表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/241

三人の連携


 陽の光とベーコンが焼けるいい匂いで目を覚ました。


「おはようユーゴ君!」

「あぁ、よく寝た……おはよう」

「ベーコンとスクランブルエッグ好きだったよね? トーストも焼いたから食べてね」

「うん、大好物だ、ありがとう」


 トーストの上に全部乗せでかぶりつくのが好きだ。美味い。


「ユーゴ君、口にスクランブルエッグ付いてるよ」


 そう言ってエマは指で取ってくれた。


 ――ん〜可愛い……幸せ。


「なぁエマ、ずっと言いたかった事言っていい?」

「え、何……? 怖いんだけど……」

「オレの彼女になってください!」

「えー、私ずーっとそのつもりだったんだけど!」

「オレもそうだ。でも、はっきりと伝えた事なかったからな……どう?」

「もちろんです。お願いします」


 エマを抱き寄せ軽くキスをした、オレの口に付いていたケチャップがエマのほっぺに付いた。


「フフッ、これで正式にユーゴ君の彼女だね」

「あぁ、いい男が店に来たって浮気するなよ?」

「こっちのセリフ!」



 朝食を食べ終え、エマは軽くメイクをする。


「ほっぺにケチャップ付いてたんだけど! 言ってよ!」

「気付いたか、そのまま外出るかなと思って楽しみにしてたんだけどな」

「女の子は依頼受けるにもお洒落するの!」


 エマはべーッと舌を出した。


 ――ん〜可愛い……。



 外に出るとちょうどロンが歩いていた。


「あ、ロン君! おはよう!」

「あ、ユーゴさん、エマさん、おはよう!」

「おはよう、しっかり起きれたな。朝には強くなったか?」

「うん、たまに寝過ごすけどね……」

「まぁ少し成長だな、頑張れ」



 冒険者ギルドの前に皆が待っている。


「おはよう、待たせた?」

「いや、さっき来たところだ。早速行くか!」

「みんな練気の扱いがだいぶ上手くなったし、属性もかなり理解した。浮遊術出来ると思うんだよな、どうする?」

「じゃあ、少し練習しようか、まだ朝だしね」


 いつもは弁当を買っていくが、どうせなら。


「昼は魔物を調理して食べないか? スレイプニルも美味いし。ウサギは食べた事ないけど昨日わりと高く売れたな」

「いいね、アルミラージの肉は高級食材だよ」

「賛成! 食べてみたい!」


 昼食は決まった。

 ユーゴは大量の調味料を空間に溜め込んでいる、トーマスと一緒に腕を振るおう。


 

 門を出て少し走り、森に入った。

 開けた場所で足を止める。


「さて、三人にはこれから自然エネルギーを感じてもらう。まずは浮遊術だな、先生はジュリアだ」


 ジュリアが三人の前に進み少し浮いて見せた。


「浮遊術を基礎に、自然エネルギーを扱う術を総称して仙術と言う。始祖四種族の仙族の術だ。簡単に言えば呼吸で自然エネルギーを体に取込み、気力に混ぜて扱う。お前らは昨日各属性を理解したよな? 今日はまず、一番身近な風のエネルギーを取り込んでもらう。深呼吸してみろ」


 言われて三人娘は両手を広げて深呼吸した。


「集中してみろ、肺の中に風魔力に似たものを感じないか?」


 三人は深呼吸を繰り返している。


「あっ、これか! うん、分かります」


 やはりニナが一番早かった。昨日は基本の遁術を放てる程に成長したようだ。


 エマとジェニーは深呼吸を一度やめ、軽く風の生活魔法を放って風の魔力を再認識している。いい方法だ。

 再度深呼吸を繰り返し、ニナに少し遅れて理解したようだ。


「あぁ! これか!」

「うん、私も分かった!」


「よし、鼻から吸って口から吐く。深呼吸を繰り返し、それを身体に取り込む。それを練気に混ぜて浮力にしてみろ」


 そして恒例の肉弾打ち上げ花火が盛大に打ち上がった。

 三人は空中でバタバタと大パニック。ユーゴとトーマス、ロンがそれぞれ三人を受け止めた。


「キャハハッ! やっぱりこうなるんだな!」

「はぁ……ビックリした……」

「混ぜる練気の量を間違えるとこうなる。最初は少しずつからで、まずは浮いてみよう」


 まずはニナが少し浮きあがり、続いてエマ、ジェニーも浮き上がった。


「浮いたー!」

「理解が早いな、そこまで出来れば後は早い。移動しながら慣れてくれ」


 最初はフワフワノロノロと進んでいた三人は、すぐにスピードに乗った。


「まさか私が空を飛べるようになるとはね……」

「ホント、強くなるって楽しいね!」

「二人とも、私を誘ってくれてありがとうございます!」


 ――店の女の子全員強くしそうだな……武闘派クラブでも作りたいのだろうか……。



 依頼のロックリザード棲息地付近まで来た。

 練気の浮遊術だ、ユーゴ達の本気にはまだまだ遠いが、移動速度が跳ね上がった。

 昼食にはまだまだ早い。


「よし、ササッとロックリザード倒してランクアップしようか!」


 周りを見回しながら少し歩く。

 いた、ロックリザードだ。


「あんなに大っきいの……?」

「あぁ、かなり大型だな、オレが見た中でもトップクラスだ。でも、ただそれだけだよ。あとは硬いだけだ」


 

 盾役のジェニーを先頭に、エマ、ニナと続く。エマは刀を抜いた瞬間から練気を込め続けている。


「おい……エマ、練気と風エネルギー纏ってるな……」

「ほんとだ……僕達もした事ないよね……」

「おいおい、あれ『仙神剣術』だぞ?」


 ――仙神剣術……? 後でゆっくり聞こう……。

 

 ニナは自分を含め全員に強化術を施した。各自強化術を覚えたが、ニナの術が一番効果が高い。


 ロックリザードが気付いた、皆準備は万端だ。


『守護術 堅牢!』


 ジェニーが守りを固め、ロックリザードの敵意を一身に集めた。防具を媒介にして上手く張れている、かなり良くなった。トーマス直伝の守護術だ。


『治療術 継続再生』


 ニナの強化術と自身の守護術で、全ての攻撃を難なく受け止めている。そこにニナの継続再生、全く危なげない鉄壁の盾だ。


「継続再生まで教えたのか」

「うん、ニナかなりセンスいいよ。属性魔力の扱いが上手いんだ」

 

 エマが動いた。

 迅速でかなりスピードアップしてはいるが、ロックリザードがエマの方に敵意を向けた。クレバーな個体だ。


『風遁 風刃(ふうじん)!』


 ニナがジェニーの後ろから風遁を放った。

 ロックリザードの首下辺りにヒットし、奴の敵意は再びジェニーに向かった。上手い、いいサポートだ。


『剣技 斬罪(ざんざい)!』


 その隙に後ろからエマの剣技だ。

 完全に意識の外からの攻撃、ロックリザードの首が飛び、巨体が地に沈んだ。


「やったー!」

「Aランクだよ私達!」


「いやぁ、見事だな。Sランクもすぐだな」


 ゼロから一年足らずで良くここまで成長出来たものだ。かなり修練を積んだのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ