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因子

 

 オーベルジュ王の玉座の隣部屋、大事な会議や軍議はいつもここだ。今から世界がひっくり返るような話が飛び出すかも知れない。


 蒼と翠、二つの宝玉を円卓の上に置き、仙王が話を切り出した。

 

「お初にお目にかかる、我は仙王ラファエロ・ノルマンディだ。我々仙族の始祖であるゼウスは思念であった、貴殿が思念でなく実体として現れたのには我々も驚いている所ではあるが、貴殿が一番驚いている様だ」

「いかにも……少しここに来る間に整理した」


 神龍レイは昔話を交えて自分の考えを話し始めた。


「ゼウス殿の思念を見たという事は、天界で起きた事は把握している前提で話を進める。まず、某と悪鬼ラセツにこの世界を創造するような力は無い。ゼウス殿とサタンが初めて協力し、この世界を創造したのだ。天界と下界を繋ぐ道の封印を解く鍵としてその封玉を創り、各々が思念を封じた。そして最期の力で各々自身の因子を持った種族を創り上げ、我々は消滅した」


 誰も口を開かない。

 神龍レイは頭の中を整理しながら言葉を選んで話している印象を受ける。


「某が何故実体として現れたのかについてだが、最期の力を込めて龍族を創造したつもりでいたが、ゼウス殿やサタンの様にこの世界の創造には関わっていない我々には余力があった。その余力が某の思念と共に封玉の力でこの世界に蘇ったのかも知れん……」


 あくまでもこれはレイの想像だ、誰にも真実は分からない。

 続けてレイが話を進めた。

 

「ところで先程から気になっているのだが、何故下界に神族がいるのだ? しかも其方は黒髪だ、黒髪の神族など見たこともない。緑色の眼まで……下界で何が起きている……?」


 レイの眼もユーゴと同じ青紫色だ。

 何故龍族の始祖が神族と同じ眼を持っているのが気になるところだ。


 仙王が説明を始めた。

 仙族を退化させ他種族の抑えとして人族を創った事、天界の二種族の間に生まれた子がソフィアに憑依して下界に降りてきた事、ユーゴが神族であるソフィアと龍族の間に生まれた子である事を掻い摘んで話した。


「なるほど……あの二種族の混血か、まさかそんな事がな……とすれば全ての因子が揃った者という事だ、あの道を通れたのにも納得がいく」

「レイ殿、何故お主の眼は神族と同じ青紫色をしておるのだ? 我々に眼の力は無い、創造主の因子にも無いはずだ」


「この眼は我々の因子を合わせて神族を創る際に、ついでにゼウス殿から付与された物だ。ゼウス殿の眼は仙族の其方達の様に青い、仙と龍の因子が混ざれば青紫色になるようだ」


 ――因子の掛け合わせで眼の色が変わるのか。確かに母さんは魔神ルシフェルの眼の色は琥珀(こはく)色だったと言っていた。


「仙族の因子を大幅に削れば緑色になるのか……それは知らなんだ。わざわざする意味も無かった故に」

「我々は仙人(せんじん)と呼んでいる。仙人同士の子は人族として生を受け、眼の力は無く寿命が短いが、子を多く産む。この下界で一番多い種族は人族だ」

「なるほど……良く考えたものだ」


 そして話は戻り、魔神ルシフェルの話題へ。

 ソフィアが口を開いた。

 

「私は魔封眼を開眼しました。偶然私に魔神ルシフェルが憑依しこの世界に来ました。そして様々な事がありこちらのユーゴの中に私の眼の力で魔神を封印したんです」


 レイは興味深そうに話を頷きながら聞いている。

 話の続きを仙王が話し始める


「その後の事だが、我とそちらのユーゴの異空間にそれぞれこの二つの封玉を入れていた。敵方にいる仙族の異空間には残りの二つの封玉が入っていた。我々三人が重なった時、四つの封玉が共鳴しソフィアの封印が解かれ、しかも二人の身体まで創造した。封玉とは何なのだ?」


 レイは腕を組んで考えたあと話し始めた。


「まず、某も封玉の全てを理解しているわけでは無い。それを前提として話すが、天界と下界を繋げる道はゼウス殿とサタンの封印術で閉ざされている。その鍵である四つの封玉の力でその封印術式を反転させ道を創造する。異空間の中にあれど封玉は共鳴するだろう、それで其方(そなた)の封印術式が反転し、創造の力で二人の身体が創り上げられたとみていいだろう」


 神々の様な者達の力だ、何があっても不思議ではない。そのうちの一人の話だ、信憑性はこの上ない。


 いつの間にか正午を過ぎている、皆で食事をとる事になった。

 

 円卓にそのまま昼食が運ばれてきた。

 話しながらつまめる様なサンドイッチとコーヒーや紅茶。王達も意外と普段のランチはこういう軽い物を好んで食べるようだ。

 神龍レイは相当お腹が空いていたのだろう、とても美味しそうにサンドイッチにかぶりついている。だが所作は丁寧だ。

 食事をしながら話は進む。

 

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