「うんうん、刀は本当に美しいよね。他の武器じゃあぁはならない」

「これすごいね、ツーハンドソード。私の背くらいあるよ」

「両手大剣か。これを使うっていったら、相当なパワーファイターだろうな」


 武器を見ていると、準備を終えたジュリアが来た。


「ジュリア・スペンサーに変身してきたぞ!」

「おかえり、改めてよろしくな!」

「頼りにしてるよ、ジュリア」

「またジュリアと冒険できるんだね! てか、またその汚いバッグ持っていくの……?」

「これはアタシの財布なんだよ!」


 ジュリアは青い眼にレンズを入れている。

 エミリーと同じ色だ。


「ジュリアは回復術師なんだろ?」

「あぁ、そうだ」

「ジュリア何でもできるけど、自分はあくまでも回復術師だって言い張ってたよね? 今なら分かるよ、私もそうだから!」

「そう、アタシはあくまでも回復術師。ただし『超攻撃的回復術師』だよ!」


 ――は……?


「ん……? じゃあ、このパーティーでの立ち位置はどうするんだ?」

「エミリーがいるならアタシはアタッカーだね。回復よりむしろ攻撃の方が得意だ」


 ――なら、アタッカーなんじゃ……。

 

 そう思ったが、すぐに理由が分かった。師匠が回復術師だったんだろう。


「じゃあ、主にオレとジュリアで攻撃するってことか。武器は何使ってる?」

「アタシは……ここには無いな。このツーハンドソードより一回り大きい『ツヴァイハンダー』を使ってる」

「え、これよりデカイの!?」

「あぁ、アタシの背くらいあるよ。ほら」


 自分の背丈ほどの両手大剣を空間から出した。

 ジュリアはユーゴより一回り小さいが、女性では大きい方だ。が、そのスレンダーな体型は、自分程の背丈の大剣を振り回す様には到底見えない。


「いつもは空間魔法にしまってる。こんなもんぶら下げて移動できないからな」

「防具はプレートアーマーなの?」

「いや、アタシは『ブリガンディ』を好んで装備してる。魔物の革のベストに金属片を打ち込んで鎧にするんだよ。ここの加工金属は丈夫で軽いからね。篭手も脛当ても革製だ。これだよ」

「これなら僕でも整備できるよ。あれ? これコカトリスの革じゃない?」

「あぁ、そうだよ。昔数人で討伐して、防具にしてもらったんだ」

「私達の防具もコカトリスだよ?」


 ジュリアにコカトリスの防具を渡した。


「おぉ、ホントだ! 龍族の防具もカッコいいな!」

「コカトリスの革はあるから、修理は任せてよ」

「アタシもまだコカトリスの革持ってるんだ。トーマスに渡しとこうか」


 次は服を見に行こう。

 少し歩くと店を見つけた。


「ジュリアの服もシルクなのか?」

「あぁ、これが一番いいね。蜘蛛の魔物の糸が練ってある」

「私達のと一緒だね。また一枚しか持ってないの? いつも使い捨てだったよね?」

「何で二枚もいるんだ? 汚くなったら捨てて買えばいいだろ?」

「僕達はいつも洗って乾かす為に、二枚以上持ってるんだ。川で洗うだけで良いしね。乾かなくても、空間魔法に入れておいてもらえば乾くから」

「それにジュリア、オレ達は毎晩素晴らしい物に入るんだ。毎晩スッキリして綺麗なシャツに袖を通す、最高なんだそれが。今晩一緒に入ろう」

「素晴らしい物……? 風呂の(たぐい)か?」

「あぁ、そうだな。エミリーと一緒に水着を選んでくれ。後は二枚目のシャツだな」

「ジュリア、期待していいよ。ヤバいから」

「ほほう、楽しみにしておこう」


 服や野菜、調味料などを買い仙神国を後にした。

 新たな仲間を加え、レトルコメルスへの帰路についた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ