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プラスで始める第二の人生  作者: あみゅーず
1/10

1.目覚め

書きたいものを全部詰め込んだ、初投稿です。

あちこちから都合よく切り貼りしてきたファンタジー世界。魔術師はいるけど、魔術万能ではありません。

 痛ってーな、頭ががんがん響きやがる……。身体までぐらぐらする。昨日飲み過ぎたか……?

 いや、昨日の晩はそんなに飲んじゃいなかった、はずだ。依頼の件で、パーティーリーダーのリオと飲んでただけだ――。


 頭痛をやり過ごして目を開ける。どこか見慣れた…だけどあり得ない状況。どこだここは!? 荷物が多くて狭っくるしい――馬車の中、だよな? うちのパーティーで移動用に借りてるやつか? いつの間に? 俺は寝過ごしたのか!? 

 ぼんやり考えながら起き上がろうとした……が、できなかった。なんじゃこりゃ!? 俺の両腕に手枷? おまけに足枷も? 俺が拘束されて転がされてる!? パーティーのみんなは?

 何が何だかまったく分からん!! なんで俺がこんな目に!?



 思い出してみよう。前の晩のこと――。


 俺はパーティーリーダーのリオに不満をぶつけていた。今回の依頼は、大したことない獲物の魔石を王都に届けるっていうもの。確かに「手間がかからない割に実入りのいい仕事」だとは思う。

 だけど変じゃないか? 冒険者五人組の俺達パーティーは、腕はいいけど王都から声がかかるほど有名じゃない。実力はあるけど、「超一流」ってわけでもない。それでいて楽すぎるこの依頼。何か裏があるんじゃないのか?


 この件は「鈍い」って評判の俺でも気づくヤバさなのに、メンバーは耳を傾けさえしない。

「フィーブ! 今度の依頼、怪しいだろ!? なんか情報知らないか?」

「別に何にも!」

 フィーブは目を逸らした。怪しい。フィーブは行く先々で情報屋に当たってるし、一般人からもさり気なく情報を聞き出して来る斥候だ。彼女ならこの依頼のウラを突き止められるだろうに。


「アキ! お前だって変だと思うだろ! 王都へ行くのに、交通費がばっちり出る依頼っておかしいだろっ!!」

 薬草や素材・ポーションの売買に携わってるアキは、パーティーの金庫番だ。ケチな彼女が「王都へ行くのに馬車を借りる」決断をするなんて、よっぽどのことなんだが。

「どうしても必要なの」

 ポーカーフェイスで口数少なく答えるアキ。リオはよくこいつと付き合ってられるもんだ!


 無口極まりない魔術師のクリスに至っては。

「おい、クリス! 今度の仕事、やばいだろ!? てめえ、何とも思わねえのかよ!」

 平然と回復茶をすすったまま、彼は一言も答えることはなかった。

 まあ、魔術一筋のこいつに常識を求めるのは無駄なんだが。



 パーティー内で孤立無援となった俺は、リオを酒場に連れ出して説得しようとした。

「なあ。この依頼って明らかに怪しいだろ! 用心深くて頭の回るお前は、気づいてんだろ? なんでこんな怪しい依頼を引き受けたんだ? 俺にも言えない何かがあるのか!?」

 リオは整った顔でにっこり笑んだ。こいつは、男の俺でも見とれるほどのいい顔をしてる。金髪に青い瞳、白皙の面……てだけでも出来過ぎなんだが。身形に気を付けてるから、見るからに優男。女どもからの誘いだってしょっちゅうだ。こいつの笑顔にみんなころっと騙されるが、これは腹黒なのを隠す外面なんだぞ!


「大丈夫だよ、スマイリー。裏がないわけじゃないけど、しょうがないんだ。それに今回の依頼がうまくいくことは保証する。何かあったとしても、うちのパーティーは切り抜けられる」

 ほら、またその笑顔だ。だから信用できないんだよっ!

「うん、君が用心深いのは知ってる。だけど、あともう一日。一日だけ待ってくれないか? そうすれば、君が納得するようもっと詳しく説明できるんだ」

 割り切れないものを感じた。一日だけ……って、明日は王都に着くじゃないか! それじゃあ手遅れになるんじゃないのか?


 俺が理由があってリオに食い下がってるのに、部外者には、俺がリオにむやみに絡んでるように見えたのかもしれない。

 酒場の親父やカウンターの客が、

「酒はもうそのくらいにしておきんさい」

「あんた、飲み過ぎじゃないかね?」

って、オレを制止する声ばかりかけて来るのが気に障った。

 くそっ、顔がいい奴は得なもんだ! 俺だって、リオ程じゃないがまあまあのご面相だろう!? そりゃ、俺の方が大柄で身体ががっちりしてるから、こわもてに見えるんだろう。リオの男ぶりは、女だけじゃなくて男にも通用するらしい……。


 イライラしてた俺は、ちょっと酒を過ごしたのかもしれない。けどリオだって一緒に酌み交わしてたんだし、それからちゃんと宿屋のベッドに入った――んだよな?

 宿屋に戻って、部屋の前まで行って……薬師のアキに会った、よな? 「酒臭い!」って嫌な顔をされて。「これを飲んで!」って酔い止めをもらって飲んで……からの記憶がない?



 くそっ、俺はアキにはめられたのか!? いや、アキだけじゃ拘束した俺を馬車に運べたはずがない。男手が要ったはずだ。枷には――かすかに魔力が感じられる。まさか――リオとクリス? 俺はパーティーメンバーに裏切られたのか!?

 まさか、そんなはずない! クリスとは長い付き合いだし、リオとだって10年近く、いい付き合いをしてきて裏切るような奴じゃないって知ってる。女だけど、アキやフィーブだって気心が知れてる――。


 俺はリオとの出会いのことを思い返した。


読んで下さってありがとうございました!

第2話は今晩投稿予定です。

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