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違いますよ! 誤解でございます~ 『巻き込まれて秋』  作者: ねこまんまときみどりのことり
アンリシェル様の幸せな恋を応援します 

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4/7

 今日はアンリシェル様が、ブルガリア(ここ)にいらっしゃるんです。


 昨日はワクワクし過ぎて、学習が進みませんでした。

アンリシェル様の笑顔が浮かんできてしまい・・・・・


 こんなことでは、あの方に相応(ふさわ)しき侍女になれませんわ。

しっかりしないと。


 起床してからは気合いを入れて、秋のスイーツを作ります。

家の領地は田舎なので、お菓子屋さんやスイーツなんて売っている所はないの。

なので私も幼い時からお菓子を作ってたわ。


 生菓子は輸送時間がかかり他領地に売り出しに行けないけれど、クッキーや砂糖がけのドライフルーツ、チョコぎっしりのガトーショコラとかは領地の特産品で人気があるんです。


 マドレーヌも野菜や果物を取り入れて、領独自の味わいを研究して売り出しています。

有名パティシエもわざわざ食べに来てくれて、王都のお店でも販売してくれています。

 味覚の探求者として切磋琢磨したいそうです。

平等に評価してもらいたいからと言い、「あの領にはとんでもない味の魔術師がいるんです」と違う方向から応援してくれています。

 お陰様で観光客もぼちぼちとあんな遠くに来てくれます。

その時は生菓子でおもてなしし、その口コミで次の観光客につながっているようです。

 因みに魔術師は領地のご婦人です。

ご家庭で多めに作っているスイーツを、商店や旅館の人が買い取りにいくスタイルです。


合言葉は『魔術師のお菓子を買ってくる』です。


そう伝えると、だいたいの方が楽しみに待っていてくれます。

こんな所まで来る方なので、心に余裕がありおおらかです。


 ただ販売しているもの以外は、ご家庭スイーツなので同じ味は二度と食べられないのです。

そこが難点ですが。


ただ基本のレシピは口頭で、野良仕事をしながら年上の女性から習う為、記載した物がないのです。

だから次第にアレンジで改変されているようですが。



なので私も簡単レシピでお出迎えです。

適当ではなくて速攻レシピです。


たぶん美味しい手の込んだ物は、たくさん召し上がっていると思うので。


さつまいもを煮て潰し、バターを混ぜて、砂糖・生クリームと塩少々を混ぜ、紙容器に入れてオーブンで焼きます。


飲み物は牛乳・蜂蜜・先程煮たさつまいもを少々と水を入れてミキサーにかけてから軽く暖め、濃いめに煮出した紅茶を混ぜます。


陽射しは暖かいですが、風は涼しくなってきました。


外でのお茶会で飲むと、体がぽかぽかするので私は好きなレシピなんです。



 そんなことをやっていると、アンリシェル様が来る時間となった。


 マリーさんと花壇や庭に咲くお花を眺め、すっかり高くなった青空の話をしながら門の前で待つ。


こんなにワクワクしながら人を待つのは初めてだ。


ドッドッドッドッ カラランカラランッ馬車の止まる音がして、中からは騎士にエスコートされたアンリシェル様が現れた。


「マリー様、ジュディ様、今日はご招待ありがとうございます」と綺麗なカーテシーを優雅にされる。


マリーさんも「よく来てくれたわね。 お疲れ様。 今日は楽しみましょうね」と笑顔で挨拶される。


続いて私もカーテシーをし、「アンリシェル様に会えるのを楽しみにしておりました。 手慰みですがお菓子を作りましたので、是非感想をお聞かせくださいね」と伝える。


ご挨拶どうだったかなと顔をあげると、相好を崩して私を見ている。


「アンリシェル様?」声を掛けると、


「ジュディ様はお菓子を作られるの?」


「はい。 1時間前にオーブンに入れたので、ちょうど出来上がる頃です。 熱々を食べて欲しくて」

照れながら伝えると、


「ありがとうございます。 そんなに気付かってくださって嬉しいです」

満面の笑みで返答してくれた。


 そんな表情を見て、幸せに包まれる私でした。


「さあさあ、早く中庭行きましょ。 私も歌劇の話ができると思って楽しみにしてたのよ。 お手紙でアンリシェルさんも興味があると言ってたし」

マリーさんは、歌劇の話ができる仲間ができて嬉しそうだ。


そう言えばアンリシェル様が嫁ぐと、マリーさんはアンリシェル様の義理のお義母様になるのね。


マリーさんってそう言うの感じさせないのよね、不思議と。


アンリシェル様は、やっぱり気を使うわよね。


様子を見ながら砕けて話せればと思うジュディでしたが・・・



そんな心配もなく、マリーさんやっちゃってた。


「オー、ジュリエット。 なんて美しい人、結婚してください」

体全体を使い演じていた。


アンリシェル様に薔薇を振って渡し、片ひざをついて上目使い。


アンリシェル様、口に手を添えて堪えている。


私もアンリシェル様の手前、笑いを我慢していたんだけど限界。

「ダメですよ、マリーさん。 初回でこれはキツいです。 堪えられない。 ふふうっ」とその後も笑いが止まらない。



つられてアンリシェル様も顔を手で隠し、声を堪えて笑い出した。

「ふくっ、ふっ、ふっ、ふふふっ」


するとマリーさんがかぶせて

「オー、ロミオ。 どうして貴方はロミオなの? 私を想うならお父様も家名もお捨てください。あぁ」と庭に倒れる。


もう止めてください。 

せっかくマナーを見ていただこうとしたのに。

最初から飛ばされちゃった。

ふふっ、まあ楽しいから良いわ。


侍女さんが呆れ顔で、出来立てのスイートポテトとさつまいも紅茶を運んでくれました。


「奥さま。 お怪我だけにはお気をつけくださいね」

嘆息していた。


「大丈夫、大丈夫」


「興奮なさると夢中になっちゃうんだから。 もう。 学生時代と違うんでのよ、奥さま」


「もう、貴女だって嫌いじゃないでしょ。 我が盟友キャロルよ」


侍女さんはお友達だったのですね。


やっぱり歌劇お好きなのかしら?


そう考えているうちに、礼をして去っていかれた。

お仕事ありますもんね、仕方ないです。

いつかお話きけるかしら? 楽しみが増えました。


そう考えながら、お菓子を小皿に取り分けていきます。

喜んで貰えるといいなぁ。

うまく焼けていますように。


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