最高の幕開けだなぁおい。
前回の駄作の改稿版です。
今――――――俺は対峙している――――――。
奴と――――――魔王と。
世界を脅かす元凶。
闇の支配者。
悪の権化。
――――人間の敵。
そんな相手に、俺は一人で立ち向かっている。
歴戦の勇者たちが虚しく惨敗し、この城の至る所に白骨が散らばっている。
これは、ここまでたどり着いた勇者と、その仲間たちが無残にも散っていった、『勇気の証』だ。
「・・・っ」
きっと、いや。
俺は魔王に必ず勝つ。
何故なら――――――。
「HOI魔王ぃ、そろそろ俺帰りたいし倒して良い?」
「ふん、人間ごときが図に乗るな。お前など一ひねりで・・・っあっ!やめて!」
俺の能力で『魔王属性』の美少女に変えてやればいい話だからな。
* * * *
「・・・もう。こんな勇者初めてだぞ・・・。ばか」
「ん?ああ、だって俺勇者じゃねえもん」
家に帰る道中、城での俺の行いに美少女魔王がケチを付ける。
あの時、俺は魔王に向かって指を鳴らし、頭の中で『属性』をイメージした。
それは俺の能力であって、この世界で唯一俺だけが使える能力。
属性。
それは、火、水、土、光、闇、無からなる6つの魔法属性。
一般に魔法を使える人間は極めて少ない。
その為、属性を使える人間は『神童』と呼ばれ、民から慕われる存在となる。
その神童は、1つ属性を使えれば『国の守護者』に、二つも使えれば『勇者の仲間』に、三つ使えれば『伝説』になる。
古い書物をどれだけ読み漁っても、この地に生を成した人間では3属性までしかいない。
それを俺は、『全属性』使えるらしい。
「おい勇者、私を仲間にしたのは良いが、その後はどうするつもりだ。あほ」
「ん、その後?・・・あと、俺は勇者じゃねえって」
「私が不在であの城はどうする!・・・もっと考えて行動してくれ。ばか」
この魔王は語尾に何か人を貶す言葉を置かなければ会話ができないのか。ばか。
「あー・・・。それもそうだな。お、そこにいい蟻が歩いてるじゃないか。おいお前、今日からお前はここの魔王だ。HOI『魔王』」
指をパチン!と鳴らし、蟻に命令する。
すると蟻はぶくぶくと大きくなっていき・・・。
「・・・以前の私より不気味で強そうじゃ無いか。ばか」
なんかでかい化け物が完成した。
「って事で今日からお前魔王な。異論反論は遺言の後にどぞー」
と適当に命令しておく。
「分かりました主様。所で魔王とは何をすれば良いのでしょうか」
なんだコイツ、蟻のくせに魔王のすることも知らないのか。生意気な小僧め。
・・・。魔王って何するんだろ。
ああそっか、
「俺は勇者だ!みたいな奴来たら食え。以上」
これでいいだろ。
「なにそれ超楽じゃんサイコー!いやー俺ってば働き蟻だったから肩こり頭痛酷くてさぁ~。ありがとねん!勇者!」
「うるさいきもい。早く魔王のいすに座ってポテチでも食ってろks」
「・・・はい」
「そんじゃ家帰るぞ~、魔王」
「わ、分かっている。ばか」
「あと、次から語尾にばかだのあほだの付けたらその馬鹿みたいにでけえ乳揉むからな」
「や、やめろばか!」
「・・・あ」
「はいお仕置き」
「い、いや!やめ、やめろぉ!・・・ばかぁ!」
俺の物語は、ここから始まる。
これはプロローグのようなもので、本編は次回からだと思ってくれて構いません。