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裸の付き合い


 いい朝だ。

 ロンのお陰で一つ心配事が解決した。お陰でグッスリと眠ることが出来た。

 今日は王都に帰る。欲を言えば、最後にエマと一晩過ごしたかったが、それはまたの機会だ。


 ここの朝食も当分味わえない。


 ――お、皆いるな。


「皆、おはよう!」

「ユーゴ! おはよう!」

「あぁ、おはよう。清々しいな、ユーゴ」

「用事を全部終えたからな。確かに清々しい気分だ」


 スクランブルエッグ、ソーセージ、ベーコン、そしてパンを三つ。いつものお気に入りを皿に盛り付け、全て平らげた。

 

 腹を満たし、部屋に帰って準備をする。

 各自チェックアウトして、ロビーに集合し外に出た。


 ――あれ? エマがいる。


「おはようユーゴ君、トーマス君。お仲間のお二人ですね? 初めまして、エマです」

「エミリー、ジュリア、紹介するよ。こないだ話した、シャルロット女王の玄孫のエマだ」

「あぁ、ユーゴとデートしてる所を一度見かけたな、ジュリアだ」

「エミリーだよ!」


 エマは一礼して答えた。


「ロン君が見送りたいって言うからここで待ち合わせしてたのに、来てないね……」

「あぁ、あいつは朝に弱い……目覚まし買ってやったのに、どうしようもないな……昨日も遅かったんだろ? 慣れるまでは仕方ないな。悪いけど、面倒見てやってくれ」

「うん、もちろんだよ。ユーゴ君、ちょっと……」


 エマに手を引かれて少し離れた。


(ちょっと……すっごい美人とすっごい可愛い子が一緒じゃない……心配なんだけど……)

(まてまて、冒険者のパーティだぞ? そんな気は無いって。仲間であり親友だ)

(ならいいけど……)

(また来るよ、頑張ってな)

(うん、待ってるからね?)


「ユーゴさぁ〜ん!」


 ロンの声だ。

 走ってきたロンは、息を切らした振りをしている。この子供がこの程度の距離で息を乱すことは無い。


「目覚ましはどうした?」

「セットし忘れた!」


 ――それは論外だな……。


「ユーゴさん、エミリーさん! 二人のお陰で命が助かりました! その上、仕事まで見つけて頂き、ありがとうございました!」

「ロン、頑張ってね!」

「エマの店を頼んだぞ、ロン」

「はい!」


 ユーゴはロンに一歩近付き、肩に手を乗せて念を押した。

 

「お前は強い。でもな、謙虚でいろよ。自分の強さに酔って、図に乗るやつをたくさん見てきた。お前は騎士になる男だ、正義を貫けよ」

「うん、この刀に誓うよ!」

「じゃあ、行ってくる。二人共元気でな!」


 手を振る二人を背に、王都への帰路についた。この時間からなら、野営一泊だろう。


 


「アタシの刀の試し斬りがしたいな!」

「そうだね! 相当斬れるから自分の足斬らないようにね!」


 いい所にスレイプニルがいる。

 ジュリアは刀を抜き、練気を纏った。


『剣技 撫斬(なでぎ)り!』


 一気に距離を縮め、目にも留まらぬ速さで横一文字にスレイプニルの首を根元から飛ばした。


「おぉ、こんなに斬れるのか刀は……」

「時と場合で、ツヴァイハンダーと使い分けだね」

「気に入った! ありがとな! 名前はおいおい決めよう」


 良かった、ヤンガスも喜ぶだろう。


 

 ◇◇◇ 


 

 野営を挟み、次の日の昼には王都に到着した。


「着いたな。昼飯を食ってオーベルジュの城にお世話になるか」



 門番に話をつけ中に入る。


 階段を上り客間の廊下を歩いていると、リナが前から歩いてくるのが見えた。


「皆様、おかえりなさいませ! 夜はこちらでお召し上がりですか?」

「あぁ、ただいまリナさん。皆、どうする?」

「ここで食べてゆっくりしないか?」

「僕もそうしたいな。リナさん、よろしくお願いします」

「かしこまりました!」


 リナは、にっこり笑顔で奥へ下がっていった。


「風呂に入ってゆっくりしようかな」

「僕もそうしよう」

「なら、アタシも入ろうかな」

「何で一緒に入りたがるんだよ!」

「なんだよ! いいじゃないかよ!」


「……私も、一緒に入ろうかなぁ……」


 ――なぬ!?

 

 皆の視線がエミリーに集まる。


「え、無理するなよ……?」

「だって、楽しそうなんだもんみんな。なんか、仲間はずれみたいで……嫌だ」


 そうか。

 では行こう。

 


 トーマスと二人で脱衣所だ。

 シャワーで汗を流し、露天風呂に沈む。


「はぁ……やっぱ良いな風呂は……」

「うん、この眺め、王になった気分だ」


 湯で温まり、脚をつけたまま縁に座る。


「あぁ……涼しい……」


 シャワーを終えた二人が露天に来た。

 ジュリアはいつも通り隠そうともしない。二人はもう流石に見慣れている。


 恥じらいながら胸を隠して、エミリーが後ろから付いてくる。


「あーっ! 恥ずかしー! 二人共、股間隠しなさいよ!」

「あ……あぁ、失礼」


 二人は露天風呂に入った。


「あぁ、気持ちいい……」

「な? 仲間皆で入る風呂はいいだろ?」

「うん、恥ずかしいけどね……」


 温まった二人は、湯船の縁に座った。

 エミリーの可愛い胸が露わだ。

 

 ――ん〜、可愛いお胸もなかなか……。


「ユーゴ! なにジロジロ見てんのさ!」

「見るよそりゃ。オレの股間も見てただろ」

「え……? まぁ……そうだけど……」

「ホレ、見てみろ」

「やーめーてー!」


 ――何をしてるんだオレは……ジュリアみたいな事を。


「仙神国に行く時のテントサウナは、トーマスと二人だから素っ裸で入ったよな」

「あぁ、大自然に生まれたままの姿は気持ちよかったね。あのちょっとした布がないだけで大違いだ」


 なるほど、誰が見ている訳でもない。

 普通なら、Aランクの魔物が出る中で素っ裸でサウナなど正気の沙汰ではない。


「お前らも流石に慣れたか。勃起をからかうの楽しかったのにな、裸を見せすぎたか」

「女性の裸に慣れる日が来るとはね……この風呂は僕たちしか入らないのかな?」

「客が今オレ等だけなんだろうな」


 まだ昼過ぎだ、部屋でゆっくりしよう。

 

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