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オルトロス

 

 三人の浮遊術ではそう遠くない。すぐにアズガルシス山に着いた。


「そこまで高い山じゃないのね」

「あぁ、ここにいても魔力を感じるな」

「ヘルハウンドを狩りながら登る? 飛んで現地まで行く?」

「一頭だけわたくしに狩らせてくださる? SSランクに挑戦できるかの確認ですわ」

「サランは回復役だぞ? まぁ、Sランクを一人で倒せれば文句なしのSSだろうな」


 前方にはヘルハウンドが一頭。どんな攻撃をしてくる魔物なのかも全く知らない。

 四足でもサランの背丈ほどある大型の犬だ。


「結構大きいのね」

「危なくなったら手伝うよ」

「えぇ、お願いしますわ」



 サランは双剣を構えた。

 ヘルハウンドがサランに飛びかかる。さすがはSランク、かなり速い。


 サランは守護術でヘルハウンドの爪攻撃を弾いた。良く見えているようだ。


「うん、自然エネルギーも上手く使えている。良い守護術だ」


 ヘルハウンドも速いが、サランは更に速い。さすがはスピードタイプの双剣使いだ。

 サランの補助術は身体の構造を熟知しているからか、かなり効果が高い。サランの記憶を貰ったマモン達も、及ばないまでもその恩恵を受けている。


『剣技 苦難の十字架(クルスィフィクション)


 ヘルハウンドの噛みつきを避けながら、二本の斬撃で十字に切りつけた。


「お見事。回復術だけじゃなくアタッカーとしてもかなり優秀だね」

「えぇ、ワタシも負けてはいられないわね」 


 サランは文句なしのSランク超えの冒険者だ。

 ヘルハウンドの爪や長い犬歯を採取し、火魔法で火葬する。魔晶石が二個だ、Sランクの魔物からはだいたい二、三個出てくる。


「自信がつきましたわ。わたくしは二人のお陰でかなり強くなってますわね」

「あぁ、サクッとオルトロスを討伐するか」


 ヘルハウンド達と律儀に戦ってやる必要は無い。浮遊術で直接オルトロスの住み着いている坑道へ飛ぶ。


「犬なら飛ばないね。途絶が使えそうだが、最終手段にするか」

「そうね、どうせなら剣で倒したいわ」

「よし、ボクが守るから安心して攻撃してくれ。サランは回復と補助だ、サブアタッカーとしても動いてくれ」

「分かりましたわ」


 坑道に着いた。

 中から魔力が漏れ出ている。


 ゆっくりと何かが出てきた。

 犬の頭が二つ、オルトロスだ。思ったよりかなり大きい。


「おいでなすったわ! 行くわよ!」


『守護術 堅固な城壁(ロバスト ランパーツ)


 オルトロスの敵意は、全て先頭のアレクサンドに向いた。金属盾を構えた姿を久しぶりに見る。


「まずは観察するわ」

「あぁ、ボクの後ろにいるといい」


 オルトロスの片方の頭から、強烈な火魔法が放たれた。


魔力吸収(アブソーブ) 解放(リリース)


 マモンは魔力吸収能力で魔法を吸収し、そのままオルトロスに向け解放した。


 巨体の割に速い、躱された。


「ここの犬は速いわね。まぁ、ワタシに魔法は効かないわ。さて、どうするワンちゃん?」

 

 オルトロスはもう一方の頭から風魔法を放った。それも吸収して解放する。

 今度は狙って解放した。しかし、かすっただけだ。


 その後はアレクサンドに向けて爪や牙の物理攻撃に切り替えた。学習能力はあるらしい。


「魔法は封じたわね。アレクサンド、守りは任せたわよ。サラン、両脇から一斉に剣突ね 」


 アレクサンドは正面から攻撃を捌いている。オルトロスはアレクサンドしか見えていない。

 マモンとサランは横から剣で攻撃だ。一斉に攻撃する。


『剣技 刺突剣(ソードストライク)


『グゥォォォ!』


 二人の剣が深く刺さった。

 が、致命傷にはならない。しかしオルトロスは怯んでいる。


「急所を外してしまったわね。アレクサンドとサランで気を引いてちょうだい。ワタシは意識の外から攻撃するわ」

「「了解」」


 オルトロスの敵意は常にアレクサンドに向いている、本当に優秀な盾役だ。

 サランがスピードを活かして少しづつダメージを与えている。


 急所に届かないなら首を刎ねるまでだ。


『剣技 斬首一閃(ディキャピテーション)


 斜め後ろからからオルトロスに斬りかかり、首を刎ねた。


『グゥォォ――!』

 

 片方の首を失い、パニック状態だ。


「終わりよ!」

 

 そのままの勢いで、もう片方の首も切り落とした。巨体が地を揺らして倒れ込む。


「見事。魔族が魔法を使わずにSSランクの魔物を斬り殺すとはね」

「えぇ、自信がついたわ。でも、サランのサポートありきね、いいパーティになったわ」

「そう言って貰えると嬉しいですわね」


 ヘルハウンドよりも長く立派な犬歯を採取し、毛皮も剥いでおく。

 火葬すると、魔晶石が五つ出た。


「さて、帰って領主の所に行くか」

「このままの勢いでヘルハウンドも減らしておかない?」

「そうですわね、どうせ討伐しなくてはならないですものね」


 帰りは歩いて山を降りた。

 ヘルハウンドは群れで襲ってくる事はなかった。一、二匹で飛びかかってくるのを斬り殺す作業。オルトロスの後ではただの大型犬だ。


 山を降り、領主の屋敷まで飛んで帰った。

 

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