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お忍び

 

 夕方前にはオーベルジュ城に戻り、仙王達に報告した。


「もう見つかったのか……?」

「はい、ご丁寧に地図まで持ってましたよ。割と正確な地図らしいです」


 誰もこんなにすぐに見つかるとは思ってなかったようだ、もちろんユーゴ達もだが。皆午後のティータイムを楽しんでいた。


「北エリアってギルドは大っきいけど、周りの建物はそうでも無いんですね!」

「うん、北は軍事施設が多いからね、騎士団学校も北エリアにあるょ。西と南エリアは商業施設、東エリアは繁華街ってとこかな。路地を外れたらどこも似たようなもんだけどね、でも北の路地裏は特に土地が安いょね」


 東は繁華街らしい。

 それは一度遊びに行かないといけない。


「騎士団の学校があるんですね」

「うん、各町の登用試験に合格した見習騎士達が集まって訓練するの、毎年春に入ってくるょ」


 ロンも二年後には騎士団学校に入学する事になる。ロンなら余裕だろう。


「よし、んじゃディナーもちゃんボクの(ローシー)で食べようよ。明日以降の予定もベシャったらいいんじゃない?」

「良いんですか? ではお世話になります」


 昼食に続きお世話になろう。

 少し時間があるので部屋に戻った。

 


 

 オーベルジュ城の一室、里長達と神龍レイを気遣ってかビュッフェ形式のディナーが用意されている。

 とはいえ王族のディナーだ、各料理のところにいるメイドに皿を渡せば綺麗に盛り付けてくれる、至れり尽くせりだ。


 ――これくらい自分でするけどな……なんかすんません。


 ユーゴはビールを頂いた。

 皆各々好きな飲み物を頼み円卓を囲んでいる。里長とレイもビールだ、里に輸入を考える程にハマっている。


「某まで頂いてかたじけない、まさかまた食を味わう時が来るとはな……本当にここの料理は美味い。この酒も初めてだ、美味い」

「いやいや、これから世話になるからね。腹いっぱいヤッちゃってよ」



 暫しの歓談で腹を満たす。

 酒が回らないうちにグラスを傾けながら今後を話し合う。


「ここから北西に真っ直ぐ進めばとりあえず鬼国には当たるであろう。地図はある故すぐに見つかるであろうな」

「ヤトノカミと言ったか、ニーズヘッグと同等と思って良い。ギルドのランクアップ試験では無い、皆で叩き潰そう」


 ユーゴ達はニーズヘッグを倒した時より強くなっている。腕試しをしたいところだが、仙王の言う通りだ。


「ではここに来たメンバーで行くか、レオナードとシャルロットが我を心配するからな」

「え、ラファちゃんも行くの?」

「龍王が行くのだ、我が行かねば示しがつかん」

「いや、オレ達で行ってきても良いですよ?」

「いや、父上までわざわざ行く必要は無い。俺とソフィアも同行する」


 始祖四王の二人が悲しそうな顔をしている。


 ――行きたいんだろうな……。


「まぁまぁ、ここに来た皆で行きゃ良いじゃねぇか、このメンバーなら万が一にも間違いは起きねぇよ」

「まぁそうだろうけど……分かったょ。魔族側の斥候が居る可能性もあるからね、気は抜かないようにね」

「某も行く、其方(そなた)らの戦闘が見たい」

「決まったな、では明日は一日ゆっくり準備をして、明後日の朝に出発だ」



 いつも通りの美味しい食事を頂き部屋に帰った。シャワーは済ませている、少しゆっくりしよう。

 


 ――と思ったが、まだ寝るにはだいぶ早い。

 飲み足りない、ワインでも貰ってトーマスの部屋に行こう。


「あ、リナさんいい所に。ワイン頂けますか?」

「あ、ユーゴ様。ワインですね、お部屋にお持ちします!」

「いや、ついて行くよ、トーマスの部屋に行きたいからね」


 リナに付いて歩き、ワインを貰ってトーマスの部屋に向かう。

 ドアをノックすると、中からバタバタ音がした。

 

 ――ん? 一瞬ジュリアの魔力が。


 ドアが開きトーマスが出てきたが、少し様子がおかしい。やはり中にジュリアがいる。


「……ごめん、一緒にワインでもと思ったんだけど、お邪魔だったな……帰るよ」

「ちょっと待って! うん……中に入って」


 変なタイミングに来てしまった様だ。言われるがままに中に入る。


「お……おう、ユーゴ」

「ジュリア……変な空気出すなよ……なんだよ」


 トーマスとジュリアがベッドに腰かけ、ユーゴが椅子に座った。


「ユーゴはもう分かってるよね……?」

「分かるよそりゃ、ジュリアが分かりやすいんだよ」

「え……そうなのか……?」

「付き合い始めたんだろ?」


「……うん、僕から交際を申し込んだよ。ジュリアも快く返事をしてくれた」

「おめでとう! ワイン持ってきたんだ、乾杯しないか?」


 部屋にあるグラスに赤ワインを注ぎ二人に渡した。


「仲間が幸せになるのは嬉しいもんだ、乾杯」


 三人でグラスを合わせると二人の表情も和らいだ。


「なんか誰かに言えてホッとしたよ……」

「あぁ……最近こんな事言えるような雰囲気じゃ無かったしな……」

「まぁ、移動中に仙王様に報告したら良いんじゃないか?」

「えぇ……お祖父ちゃん許してくれるかな……」

「大丈夫だろ、トーマスなんて最高のパートナーだ」


 トーマスとジュリアは明日は一日デートに出かけるらしい。エミリーはマシューの現状を見に行くようだ、仙神剣術の指導もしないといけないと言っていた。


 ――オレは何するかな……。


 常々他の冒険者と依頼受けてみたいと思っていた。北のギルドにでも行ってみよう。


 三人でワインを飲み干し、自分の部屋に戻った。ほろ酔いだ、よく寝れそうだ。

 

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