表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/241

恩人


 四日分の垢を落とし、外出の準備をする。

 メイクを終え洋服を着終えた時、呼鈴が鳴った。


「お客様、エナリア様というお連れの方がお見えです。ロビーでお待ちいただいておりますがいかが致しましょう」

「あら、そう。分かったわ、すぐに行くと伝えてちょうだい」

「かしこまりました。そのようにお伝え致します」


 外出の準備はあらかた出来ている。アクセサリーを身につけてロビーへ向かった。


 

「マモン様……お久しゅうございます」

「エナリア、変わらないわね。元気にしてた?」

「ええ、城での生活は慌ただしかったですから。こちらに帰って来てからは悠々自適に暮らしていますよ。それにしてもマモン様、ますますお綺麗になられて」

「あら、ありがとう。こうやって自分をさらけ出せるのもアナタ達のおかげよ」

「モレク様はご一緒ではないのですか?」

「ワタシ達、人族の国で店を開いたの。モレクはその店を経営してるわ」

「そうですか、お元気そうで安心しました」


 魔都の各町の領主の娘は、シルヴァニア城に使用人として働きに出る事が多い。ほとんどはそのまま城での生活を続けるが、エナリアは故郷に帰ることを選んだ。


 ロビーで紅茶を飲みながら昔話に花を咲かせていると、皆がロビーに降りてきた。


「おや、マモン。レディと二人で会話とは珍しいね、ボクも混ぜてくれよ」

「あぁ、紹介するわね、エナリアよ」

「マモンの恩人のメイドさんですわね。わたくしサランと申しますわ」


 皆が一通り自己紹介を終えた。


「そうだわ、今からディナーに出かけるんだけど、エナリアも一緒にどう? お願い事もあるし」

「ご一緒してもよろしいのですか?」

「あぁ、レディが多い方が場が華やぐよ。是非乾杯しよう」


 

 昼とは違うエナリアおすすめのレストランに向かった。


「ほぉ、昼の店とは違って落ち着いた雰囲気だね」

「えぇ、私の一番お気に入りのお店です」


 テーブルに料理が並ぶ。


「魔族は牛肉を好んで食べる様だね」

「そうですね、各町で牛の飼育が盛んです。町の周りにはホーンオックスが多いですから、この店の様な高級店では魔物の肉を提供していますね」

「この間すき焼きで食べた牛ですわね。確かにあの魔物の肉は美味しかったですわ」

「このステーキも美味い、ソースが良い。骨付きか」

「えぇ、リブロースのステーキですね」


「……ウイスキーが美味いね、ウェザブールの物とは香りが違うよ」

「このポテトチップスという食べ物、止まらんぞ。フライドポテトといい中毒性があるな」


 皆で魔族の料理を堪能した。

 ウイスキーを飲みながらポテトチップスをつまんでいる。


「ねぇエナリア、アナタのお父さん鬼人の討伐部隊に参加したんでしょ?」

「いいえ、父ではなく叔父ですね」

「あら、そうだったかしら、自分の記憶は曖昧ね。その叔父さんは今は何処に?」

「うちの敷地内に居を構えてますよ。父の下でこの町の行政に携わっています」

「叔父さんに少し聞きたい事があるんだけど、面会をお願いしてくれないかしら?」

「聞きたい事……ですか? えぇ、分かりました。時間と場所はホテルに言付けますね」

「いいえ、ワタシが屋敷まで出向くわよ。一人で行くわね」

「ご足労おかけしてよろしいのですか?」

「何を言ってるの、ワタシを魔王の子と見なくて良いわ、ただの冒険者よ」

「そうですか、かしこまりました」


 この店の方が落ち着いて食事が出来た、もちろん美味しい。他の三人も気に入った様子で満足気だ。


「ふぅ……美味かったな」

「そろそろボクは夜の街へ繰り出すよ。魔族のレディは情熱的なんだろ?」

「えぇ、調子に乗って刺されないようにね。あと、絡まれても殺しはやめときなさいよ?」

「あぁ、もちろんだよ」

「エナリアさん、また一緒に食事できるのを楽しみにしておきますわね」

「えぇ、私で良ければまたお願いします」


 エナリアと別れ、アレクサンドは夜の街に消えていった。仙族が一人でウロウロして大丈夫なのだろうか。相手の生死が心配だ。


 ホテルに戻り旅の疲れを癒そう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ