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第九話 魔人

時はシルとアザゼルとの戦闘が始まる前に遡る。


ハルキは意識を失った後、ある世界へ移動し、そこで目覚めた。


重い体を起こし、ハルキは視線を落として、腹から背中まで貫通していた風穴が塞がっている事を確認してから、辺りを見回す。


あんなにどデカく空いていた風穴が塞がっている事は、大変驚く事なのだが、今は現状を把握する事が先決だ。


辺りを見回したが、ここがどう表現すればいいのかハルキには分からない。だけど、これだけは言える。草と木が生い茂っているという事だけは。


その情報だけでは、ここがどこなのかなんて分からなかったが、ある生き物に話しかけられた事により、一気に現状を把握する事が出来た。


「おっ、やっと起きたか。その様子だと何も分かってないようだな。ここはハルキの精神の中だ。……おっと、俺の名前を言ってなかったな。俺はライだ。お前に喰われたスライムだよ」

「……うん、ちょっと何言ってるか分からないんだけど。君は、僕に喰われたスライム? 僕、スライムなんて喰ったっけ?」

「おいおい。何忘れてんだよ。俺はお前に魔人スキルの一つである【魔力操作】を継承させてあげた魔物だぞ?」


いやぁ、マジで何を言ってるのか分からないですけど。確かに【魔力操作】を習得した時に喰ったのは、一番弱そうだったスライムだった。だけど、魔物がこんな感じに絡んでくるか?


何これ? ドッキリなの? どっかから、ドッキリ大成功! とか書いてる看板を出してくるんじゃないの?


「あら、ハルキさん。起きたのね。私はリザよ。あなたに喰われたリザードマン。あら、どうしたの? ハルキさん」

「……次はリザードマンですか。えーと、スライムとリザードマンが出て来たという事は、あれですか? まだ、13種類くらいの魔物が出てくるんじゃないですか?」

「おお、よく分かってるじゃないか。ここはハルキが喰った魔物と食べた薬草の擬人化した人? が出てくる世界」

「へ、へぇ〜。これはこれは。……で、これってどういう状況? 僕、死んじゃったの?」


ハルキは話を変えて、本題に入る。この場で最も重要な話だ。死んでいるのならこれまでなのだが、生きているのなら、一刻も早くシルのところに行かなければならない。


「いきなり話を変えてきたな。よし分かった、話してやろう。まず、結論から言うと、ハルキは死んでない。俺らが生かしている」

「生かしている? そんな事が出来るの?」

「出来る。しかし、今は非常に危ない状況だ。ハルキの人間部分は、既に死んでいる。だけど、俺たちが荒療治で蘇生しているが、【自動回復】が無ければ、蘇生するのは無理だった。運がよかったな」

「はい、それは運がよかったなと思います。だけど、その荒療治って、絶対にデメリットがありますよね?」


デメリットがあるかどうか、それだけは聞いておきたい。荒療治は悪影響を及ぼす危険性があると思うから。


「デメリットは特に無いぞ。むしろ今のハルキにとっては、好都合かもしれん」

「デメリットじゃなくて、むしろ好都合? それってどういう?」


ハルキは、待った。ライがなんて言うのかを。


「ハルキは魔人っていうのを知ってるか? まぁ、知ってるだろうけど。魔人っていうのは、人間を超越した者の事。魔物を操り、魔物の特性を扱える。簡単に言うと、悪魔族の下位互換だな」

「それは知ってますけど。それが、どう転がって、僕にとって好都合となるのでしょうか?」

「えーと、怒らないで欲しいんだが、ハルキの心臓に魔石を埋め込んだんだ。この事に関しては言い訳をさせてくれ。魔石を埋め込まなければ、ハルキは死んでいたんだ。これは、嘘じゃない。信じてくれ」

「分かりました。魔石を心臓に埋め込んで、どうなるんですか?」

「魔石を心臓に埋め込んだからって、ハルキは人間のまま。それは間違いない。だけどハルキは、現在魔人の力を25パーセント使用する事が出来るようになった。とは言っても、今のハルキはまだ5パーセントまでしか、安全に解放出来ない」


25パーセントっていうのは、今のハルキの魔物部分と同じ数値だろう。最後に見た時は10パーセントだったから、魔石を心臓に埋め込んだ事によって、10パーセント上昇したのだろう。魔石を心臓に埋め込んだというのは、まだ理解しかねている。だって、どうやって魔石を心臓に埋め込んだのかが、分からないから。


「まぁ、『ステータスプレート』を見れば分かると思う」

「は、はぁ」


ハルキはレッグホルスターから、『ステータスプレート』を取り出し、『ステータスプレート』に視線を移した。


現在のハルキのステータス。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


横山よこやま ハルキ 15歳 Lv 100

《種族》 人間族ヒューマン(75%)

《天職》 採掘師

《ステータス》

【HP 15000/15000】 【MP 20000/20000】

【筋力】 19000 【耐性】 18000 【敏捷】 17000

【魔力】 15000 【魔耐】 16000

《スキル》 【言語理解:Lv-】 【採掘:Lv10】[+採掘速度上昇][+採掘範囲上昇][+鉱物鑑定][+鉱物感知] 【アイテムBOX:Lv10】 [+吸収]【状態異常軽減:Lv10】[+状態異常無効]【自動回復:Lv10】[+再生]【魔力操作:Lv1】 【瞬発:Lv10】[+神速] 【天歩:Lv10】[+縮地] 【暗視:Lv10】[+遠視]【風纏:Lv10】[+風斬] 【魔力感知:Lv10】[+危機察知] 【空間把握:Lv10】[+地図] 【魔力放出:Lv1】 【気配遮断:Lv10】[+遮断付与] 【威圧:Lv10】[+拘束] 【硬化:Lv10】[+硬化付与] 【MP回復:Lv10】[+MP吸収] 【逃走:Lv10】[+追跡] 【全属性耐性:Lv5】【物理耐性:Lv5】【限界突破:Lv-】 【上限突破:Lv-】 【魔人化:Lv1】


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


【魔人化】、確かに追加されている。だけど、このステータスは一体何? こんなステータス高かったっけ? それに【限界突破】とか【上限突破】なんてなかったんだけどな。レベルが最大になったから追加されたのか?


「ハルキ、蘇生完了だ。【魔人化】する時は、俺らに念じてくれ。念じてくれれば、俺らがパーセントを調整する。それと、俺らとハルキは、魔石を通じて念話する事が可能になった」

「ありがとう。じゃあ、行ってくる」

「あぁ、行って来い!」


ハルキの意識はドロドロと溶け始め、最後は意識を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


重い瞼を無理矢理開けると、シルが苦しんでいる光景が目に入る。その光景を見た瞬間、ハルキは念じた【魔人化】と。


そうすると、ハルキの体には、自分の魔力が具現化した青い電撃と、魔物達の魔力が具現化した黒の電撃がほと走る。


そしてハルキは、心の中でこう呟く。(常に5%、魔人の力を今、安全に解放出来る限界許容範囲は5%。それ以上は、体がもたない)と。それからハルキは、歩きながらこう言った。


「おい、アザゼル。あまり調子に乗んなよ。シル、少しだけ待ってろ。俺が今すぐこいつを殺すから」と。


「ハルキ、あなたは一体……」

「これは、面白くなってきましたね」


困惑しているシルと笑みを浮かべているアザゼル。シルはアザゼルに負けた。ハルキより強いシルが。だから、気を抜くな。全てのスキルを使用し、ハルキのペースに持ち込め。それが出来れば勝機はある。今のハルキはさっき、アザゼルにボコボコにされた自分とは違う。


「アザゼル、次は負けねぇぞ」


そう言ったハルキは、アザゼルに向かって走り出した。ここで【神速】は使わない。スキルは使い方次第だ。単純な使い方だと、アザゼルには通用しない。


遂にハルキとアザゼルとの一対一の勝負が始まった。
















明日から、また不定期になります。すみません。出来れば、二日に一本投稿出来たらいいなと思っています。

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