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第七話 天翼族

期間が空いてしまってすみません。明日も投稿出来るように頑張ります。

 リザードマンとの戦いからしばらく経ち、ハルキは現在五〇層、つまり最下層に差し掛かっていた。五〇層にもなってくると、魔物がより強くなってしまい、ハルキの心と体もボロボロになっていた。


 ハルキはあれから考えていたのだ。リザードマンの戦いから、今までずっと、ずっと。このままでいいのか? このままで大丈夫なのか? と。


 だが、その問いに自分の中で答えを見出すことが出来ないハルキは悩んでいる。悩んでも、悩んでも答えが出て来ない。


 誰かに相談する事も出来ずに、只々時間が過ぎ、精神が削られる。こんな事、ハッキリ言って終わりにしたい。


 だが自分がこの道を選んだのだから、最後まで頑張るんだと。ハルキはそう自分に自己暗示をかけた。そうでもしないと今にも泣き崩れてしまいそうだから。


 昔、聞いた事があった。この世で最も怖いのは、人間でも、死でも、戦争でもない。孤独なのだと。

 その事を聞いた当時、ハルキは信じなかった。この世で最も怖いのが、孤独だという事を。


 だがそれは間違いではなかった。ただし、正解でもないし、間違いでもない。

 が、現在のハルキにとっては、孤独が最もこの世で怖いものになっている。いや、なってしまった。


 誰にも会えない。誰とも喋る事も出来ない。それがどれだけ苦しくて、辛いものなのかハルキ以外には分からないし、話しても分かってもらえないだろう。


 孤独になって、この世で最も欲しいものは、お金でも、地位でもなく、他人からの愛だった。他人に愛された事のないハルキにとってはそれがどのようなものなのかは分からなかったが、何故か欲しくなった。


 最初に立てた目標は、間違いではなかった。好きになってもらいたい、好きになりたい。そして、認められたい。


 こんなしょうもない事、昔のハルキなら鼻で笑うだろう。

 だが、現在のハルキには最も欲しいものがそれなのだ。欲しくて欲しくて堪らない。


 そう思ってしまったからこそ、ハルキは涙を流す。流してしまった。こんなの耐えられない。耐えれるはずがない。現在のハルキは、弱くて、ちっぽけで、他人からの愛を知らない子供なのだから。


 その苦しみや辛さなどの様々な感情が遂に爆発してしまい、口から言葉として出てしまった。


 「どうして僕、なんだよ。どうして僕は愛情なんて欲してるんだよ。今までロクに愛情なんて受けなかったこの僕に、どうしてこんな感情が溢れてくるんだよ。……やめてくれよ。今まで通り、僕は独りでいいはずだ。それなのに、どうして……」


 自分でも何言ってるのか分からないハルキは、誰も居ない空間で──


「うるさいわね」


  ──居た。誰も居ないと思っていたこの暗い空間に、ハルキの目の前に、白い翼を広げている少女が居る。


 「へ? ……どうして、君はこんな所に? まさか、幻覚? はっ、ははははは。僕は、もう幻覚を見てしまうくらい、狂ってるんだ」


 「うるさいって、言ってるでしょ! 私の領域に勝手に土足で踏み込んで、それだけじゃ飽き足らず、私の事をここにはいない人みたいに扱って。あなたどういう神経してるの?」


 「……本当に、幻覚じゃないのか?」


 「そうだって言ってるでしょ!」


 白い翼を持つ少女のその言葉を聞いた瞬間、目の前に人がいるんだという実感を持ったハルキは、また涙を流し始める。嬉しかったのだ。ただ単に、そこに誰かがいるという事が。


 「な、なんで泣くのよ! わ、私、何かした? ね、ねぇ。泣き止んでよ!」


 「そんなの無理だ。泣き止むのなんて無理だよ。やっと、やっと話をしてくれる人が現れたんだから。もう、何ヶ月もずっと独りだったんだよ。だからさぁ、今だけはこのままで居させてくれ」


 「──」


 白い翼を持つ少女はそれから何も言わずに、ハルキが泣き止むまでずっと側に居てくれた。励ましとか、慰めとかそんなのは必要ない。唯側に居てくれるだけで、嬉しくて心が、体が落ち着く。


 それから十数分経った頃、泣き止んだ。もう泣くのは充分だ。泣いて、側に誰かが居てくれる。


 それだけでハルキの精神を蝕んでいた、この洞窟から抜け出せるのかどうかという不安、これから強くなれるのかという焦り、それら全てが涙と一緒に外に流れて、心が軽くなった。それは、唯の錯覚かもしれないが。


 それでようやくハルキは、側にずっと居てくれていた白い翼を持つ少女を見る。足のつま先から、頭の天辺まで。


 舐め回すように白い翼を持つ少女を見たハルキの口から、ある言葉が漏れた。その言葉とは──


「──天使」


 そう天使だ。白い翼を持つ少女を表現するにはそれが一番適切だと思った。適切だと思ったが、語彙力があればもう少し良い表現の仕方があっただろう。

 そんな事を考えながらハルキは自己紹介を始める。


 「僕の名前は、横山よこやま ハルキだ。この世界に召喚された異世界人。よろしくな」


 「あなたが言っていた天使っていうのが何かは分からないけど、私は天翼族フリューゲルっていう種族で、名前はシル=エレナーレ」


 「よろしくシル。いきなりだが僕は君と出会えてよかった思ったよ。ここまで来るのに、散々人にいじめられ、見捨てられたりしたが、君と出会えてよかったと、本当に思っている」


 ハルキは銀髪ロングで深紅の瞳、そして白い翼を持つシルと、ロクに目も合わせられないけど、素直に気持ちを伝えた。


 シルはとても美しく、肌は白くてきめ細かくて、白いドレスを着ている。日本に居たら、こんなに美しい人と出会う事なんて、なかっただろう。


 「シル、ここは最下層か?」


 「違うわよ。確かに表向きでは、ここは最下層。だけど、結界を破る事が出来る人なら、最後の階層に降りれるわ」


 「そうですか。……結界を破る事なんて、僕には出来ないから、ここで終わりという事か」


 ハルキはここまで苦労して来たのに、最後まで行けない事に肩を落とすが、シルがそれを否定する。


 「何言ってるのよ。あなたはここに来れたという事は、結界を破ったという事よ?」


 「え? でも僕、結界なんて破った覚えもないし、結界を破れるほどの実力なんて持ってないよ?」


 「結界を破った覚えがない? それってどういう意味? ここへは結界を破らなければ、通れないはずよ?」


 そうシルが言った瞬間、直径五センチメートル程度の魔力弾が飛んで来た。

 ハルキは【瞬発】で躱し、シルは白い翼を体の内にしまい、華麗に躱す。


 二人に躱された魔力弾は、後ろにある壁に衝突し、ドカンという爆発音と共に、爆風が吹き荒れた。


 「誰!」


 「これはこれは、お嬢さん。避けなければ、一瞬で終わったものを。──おや? 君は誰だい?」


 「僕の事を聞く前に、自分の事を言ったらどうだ?」


 「おやおや、これは失敬。私は六天魔の一人に数えられている、アザゼル=ロー。これでいいかい?」


 「あぁ、教えてくれてありがとう。僕は横山 ハル──」


「逃げなさい、ハルキ! 私がこいつを引き止めている間に!」


「っ!」


 どうしてそんな事を言うのだろうか。せっかく出会えたというのに。それなのにこんなにすぐお別れとか絶対に嫌だ。だからハルキはシルに対してこう言う。


「嫌だ! 僕は優しくしてくれた人を見捨てるような人間になりたくない! それにまだ僕は、シルさんと一緒に話したい事があるんです!」と。


ハルキには逃げるという選択肢はない。あるのはシルと共に戦い、勝つか死ぬかの二択だ。それに、六天魔が何かは分からないが、負ける気がしない。


 「君を殺す気は無かったんだが、邪魔をするなら殺す。【暗黒炎弾】」

 「殺せるなら殺してみろ! 【神速】!」


 こうして、人間族ヒューマンのハルキと天翼族のシル、そして六天魔、つまり悪魔族デビルのトップに君臨するアザゼルとの戦いが始まった。















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