第二話 ステータス
異世界を救う為に戦うと決めたハルキ達(主にハルキ以外のクラスメイト)。だが、彼らは唯の高校生で、戦闘技術に関してはど素人。
そんな人達が異世界なんて救えるわけないと思ったが、その戦闘技術を磨く為の受け入れ先が、既に決まっているとエンリルは言っていた。
その受け入れ先とは、リンデル王国の銀翼騎士団という騎士団らしい。
その事についてハルキは、用意周到だなと感心してしまったくらいだ。
それで今からその銀翼騎士団の団長であるロウガ団長とリンデル王国の王様と女王様に挨拶をしに行く事になった。
何で異世界召喚された日に、この国で最も偉い人に会わなければならないのだろうか。
ハルキには、この国の人の思考が理解しかねる。
外に出てようやく分かったのだが、どうやらハルキ達が居た教会は山奥にあったらしく、本来なら山を徒歩で下らなければならないところを、今回はエンリルが魔法を使い、連れて行ってくれるとの事。
そういう風にハルキの知らない内になっていたので、今、エンリルが魔法の詠唱を開始する。
『神が創りし/聖なる道/【神道】』
エンリルがそう詠唱すると、ハルキ達が立っている地点から、リンデル王国の王宮前まで光の道が一直線に伸び、自動的に移動し始めた。光の道を現代の物で例えるなら、エスカレーターだろうか。
( ……うわっ! 何これ、怖っ! )
ハルキは下を向いた瞬間にそう思ってしまった。が、彼がそう思ってしまうのも無理もない。
何故なら彼は今、魔法陣の上に乗っているのだが、その魔法陣の術式の隙間隙間から外の世界が丸見えだからだ。
高所恐怖症じゃないハルキが言うのだから、高所恐怖症の人は絶対パニックになるだろう。そう断言出来る程怖い。
しばらくすると、ハルキ達は王宮前に辿り着き、そのままエンリルに案内されながら、王宮内にある最奥の部屋へと赴いた。
最奥の部屋とは王室の事である。
エンリルを先頭に、幼馴染達、クラスメイト、ハルキの順番で王室に入ろうとしたのだけど、彼だけ王室の中に入れる唯一の扉の前に立っている兵士に止められてしまった。
「何ですか?」
「申し訳ありません。王様は、汚らわしい人を王室には入れたくないと言っておりまして」
「そうですか。……すみません、エンリルさん。僕はここで待っています」
そう言ってハルキは列から離れ、右の壁際に凭れ、(やっぱりデブでオタクはダメなんだ) 、そう心の中で呟く。
が、ハルキはその事をどうにかしようという気にはならなかった。
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現在、ハルキ達は銀翼騎士団が使用している訓練所へ移動していた。あの後、十数分後に王室からクラスメイトと一緒に、銀翼騎士団の団長であるロウガ団長が出て来たのだ。
それでハルキ達は、ロウガ団長に案内されて訓練所へと移動したのだ。
その間にハルキは、幼馴染にクラスメイト達に対して王様と女王様が、何を話していたのかを聞いた。
王様の名前がヴィルヘルム=セネカ=リンデル、そして女王様の名前がヒストリア=セネカ=リンデル。
それでその二人がクラスメイト達に言ったのは、感謝の言葉と労いの言葉の二つだけだったと幼馴染は言う。もしそれが本当なら、聞かなくて良かったとハルキは心からそう思った。
そして今は、ロウガ団長の話を聞いている。これに関しては、ハルキも真剣に聞くことにした。
「お前達、三七名は明日から私達と共に訓練に励んでもらう。そこで、まずお前達にはこの『ステータスプレート』について話しておこうと思う」
「『ステータスプレート』ですか?」
勇気がそう返すと、ロウガ団長は首を縦に振り、次のように言葉を繋げる。
「『ステータスプレート』は、自分のステータスが一目で分かる魔道具だ。後でお前達一人一人に、この『ステータスプレート』を渡す。
『ステータスプレート』は、この世界でクーストという国でしか製造する事の出来ない貴重な魔道具だから、無くすなよ?」と。
ロウガ団長が言った通り、一人一人に『ステータスプレート』が渡された。
ロウガ団長が言うには、自分のステータスを見るには、ステータスオープンと唱えればいいらしい。
ハルキは早くステータスが見たいが為に、早速「ステータスオープン」と唱える。
そうすると『ステータスプレート』には、青い文字が浮かび上がった。
『ステータスプレート』にはこう書かれている。
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横山 ハルキ 15歳 Lv 1
《種族》 人間族
《天職》 採掘師
《ステータス》
【HP 10/10】 【MP 10/10】
【筋力】 12 【耐性】 10 【敏捷】 8
【魔力】 10 【魔耐】 10
《スキル》 【言語理解:Lv-】 【採掘:Lv1】
【アイテムBOX:Lv1】
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「言い忘れてたが、この世界のステータスの平均値は十だ。
だがお前達は、この世界より上位の世界から召喚されているから、この世界のステータスの平均値より、数倍〜十倍は違うぞ。全く羨ましい限りだ」
ハルキのステータスの平均は十。つまりは上位の世界から来たのにも関わらず、この世界のステータスの平均値と同じと言うことになる。
ハルキは異世界から来たのだから、例えこの世界の人達から嫌われていようと、俺TUEEEEE! になっているものなのだと思っていたが違った。
なので、サッと何事も無かったように『ステータスプレート』を制服のズボンのポケットの中にしまった。
が、「ハル、お前の『ステータスプレート』見せてくれよ。俺のも見せるからさ」と勇気は言ってきた。
何でポケットの中にしまった途端に、勇気は来るのだろうか。少しくらいは空気を読んでもいいと思う。だけどここで断ったって、どうせ見せる羽目になるのだから、仕方なく見せることにした。
「分かったよ。でも、約束通り神代君のも見せてよ」
「あぁ、約束だからな」
まぁ、勇気に『ステータスプレート』を見せた途端、慰めモードに入った事は言わなくても分かるだろう。
それだけでも、テンションはだだ下がりなのに勇気の『ステータスプレート』を見せてもらった瞬間、ハルキのテンションは更に下がった。
勇気の『ステータスプレート』には、こう書かれている。
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神城 勇気 16歳 Lv 1
《種族》 人間族
《天職》 勇者
《ステータス》
【HP 100/100】 【MP 120/120】
【筋力】 120【耐性】 110【敏捷】 100
【魔力】 120【魔耐】 120
《スキル》 【言語理解:Lv-】 【全属性適性:Lv1】 【全属性耐性:Lv1】 【物理耐性:Lv1】
【身体強化:Lv1】 【剣術:Lv:】 【複合魔法:Lv1】 【MP回復:Lv1】 【自動回復:Lv1】
【気配感知:Lv1】 【魔力感知:Lv1】
【限界突破:Lv-】
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